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始まりの雨音
耳をつんざく様な雨の音、目が覚めて最初に感じたのは異様な体の重さ、そして嫌でも鼻についてしまうような鉄の匂いだった。倒れた体をゆっくりと起こすと気づく、辺り一面に広がるに赤黒い液体と横たわる人影。人影の数は1つではない。視線を下に落とすと、口からは周りに広がっている赤黒い液体と同じものが流れている。目の前の凄惨な光景と口の中に感じる違和感に対して、不思議と冷静な自分がいることに気づく。見慣れているようだ?
「っう!?」
なぜだろう、物凄い吐き気と共に頭に鈍痛が響いた。頭に手を添えた時、手の平からは固いものに触れる音がしたが、雨の音にかき消された。ようやく、周りの状況を理解し、良く分からないが一刻も早くこの場から離れた方がいいことだけはわかった。逃げるように足を動かす。そのたびに違和感を覚える。何かは分からないが、体の調子がおかしいと気づいて足を止める。そして気づく、自分の腰に当たる部分から見える肌色に隠されたように存在する赤黒い金属に。