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僕は長篇が書けない  作者: 友里 一
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設定の調整は終わったものの、調整後のスト―リーを実際、書いていく段になっても。

不調は相変わらずだった。

調整後のクロガネセブンがなかなか思うように動いてくれない。調整前のヤツに俺が馴

染み過ぎている。

その晩、俺はカミさんがすやすや寝ているのを確かめてあることを確かめて、あること

を試してみた。

別に悪さをしようと言うのではないが、俺はそれに疾しさを感じているのは間違いなか

った。

俺自身も。やめた方が良い、と強く警告している部分があったが、無理に黙らせて実行

した。

調整前の設定で試しに書いてみたのだ。没にする前提で。試してどうなるものでもない

のに。

結果は予想した通りだった。

なんのつっかえもなく、スイスイ書けた。ここまで気持ちよく、タイピングできたのは

間違いなく初めてだった。

まだ練り込みの済んでいないシーンまで、勢いで書き切ってしまいそうになってから慌

てて止めた。

こんな全能感はついぞ感じたことがない。

しかし、書き上がった文章を読み返してみると、その高揚した気分は霧散した。

悪ふざけが過ぎる。自己満足の極地だった。こんなものを人様に供することは出来な

い。

俺は書いた文章を全削除した。

次の日、俺は書いてる間中、ずっとソワソワしていた。ちょっと詰まる所があると、す

ぐに筋トレしたり、部屋を片付けたり、冷蔵庫を覗いたり、マンションの下の自販機にジ

ュース買いに行ったり、マンションのすぐ傍のコンビニウロウロしたり、全く集中が持続

しなかった。余所事の間に小説を書いている状態だった。

手につかない。どうしていいかまるで解らない。

苦しい。苦しかった。

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