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ノンデッド・サクセスライフ  作者: 斗樹 稼多利
11/12

苦痛からの回復を繰り返す


 到着した元農村の中を調べたロンレンだったが、芳しい結果は出なかった。

 どの家屋も拠点として使うには心許なく、用水路と溜め池に水が無かったように井戸にも水は無かった。

 畑だった区画にも雑草の一本すら生えておらず、せめて何か使える物はないかと物置小屋や倒壊していない家屋を調べるも、時間が経ちすぎて朽ちた物や錆びだらけで使い物にならない道具しか残っていなかった。


「年月に加えて、雨に濡れたからかな。魔域になったとはいえ、雨は降るもんな」


 穴だらけになった物置小屋で見つけた錆びだらけの草刈鎌を見ながら呟き、元の位置へ戻して小屋を出る。


「役に立ちそうな物、水、拠点として使える安全そうな家屋。どれも無しか」


 溜め息を吐きつつ適当な場所に座ったロンレンは、荷物から木簡と矢立やたてという筆記用具を取り出して村の様子を記していく。

 それを終えたら荷物を整え、次の目的地へ向けて歩き出す。


「この方角へ少し進めば森があるそうだけど、どうなっていることやら」


 地図と方位磁針で方角を確認しながら村の近くにある森の方へ向かう。

 距離的には村の位置からでも目視できるのだが、黒い霧が視界を邪魔しているためどうしても現地へ向かう必要がある。

 痩せた大地の様子から、おそらくは葉が一枚も無い枯れ木ばかりが立っているんだろうと予想するロンレンだったが、そこに広がっていた光景は予想を超えていた。


「ほとんど何も無いじゃないか……」


 生えていた木のほとんどが倒れて腐り土へ返ったのか、崩れてボロボロになっている枯れた倒木や腐って裂けたようになっている枯れ木をたまに見かけるだけで、ここが森だった面影は全く残っていない。


「これ、使えるか?」


 野営をする際の焚き火に使う燃え種は、基本的に現地で調達するため今回の調査でも用意されていない。

 そのため森の状態を見た時は火を熾せないんじゃないかと不安になり、辛うじて立っている枯れ木に歩み寄る。

 おそるおそるそれに触れてみるとボロボロと表面が崩れ落ち、軽く押しただけで軋む音を立てながら倒れて土煙を上げる。

 断面を覗いてみると幼い子供が押しただけでも倒れそうなほど空洞だらけで、とても今さっきまで立っていた木とは思えななかった。


「ここまで中がスカスカになるのかよ。強めの風が吹いただけでも倒れそうだぞ」


 倒木の方も少し押しただけで崩れ落ち、あっという間に小さな木片と化した。

 それを一つ拾い上げ、あらゆる角度から見たり指で軽く叩いてみたりして確認する。


「まあ、燃え種にするのには問題ないかな」


 大丈夫だろうと判断したロンレンは荷物から麻袋を取り出し、木片を回収していく。

 それだけでなく、崩れずにある程度の大きさを保っている物も麻袋に入れられるだけ回収し、袋がいっぱいになるほどを確保したら背負子に乗せて縄で固定する。


「これで火はなんとかなるか」


 火が確保できるとあって幾分か安堵した表情を浮かべ、重さが増した背負子を軽々と背負って地図と方位磁針で方角を確認する。


(最低でもここまでは見に行ってほしいって言われたんだよな)


 地図を指で辿って差したのは、突入地点から最も近い町。

 今では人っ子一人住んでいないこの町の現状と、当時の資料が残っていないかを調べるのが今回の調査での最低達成要素となっている。

 町への方角を確認すると、その方向へこれまで同様に慎重に進む。


(この調子で進むなら、到着は明日かな)


 普通に歩けば元農村から半日の距離と書き込まれているが、黒い霧で視界が悪いせいで歩を進めるのに慎重にならざるをえず、倍の時間が掛かると見込む。


(町に着くまではここまでのように、痩せて何も無い大地が続くだけかな)


 憂鬱な気分になる想像は見事に的中するのだが、その想像によって憂鬱さとは別の苦しみが待ち受けているとは全く予想していなかった。

 そしてその苦しみは、割と早めにロンレンを襲う。


「くそっ。今、どの辺りだ……」


 悪態を吐いて周囲を見渡して地図を見ても現在地を指し示す目印は無く、目標とすべきものも見えない。

 ほとんど日の差さない薄暗さ、黒い霧によって狭められた視界、どれだけ歩いても変わらない風景、その中を周囲の様子と方角には常に気を配り続ける。

 そうした状況に長時間置かれ続けたロンレンは、疲れではなく精神的な苦痛に襲われていた。


「今、どれだけ歩いてんだ? 今はどれぐらいの時間なんだ、ここはどの辺りなんだ」


 不安に思った事を次々に口にしても誰も答えてくれず、解決する手段も見つからない。

 肉体的なものであろうと精神的なものであろうと疲労や苦痛は加護で回復するものの、全く苦痛を感じない訳ではない。

 悪環境に自分一人だけ置かれるという状況は、ロンレンの精神に想像以上の負荷を掛けていた。

 それにより普段以上に疲労を感じ、喉はあっという間に渇き、余計なことを考えてしまう。

 特に顕著なのが、自分が何故こんなことをしているのか、何故こんな場所にいるのかということだった。


「俺は自分で選んでここにきた。自分のため、またハクと並ぶため、クソ親父を見返すため、解決したけど神職者達に祭り上げられるのを防げる後ろ盾を得るため……」


 俯き気味でブツブツ呟く姿は他者からすれば怪しく危ない人物この上ないが、ここにはその他者がいない。

 このまま精神的に壊れてしまうようにも見えるが、彼の加護が精神の異常を回復させる。

 徐々に気持ちは落ち着いていき、俯いていた顔は上がり呟きも止む。


(何をやっているんだ、俺は……)


 ついさっきまでの自分を恥じりつつ、魔域内で過ごすことがどれだけ精神的に大きな負担になるのかを書き記すため、休憩を兼ねて木簡へ記録していく。

 今回はこのまま過ごすしかないものの、これを参考に次回以降は何か対策か解決策を講じてほしいと願いながら。


「というか、ひょっとしてこれを何度も繰り返すのか?」


 ふと浮かんだ嫌な予想を口にする。

 その当たってもらいたくない予想は的中した。

 黒い霧によりあまり日が差さないとはいえ、少し暗くなった中でロンレンは背負子と木片の入った荷物を下ろして座り込む。


「もう、何度目だ……」


 今に至るまでの数時間、精神的に壊れそうになっては加護で治るのを数回繰り返した。

 僅か数回とはいえ、その度にかかる精神の負担にロンレンの心は折れそうになるほど消耗していた。

 しかし加護に心が折れることはなく、肉体や精神の消耗も回復していく。


(治るのはともかく、何度も経験するのは良い気分じゃないな……)


 どんな負担も加護で回復はするものの、その後でまた同じ苦しみが襲ってくる。

 肉体的な疲労に関してはドウコクによる訓練で慣れたが、精神的な負担や苦痛が何度も繰り返されるのには慣れておらず、耐えられず壊れてしまえば楽なのに壊れられないのも大きな負担になっていた。


(この環境を甘く見すぎていた。死ななければいいと思っていたのに、まさかこんなに辛いだなんて)


 ただでさえ、よく分からない黒い霧に四六時中包まれている中、ほとんど明かりの無いことによる暗さ、狭い視界、目に映る僅かな風景に変化は無く、休憩中でも気を抜けず、移動中は常に方角に注意しなければならない。

 これだけの状況下をたった一人で過ごすことによる精神的な負担は、全く想像していなかった。

 一人での調査だから体力さえ鍛えておけば大丈夫。

 そう思っていただけに、ここまでの精神的な負担はロンレンにとって完全に予想外だった。

 しかも壊れそうになっても回復し、また苦しむという経験は負担をより大きくしていた。


「……とりあえず、暗くなりそうだから火を確保しないとな」


 加護で幾分か気分が落ち着いた瞬間を図り、火の準備に入る。

 森だった場所で回収しておいた木片を麻袋から少量取り、比較的大きな形を保っていた幹の上に寄せて乗せ、荷物の中から火打石を取り出す。

 それを木片の近くで力いっぱいぶつけ合わせ、火花で着火するまでそれを続ける。

 魔法が使えれば火など一瞬で着くのだが、魔力が無く魔法が使えないロンレンはこうするほかない。


「このっ、このっ!」


 力いっぱいぶつけることで火花は出るものの、それが着火するかはまた別問題。

 どれだけ火花を出しても、それが燃え種を燃やさなければ意味が無い。

 手の皮が剥けて出血しようと打ち続けること数十回でやっと木片に火が着き、消えないようにそっと息を吹きかけながら小さい木片から少しずつ加え、火を強くしていく。


「なんとか着いてくれた……」


 どうにか熾した火を前に座り込む。


「あっ、もうこんなに暗かったのか」


 気づけば僅かに届いていた陽光すら失われ、周囲は闇一色の真っ暗だった。

 黒い霧に包んまれているのと月や星の明かり一つすら無い状況の中、唯一の明かりとなる炎を見ていると安心して自然と涙が浮かぶ。

 誰も見ていないのに焦ったように目元を拭ったロンレンは、ふと両手を開く。


「こっちは……問題無しか」


 剥けた手の皮は既に加護のお陰でほとんど癒えていて、出血も止まっている。

 見ている間にも皮膚は再生していき、数秒後には傷一つ残らず治ってしまった。


「氣でも火を着けられればいいんだけどな」


 城にいる時に試したものの失敗に終わったことを呟きつつ、荷物から水筒と食料を取り出す。

 常温水で喉の渇きを癒し、日持つする食材ということで用意された芋を短刀で切って串に刺し、焚き火の近くにやって焼いていく。

 用意された食料は日持ちがして、焼けば食べられる芋を中心とした根菜類や干し肉がある。

 火が確保できたことで干し肉しか食べられない状況を避けられたことに安心する一方で、見通しの甘さが次々に露呈していることに気分が落ち込む。


「死ぬことも精神的に壊れることも無いとはいえ、逆にそれがキツイなぁ……」


 初日から挫けそうになるロンレンだが、引き返そうとは考えていない。

 心が壊れそうになっても正常に回復してしまうことで、自身の役目や目的を思い出させて魔域から逃げ出すことを思い止まらせていた。

 だが、そうなってしまっているのは当の本人が一番わかっている。


「加護というより呪いにも思えるぞ、これは」


 少し苦しさや痛さに耐えれば死ぬことは無い。

 ずっとそう思って楽観的に考えていたが、状況や環境次第では死にたいくらい辛くて苦しいのに死なせてくれないという、新手の呪いかのように思えてきた。


『あなたがどんな人生を送るかは分からないけど、寿命が尽きるまで生きるんだから、後悔しないようにね!』


 ふと脳裏に浮かぶのは、加護を与えた生命神が別れ際に告げた言葉。

 それを思い出すと、魔域に入って初めて笑みが浮かんだ。


「だよな。自分で選んだんだから、後悔しないようにやりきらないとな」


 自身を奮い立たせるように呟いて焼けた芋の刺さった串を取り、小さな袋に入っている塩を少しだけかけて食べ始める。

 僅かな塩味がついただけのどうってことない芋だが、今のロンレンにはそんな食事すら嬉しく思えていた。

 食事だけが唯一の楽しみだと言っている人の気持ちが良く分かると思いつつ芋を齧り、水を飲んでさらに水筒を取ろうと伸ばした手を止める。


(おっと、水は節約しないと)


 うっかりさらに水を飲んでしまいそうになったのを堪え、その後は芋が喉に詰まらないよう少しずつ食べたら眠りに就いた。

 しかしおおよそ翌朝の頃に目を覚ましても、辺りは暗くて昼夜の区別がほとんど付かない。


「夜よりは少し明るくなったかば……」


 僅かな明るさの違いで夜が明けたのを判断し、辺りを見渡す。


「まあ、一晩過ごしたからって何か変わる訳じゃないか」


 眠りから覚めたことで改めて現状を思い知りつつ、出発の準備を整えていく。

 寝ている間に燃え尽きて消えてしまった火をまた熾すのは面倒だからと、食事は水と干し肉で済まして目的の町へ向けて歩き出す。

 前日と同じように、心が折れそうになっては加護で回復するのを繰り返しながら移動し続け、ようやく視界に変化が訪れた。


「おぉ……。壁だ」


 今にも心が壊れそうなほど虚ろになりかけた目が捉えたのは、数メートル先にそびえ立つ目的の町を囲む防壁。

 それを見ただけで安心感を覚え、加護による回復とは別に気持ちが楽になって目に力が戻っていく。

 木壁ではなく土壁のため朽ちて崩壊することなく立っているが、近づくにつれて表面が荒れ、所々が崩れ落ちていたり穴が開いていたり亀裂が入っていたりするのが見れる。

 かつては立派だったであろう、高さが五メートルはある壁がここまでの状態になるのを見ると、どれだけ長い年月放置されていたのかが窺える。


「中は? どうなっている」


 いつまでも防壁ばかり見ているわけにはいかず、壊れている門から町へ入ろうとする。

 しかし長い年月で崩れ落ちたのか、木製の巨大な門の瓦礫が行く手を遮る。


「……面倒だ」


 一刻も早く何も無い荒野から町へ入りたいロンレンは、瓦礫の山を前にしたにも関わらず別の門まで移動するようなことはせず、荷物を下ろして氣を纏い腰を落として右手を引いて構える。


「ふうぅぅぅ……しっ!」


 集中のために息を深く吐き、短い掛け声と共に腰の入った拳を瓦礫へ叩き込む。

 日々の鍛錬に加え、氣によって強化された拳で瓦礫は吹っ飛び道が出来る。

 それだけのことになれば当然、拳の方も無事では済まないがロンレンには関係無かった。

 氣を纏ったことで拳には僅かに傷が付き、米粒ほどの尖った木片がいくつか刺さっている程度。

 何事も無いかのようにそれを抜けば、傷は加護で勝手に治っていく。

 仮に何かの雑菌が入ったとしても、健康の加護によりすぐに治るだろう。


「これでよし」


 抜いた木片をその辺へ放り、両手を叩いたら背負子を担いで町へ入る。

 粗末な作りだった元農村の家屋と違い、町の景観を意識しているためどの家も崩れずに立っている。

 使っている素材は同じでも質や職人の腕が違うんだろうと眺めるが、いつまでもそうしている訳にはいかず現実を直視する。


「黒い霧に覆われた廃墟の町、か。退廃的っていうのは、こういうのを指すのかな」


 一人で活動しているせいか、つい出てしまう独り言を呟いて町中を見て回る。

 崩壊こそしていないが建物はどれも劣化が見られ、中には窓が割れていたり扉が壊されている家もある。

 ここの住人達は魔域の拡大に伴って飲み込まれる前に全員脱出したと言われているが、すぐに魔域へ飲まれてしまったわけではない。

 飲み込まれる数日前までには余裕を持って避難したため、その数日の間を狙って火事場泥棒が入るのは珍しくない。

 急な避難ではないため金目の物が残っていることは無いが、持ち出し忘れた金品が残っていることがたまにある。

 さらに空の荷車や台車を持参し、住民が持ち出せなかった重い家具などを回収し、別の町の自由市や露店で売りさばく転売行為も行われている。

 その形跡が見える破壊行為に、こうした人達はどこにでもいるもんだとロンレンは溜息を吐く。


「家の中はどうなっているかな」


 適当に窓も扉も壊れていない家を選んで扉に手を掛ける。

 もう二度と帰って来ないからか、鍵は開いていて簡単に扉は開く。

 だが裏を返せば、だからこそ窓も扉も壊れていないと言える。

 僅かな隙間から侵入したのか家の中も黒い霧で満たされており、視界は日の光が無い分こちらの方が悪い。

 そんな様子に表情をしかめながらも、調べやすいように背負子を玄関に下ろしたロンレンは、暗闇に目が慣れたら足元に注意しつつ探索を開始した。


「あ~、こりゃ荒らされた後か」


 家の中を探ってみると、荒らされた形跡があっちこっちに残っており、大体の家庭に置いてある家具のいくつかが消えている。

 そうした様子に呆れつつ、気にしなくてもいいのに物を踏まないようにしながら家の中を回る。

 木製の柱は軽く押しだけで軋み、地面を掘って作った小さな貯蔵庫は蓋が壊れていて危うく落ちそうになり、窓を開けると溜まっていた埃が舞い上がって咽てしまい、壁の一部が崩れ落ちたのに驚いてしまう。


「大した物は残っていないか」


 大方の物は住人か火事場泥棒に持ち去られていて、形を保って残っているのは埃を被った陶製の食器や錆びだらけの調理器具だけだった。


「せめて当時の日記的な物があれば良かったけど、そう都合よくはいかないか」


 期待薄だったこともあり、さほど気にした素振りを見せないロンレンは玄関へ戻り、背負子を担ぎ直して町中の調査を再開する。

 少し立派な家や商店は金目の物がないか徹底的に漁ったのか、先に入った家よりもずっと荒らされていて、逆に貧しそうな見た目の家屋や路地裏のある小さな店舗はあまり荒らされていない。


「言い換えれば、こんな家や店でも多少なりとも物色したってことか」


 逞しい火事場泥棒だと頷きながら、辛うじて役所という文字が残っている看板がある建物へ入る。

 中はやはり荒らされていて、床には火事場泥棒でも不要と判断された木簡や竹簡が開かれたまま散らばり、木製の受付台は腐食して壊れている。

 だが、ロンレンの目的はその散らばった木簡や竹簡だった。


「えっと、これは店舗出店の記録簿だから不要。こっちは役所の予算分配記録だから、一応回収対象かな」


 不要の物は丸めて端の方へ置き、回収しておく物は荷物の中に入れてあった麻袋へ入れていく。

 今回の調査は魔域内部の様子を調べるだけでなく、辿り着いた町や村で保管してある記録を回収することも役目となっている。

 魔域がどのようにして発生し、何故拡大しているのかは不明とされているが、こうした記録から魔域に関する何かを紐解けるかもしれないと学者達が提案し回収を願い出た。

 当人達以外からすれば藁をも掴むような気持での主張に思えたが、何かしらを見つけて成果を出したいんだろうと思い承諾され、回収できる範囲内でという条件でロンレンも了解した。

 前日に立ち寄った元農村ではそういった記録は残されていなかったが、いざ見つけて回収しているとやはり疑ってしまう。


「こんなんで魔域に関する何かが分かるとは、とても思えないんだけどな。これは管轄内の村や町の収穫高記録か。回収っと」


 文句を口にしながらも回収対象とされている類の木簡や竹簡を、見つけた順番に可能な限り麻袋へ入れていく。

 これについて深く考えるのは学者の仕事だと割り切って。


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