生存者
第31話の投稿になります。
しばらくは毎日投稿になります。
読んでいただけると幸いです。
戦闘を終えた私たちは、集落を周り、家の中を確認してから家に火を放った。
このまま放置して、またゴブリンや野党の住処にならない様に、焼いてしまうんだそうです。
焼く時に、ゴブリンの死体も一緒に焼いてしまいます。
キングやジェネラル、チャンピオンは首のみ持ち帰り討伐証明にするんだとか。
私は家を回って、生き残りが居ないか確認していると。
「おーい神官さんちょっとこっち来てくれ」
知らない冒険者さんが、私を呼びに来た。
家の解体作業中に怪我人でも出たのかな?私が呼ばれた方に向かうと、そこには毛布に包まった20人近くの女性、皆目が虚ろで、心に深い傷を負ってしまっていることが、一目で分かってしまった。
私は女性たちに近づき、一人ずつ丁寧に『ヒール』を掛けてあげるくらいしかできなかった。
私に精神まで回復させる魔法が有ればよかったんだけど、私は何かあればと考えて恐慌状態を回復させる魔法を使って見る事にした。
セデイション
効果 恐慌状態を回復させる
本来は恐慌の状態異常を回復させる魔法だけど、女性の前に跪き。
「この人に、せめて心の安らぎを『セデイション』」
私は魔法を使うと女性は光に包まれ、女性の身体を包んでいた光が、心臓の辺りに身体に溶ける様に消えて行った。
その間も私の身体は、また光に包まれ、女性の光が消えるまで続いた。
光が消えると女性の瞳には光が戻り、当たりを見回し始めた。
私はそれを確認して、他の女性にも次々と『セデイション』を掛けていく。
ひと通り女性に魔法を掛け終わると、女性達の護衛のために、私は冒険者達と女性達を安全な所まで連れて行くことになった。
森から出るまでに女性達と話してみたが、商人の娘だったり、村娘だったらしい。
もちろん一緒に居た両親や旦那さん、子供は殺されてしまったり、子供は逃がしたがどこにいるのか分からないと、涙ながらに語ってくれた。
拠点に戻る前に装備はいつもの法衣に変える。
森を抜けて拠点に戻ると衛兵さん達は、私たちを歓迎してくれた。
簡単にゴブリンでの集落での戦い、そしてその跡での探索で、女性達を見つけたことを報告した。
女性達は衛兵さん達が、冒険者が帰って来た時のために用意していた食事を渡され、食事をとっていた。
私はその様子を見ていると、衛兵さんが近づいてきて。
「ご休憩中すいません、衛兵に怪我人が出ていまして、宜しければ治癒お願いできますか?」
私は笑顔で「構いませんよ」と告げる、衛兵さんは怪我人の居る場所に連れて行ってくれる。
私が行くと重症者はいなかったが、手傷をおっている衛兵さんが5人いた。
理由を聞いて見ると、私たちがゴブリンの集落で戦闘している間に、こちらにもゴブリンが現れたそうだ。
数はそんなにでもなかったが、突然のことだったため、隙を突かれて怪我をしてしまったそうだ。
私は『エリアヒール』を唱え、衛兵さん達の傷を回復させる。
「ありがとうございます、いやー、それにしても凄い!こんなに直ぐに回復させてしまうなんて」
「いえ、そんなことは、他の神官の方でも、これぐらいはできるのではないですか?」
衛兵さんの言葉に私は『エリアヒール』なら使える神官がいると思い答えると、衛兵さんは。
「大司教位の高い地位の方なら、できるかもしれませんが、そういう方は滅多に出てきませんからね」
「そうなのですね」
私は神殿の方針に不安を覚えながら、衛兵さんの話を聞いていた。
しばらくすると、私は司令部が有るテントに呼ばれていた。
目の前には、ギルバートさんと衛兵長さんが立ち、私が入って来るのを待っていたようだ。
私がテントに入ると、ギルバートさんは。
「態々来て貰ってすまんな」とお礼を言ってきた。
「いえ、構いませんよ、それでご用件は?」と聞くと。
衛兵長が「連れ帰ってきた女性達の件なのだが、衛兵から護衛を出すんだが、彼方もご同伴しては貰えぬか?」
衛兵長さんの話を聞いて。
「私は構いませんが、何か不都合が有ったのですか?」
私の疑問に衛兵長さんは頷きながら。
「女性達のために、女性の同伴者を、できるだけ多く付けようという話になって、貴女にも声を掛けたのだが、如何かな?」
衛兵長さんの言う事も最もだと思い、私は二つ返事で了承した。
私は女性達と共に馬車に乗せられ衛兵に守られながらトラットの町へ向かう。
途中で女性達はこれからどうするか話し合いながら、過ごしていた。
だが大体の女性が出来れば町で仕事を見つけたいと言う意見で纏まったようだ。
女性達は話し合っている間にトラットの町に着き、衛兵さん達に詰め所に通された。
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