土蜘蛛退治譚
バトル書くの苦手だ〜〜〜(致命傷)
という作者の都合により、基本的にバトルはサクッと終わることが多いと思います…
ルミと同じくらいの身長をもつ土蜘蛛の醜い顔の目は八つもあり、なるほどうち左上の二つが潰れている。
くもは前脚(?)同士をこすり合わせながら、ルミをじっと見つめていた。
ちなみに、ルミは中学の時に虫嫌いを気合で克服した。
ルミの将来の夢的に、虫嫌いだといろいろ不都合がありそうだからだった。
と、いうわけで、土蜘蛛を見ても「やっぱ気持ち悪いな」とは思うものの、割と平然としていた。
「君、桜の木の後ろに下がってて。きっと桜の精が守ってくれるから。」
「おねぇ、ちゃ…」
ルミは、キッと土蜘蛛を見てこう告げた。
「私が、あの蜘蛛を退治する。」
その刹那、蜘蛛ががさがさがさと音を立ててルミの方へ突進してきた。ものすごいスピードであるが、AGIが非常に高いルミには対処できなくはないくらいだ。
ルミは左腕で男の子を抱えて、右腕に双剣の片割れを握る。
「【スラッシュ】!【回避】!」
双剣で蜘蛛の顔に裂傷を入れる。蜘蛛がひるんでいる間に男の子を桜の木の向こうへやさしく放り投げ、自分は男の子とは蜘蛛を挟んで反対側に移動する。顔に傷を入れたノアにヘイトはあるはずだ。蜘蛛が来ないうちに、更に攻撃を叩き込む。
「【クイックアロー】!!!」
放った矢はまっすぐ蜘蛛の胴体に刺さる。
しかし、やはりレベル差が大きい。こちらはLV.3であるのに対し、土蜘蛛はLV.10。
STRにもかなり振っているから、まったくダメージがないわけではないが、それでも微々たるものだ。
長期戦を予感するルミ。しかし、集中力には自信がある。
「【隠密】!」
【隠密】は、敵が自分を認識できなくなるスキルだ。これを使っている間にできる限り遠くへと移動する。
「よしここで…【スナイプショット】!【クイックアロー】!」
やはりレベルが高いだけあって、ノックバックはしない。ルミから放たれる矢をもろともせず、すごい勢いで迫ってくる。
「っ!【回避】!!」
なんとかギリギリのところで回避する。VITが低いため、当たったらひとたまりもないのは目に見えている。
「【スラッシュ】!」
即座に双剣に切り替え、胴体を切り裂くが、先程のようには怯まなかった。
「やばっ…」
蜘蛛のスピードは落ちない。逃げなければ。でも、どうしよう。
そう思っているうちに、蜘蛛はルミの目の前まで来て前足で思いっきりルミを引き裂いた。
「いったい……!!!!…はぁ、なんとか耐えたわね。【隠密】。」
なんとか耐えたとはいえ、HPの2/3も削れている。こちとら何度も攻撃しているのにまだ蜘蛛のHPの1/20ほどしか削れていないというのに。世の中って世知辛い(多分違う)。
【隠密】で蜘蛛の意識から外れている間に、ストレージからHPポーションを取り出す。
緑色の液体の入った試験管くらいの大きさの瓶だ。ACOでは薬を飲む必要はなく、瓶を開けるなり割るなりして、中身の液体が1番たくさんかかった人のみが回復する、という仕組みである。
手で握りつぶしても割れるように設計された脆い瓶を片手に持ち、その手に力を込める。瓶は呆気なく割れてルミの片手を濡らし、回復した。
薬をの液体はすぐに蒸発し、即座に手は乾いた。
「記念ボーナス様々ね…MPポーションよりかはHPポーション追加で欲しかったけれども。」
メインもサブも職業が物理職のルミにとっては当然の発言と言えた。
その後、何回か攻撃を喰らいながらもポーションで回復しながら持ちこたえていたルミだが、ついにポーションがあと1つになってしまった。
蜘蛛のHPは残り5割。正直ジリ貧だ。
それでも、諦める訳には行かなかった。
「【クイックアロー】!!」
焦りを抑えて、冷静に。
そうして放った一矢は、蜘蛛の8つの…2つが潰れているから、残り6つの目のうち、ひとつにクリティカルヒットした。
すると、蜘蛛に突如異変が訪れた。
「ギギギギェェェェェェェェ!!????」
悲鳴のような声を上げながらその場で悶え苦しむ蜘蛛。
「え、なに!?…っ、【スナイプショット】!」
急な奇声に驚くも、大きな隙を見せた蜘蛛に、再び矢を放つ。今度は脚に当たり、蜘蛛はルミめがけて突進してくる。
しかし、ルミは異変に気づいた。
「…遅く、なってる?」
とりあえず【スラッシュ】と【回避】で間合いを取りながら考える。まだまだかなり速いが、ルミであれば今までよりも対処に余裕が出来るくらいの速さにはなった。
その鍵は、間違いなく、目であろう。
…と、いうことは、8つ全ての目があった時の蜘蛛は、ずっとずっと速かったのだろう。ルミでも対処出来たか分からない。
「…本当に、主思いの猫ね。」
猫というより犬みたい。と思いながら、心の中で祈りながら感謝を述べる。
「…それなら、目を狙う他ないわよね!!!!」
なんとか持ち前の集中力とDEXで、攻撃を回避しつつ少しずつ目を潰していき、残る目は2つ。そして、それと同時に蜘蛛のHPは30%を切った。
その瞬間だった。
「ギギャァァァァァァァアアアア!!!!!」
「っなに!?」
蜘蛛が大きな声を上げた。アナウンスが聞こえる。
土蜘蛛が激怒状態になりました
「っ、やっぱりこういうのはあるのね!!【クイックアロー】!!」
矢を放ち、それは残念ながら目には当たらず老人の顔の頬のあたりに当たった。
そして蜘蛛は突進してくる。
…最初と同じくらいの速度で。
「まさか最初と同じくらいだっていうの!?…まぁ、潰してなかったらもっと酷い目にあってたのでしょうけど!!双剣に切り替えて…【スラッシュ】、【回避】!!」
スローダウンしていた蜘蛛に慣れてしまっていたため、再び上がった蜘蛛の速度に集中力が追いつかない。
なんとか距離を取るが、すぐに蜘蛛はこちらへ向かってくる。
「っまずい!」
HPポーションはもうない。激怒状態になっているので、攻撃力も上がっていることは想像出来る。
次攻撃が当たれば、終わりだ。
【回避】のCTはまだ明けない。
逃げなければ。
でも、どこへ?
せめて
この羽で
上に飛べれば
そう思った瞬間だった。
「えっ!!!???」
バサバサっと言う音が鳴って、ルミの体がふわっと浮いたのだ。
ルミからは見えなかったが、小さかった羽は、るみの小柄な体には不釣り合いな程に大きくなり、大きく羽ばたいていた。
「なんで、え!?」
わたわたしているあいだに、ポンッと羽は小さくなり、ルミは落下し始めた。
「え、嘘、ちょっと…!!うわぁっ」
そのままボスンと地面に落ちる。そこを狙って蜘蛛が再び突進してきた。
「!!【回避】、【隠密】!!」
【隠密】を使って時間稼ぎしている間に考える。
恐らく今飛べたのは今までニートしていた【顕現】さんが急にお仕事を始めたからであろう。
やったことと言えば、上に飛ぶことをイメージしたことくらいである。
「…具体的に、イメージすればいいのかしら。」
正解である。
サービス開始前のトレーニングルームは、白くて対して大きくも無い部屋だったので、大きく羽ばたくようなイメージが出来なかったのであるが、この広大なフィールドにおいては垂直に飛ぶイメージがついたのである。
しかし、飛べた事実に驚いてしまったルミは、その想像を途切れさせてしまったため、現在の限界顕現時間の10秒を待たずして落下してしまったのだ。
「…それなら、私の得意分野ね!!」
ルミは現実では図書部だ。元々本が大好きであり、図書室の駐在の時も、仕事がなければ色んな本を読んでいる。
そして、本を読むのには想像力も必要である。キャラクターの容姿や、物語の舞台、匂いや音色なども、文字から想像するのだ。
なので、「具体的なイメージ」というのはルミの得意分野だった。
蜘蛛は再びルミの元へカサカサと向かってくる。
それを見た瞬間、ルミは目を閉じた。
大きな羽が、空気を漕ぐように上へと推進する姿。
「っよし!成功したわ!!」
目論見通り、ルミの体は大きく上へと舞い上がった。
先程のように意識を途切れさせてはいけない。それに注意をしながら、おろおろする(しているように見える)蜘蛛へと矢を向ける。
「こんな高いところまで追ってこれないでしょ…【スナイプショット】!!」
そこからは、時間は掛かったものの、パターンにハマったように一方的であった。
現在のスキルレベルでは、10秒が限界滞空時間ではあるものの、その間に、しっかり狙った上で【クイックアロー】と【スナイプショット】で蜘蛛のHPを削り、飛べない時は【回避】と【隠密】で時間を稼ぎ、余裕があれば【スラッシュ】でダメージを与える。
飛行するのにMPを要するため、先程は「HPポーションのがいい」とは言ったものの、MPポーションをありがたく思いながら飛行し続ける。
そうして10分後、MPポーションが底をつきそうになった時、ようやく蜘蛛のHPは残り一マスとなった。
ルミは一際大きく、そして高く羽ばたいて、桜の大樹よりも高い場所から最後の一撃を放った。
「【スナイプショット】」
YOU WIN!
勝利報酬
土蜘蛛の糸×10
土蜘蛛の殻×10
特別報酬(Lv5~10上の相手に勝利したため)
スキル交換チケット 金
レベルアップ
Lv3→Lv7
スキルポイントを振り分けてください
ルミはコツコツ型ですかね。




