ノア、ルミ、ツバサ、バタピー vs 邪族 ベクソン
最近肩こりとそれのせいか頭痛がひどいんですよねどうしましょう
『ふ、ふ、ふは、ふははははは!!!!』
「!!??」
不敵な男の笑い声が、教会内に響き渡った。
バタピーは驚いて「ふぁ!!??」と声が裏返ってしまう。
すると、突如祭壇の上に黒い煙が発生する。
やがてその煙は集まって、人の形を作ってゆく。
『来たな邪教徒どもめ…唯一神グレバティスを汚さんとする哀れで愚かで穢れた子羊共め!!
この私が、唯一神にもとへ導いて差し上げよう!!さすれば貴様ら子羊共の堕ちた魂も救われようぞ!!!!!』
現れたのは、ユーカリの紋章を模した黒い神父服に身を包んだシルバーグレイの髪に紫の瞳、そして白目の部分が黒く染っている、壮年の男であった。
その手には、まるで経典のような厚い本が携えられている。
パッと見は魔族のようであったが、顔や、神父服から僅かに除く肌にはユーカリの模様がこれでもかと這い回っていた。
「っグレバティスって…」
「まさか…!!」
なにかに気づいたらしいルミとツバサは、キッと顔を険しくさせる。
…が、察しの悪いバタピーとノアはきょとんとしている。
「えっ、なに、俺ちょっとわかんない」
「グルグルフェイス?」
「ブッwww」
「ぐるぐるwwwwフェイスwwwwww」
「グレバティスよ!あなたが口開くと場が締まらないわねぇ!!」
「てへ?」
ルミは思わずシリアスクラッシャーのノアを小突いた。
まぁそれはさておきだ。
突然ではあるが、ここでACOの世界観について振り返ろう。
この世界は他種族国家である。
魔族、というのは世間一般的には悪の種族ではあるが、ここでは違う。
魔族は人族と並ぶメジャーな種族であり、ニュートラルな能力値で、若干魔法を得意とする、立派なこの世界の一員である。
故に、『魔物』と一般的には呼ばれることの多い敵は、必ず『モンスター』と呼ばれている。
魔物と呼ぶことはすなわち、魔族への侮辱とされており、悪意はなくとも顰蹙を買ってしまう。
ただし、従魔士かテイムに成功し、理性を持ったモンスターは例外的に『魔物』と呼ばれる。
細かいのだが、まぁ魔族との共存の為には大事なポイントだったのだろう。
では、モンスターとは、一体何か?
この世界には、『邪神』と呼ばれる存在がいる。
それは、異教徒の弾圧とかそういうものの為ではない。本当にこの世界に害を及ぼしているのだ。
かつて、女神アリスによって封印されたとされる邪神は、1000年の時の間に徐々に力を取り戻してゆき、数十年程前からその脅威を発揮している。
すなわち、モンスターは邪神の力で、この世界に害をなそうと産み出されたものである。
そのためモンスターたちに基本理性はなく、目の前のものを破壊する意思しかない。
故に、モンスターは討伐するか、『テイム』により理性を取り戻すする他ない。ただし、『テイム』には限度があるのだが。
そして、その邪神の名前こそグレバティス。
…というのが、ACOの公式HPなどに書かれていた内容である。
ルミは早口で、この内容をかなりかいつまんで説明する。ノアとバタピーは「ふんふん」と真剣に聞いている。たぶん。
そして、ツバサがその後を継ぐ。
「だから、そうだね。
そんな邪神グレバティスを信仰して、恐らくはそのシンボルであるユーカリの模様を肌に持つ彼は…」
SECRET BOSS
邪族 ベクソン Lv.40
「ビンゴ、邪族と言うべきだ」
「ッ!?レベル40!?さっきのケルベロスで15だぜ!?俺は17だ!!勝てるわけねぇだろー!?」
「勝てなくても引き返せないんだよお兄さんー!
ボクもレベルは18だよ!!」
高すぎるレベルを見てわーーっ!!と慌てふためくバタピーとツバサ。
そんな二人を後目に、ノアとルミは邪族の男…ベクソンを見据える。
「ルミ、昨日のモンスターってレベル幾つだったっけ」
「…Lv40ね。でも、彼はモンスターと違ってたぶん頭脳を使ってくるわ。邪族だし、一筋縄ではいかないはずよ。あのモンスターよりも強いと考えるべきね」
「おっけー!ルミ」
昨日の特訓の果てに、ルミとノアは(精神的にもレベル的にも)強くなっていた。
ノア Lv.31
ルミ Lv.31
「行こう!倒すんだ!!」
「ええそうね!!」
ノアは杖を男へと向け、ルミは武器を双剣に切り替える。
「お姉さんたち、戦えるの!?」
「頑張ればいける!!ツバサくん、デバフお願い!!」
「っわかった!信じるよ!!」
「俺は!?たぶんこいつにはタンクの役割が出来ねぇ!こいつが強すぎる!」
「じゃあツバサくんの護衛をお願い出来るかしら!?流れ弾から守って頂戴!」
「わかった!!」
バタピーは、すぐさまツバサの傍につく。ツバサは魔導書を開いた。
ベクソンはノアとルミの方を見る。
すると突然、ベクソンの顔が不愉快そうに歪んだ。
『おやぁ…?そこの小娘二人組…特にエルフの娘、お前の姿に見覚えがあるぞぉ…?』
「ッ、アリスのことを知ってるの?」
少しでもアリスの情報が欲しいノアは聞き返す。
すると、ベクソンは、より不愉快そうに顔をボリボリボリボリと掻きむしり始めた。
『アリス…あぁ、そうだ、そいつだァ!!!あの女のせいで!我らがグレバティス様はその力をお失いになったのだ!!あぁ!!憎い!!!
なぜお前があの女の姿をしている!?グレバティス様に許されて再生したとは思えん!!
許せん!!貴様の首を献上すれば、きっとグレバティス様は更なるお力を手に入れる!!』
『死ねェ!!!!!!!』
すると、ベクソンはノアに向かって手のひらを向ける。
その掌から、丸い葉を茂らせる幾本ものユーカリの枝がノアに向かって急速に伸びる。
「させない!!」
ルミは、双剣を振り回し、枝を切り落としながらノアを庇うためノアの前へと出る。
「ありがとうルミ!【AGI加護】!そして私に【チアアップ】!」
「助かるわ」
そう言うなり、加護を受けて更に素早くなったルミは、祭壇にいるベクソンの懐へ入ろうと一直線に駆け出す。
『おや、邪魔するのだな…ではそちらの娘から消してやろう!!そのような単純な動きで私を倒せると思うな!!』
ベクソンが何かを詠唱すると、その右手にユーカリの枝のような形をした銀色のメイスが現れた。
「ッ、近接も出来るのね!」
『召されろっ!!!』
ベクソンは、ルミの胴をなぎ払わんと、横からメイスを振りかぶった。
「こちらこそ、そんな単純な動作で当たると思わないで頂戴!!」
ルミは、これまで狭い通路のために使えていなかった大きな翼を【顕現】させた。
遺跡内は狭く、飛ぶメリットがなかったのだが、運のいいことにこの礼拝堂は天井が高く、広さもそれなりにあった。
不思議な色に輝く翼で、ルミは上空へと飛び上がり、その場で弓に切り替える。
『っ貴様は!幻翼族か!!』
「あら、なにかご存知で?【花に嵐】!!」
ルミの弓から数十本の矢が放たれた。
しかし、ベクソンは辺りにユーカリの枝を発生させ、触手のように動かし、その矢の多くを弾き飛ばした。
数本は当たったものの、急所には当たらず、大したダメージにはならなかった。
「あぁ、もう、厄介ね!」
「【VITダウン】!」
「【チアアップ】【ホーリーレイ】!!」
『っぐはっ!?』
刹那、ベクソンの胴体を光線が撃ち抜いた。
ベクソンがルミに注目している間に、ツバサがデバフをかけてノアが攻撃を仕掛けたのだ。
「ノア、ツバサ、ナイスよ!」
「やったね!でもまだあんまし削れてない!」
「このまま頑張るよ!!」
『くそがっ…あの餓鬼から潰してやるゥ!』
そう叫ぶベクソンがメイスを回転させると、ツバサの周りを鳥籠のように取り囲むようにユーカリが伸びてきた。
「っまずい!!」
「【ウィンドカッター】!!」
ノアの【ウィンドカッター】によってユーカリは半分ほど刈り取られたものの、残り半分はツバサに向かって伸び続けている。
「【ヘイト】ぉ!!!!」
すると突然、ユーカリはその方向を変えて、バタピーの構える大盾に向かって真っ直ぐ突き刺さった。
「ぐわああっ!!!!」
先程ケルベロスの頭突きにびくともしなかったバタピーは、ユーカリの突撃を受けて礼拝堂の入口付近まで吹き飛ばされる。
「お兄さん!!」
「ばたぴー!!HP半分も削れちゃってるよ!!【ヒール】」
バタピーが立ち上がろうとする間にノアは【ヒール】をかける。【聖女の矜恃】の効果で半分ほど削れたバタピーのHPはみるみる回復した。
「あーそうだった!ノアちゃん聖職者だったな!!火力がイカれてるから忘れてたぜ!さんきゅーな!」
「何それ酷い!」
そんなコントじみたやりとりを交わしている面々に、ベクソンは再び手のひらを向ける。
『この下臈どもが…!っぐあっ!』
「【スラッシュ】!!」
しかし、【隠密】で気配を消した上で背後から近づいていたルミが斬撃を入れる。
『小賢しい!!!!』
「っ【回避】!!」
するとベクソンはすぐさま振り向き至近距離のルミにユーカリの枝を伸ばす。
ルミは舞蘭の特訓の成果で、大体の攻撃はスキルなしで回避できるようになった。
しかし、今のようなゼロ距離ノータイムの攻撃など、回避不可能な時のみは【回避】スキルを使うようにしている。
そうしてなんとか致命傷は回避したものの、全て避けきれた訳ではなく腕の当たりを枝が突き抜けた。
ルミのHPが4割ほど削れる。
「いったいわねぇ…!!」
「ルミー!!【ヒール】!!」
「助かるわ!!!」
ノアのヒールによりなんとか持ち直したルミ。
しかし、ベクソンの枝は数と太さを増してゆき、上空でくるりくるりと旋回するルミを高速で追尾する。
「ヘイトはルミに任せるしかないね!お願い、ルミ、どうか保ってね…!!」
「【チアアップ】【ライトニング】【ウィンドカッター】【ダークエッジ】!!」
レベルとPSが上がったことで、より手数も威力も増した魔法がベクソンへと向かう。大量の光の玉と、風と闇の斬撃だ。
しかし、うち半分はやはり触手のように動く枝によって弾き飛ばされ、礼拝堂を壊してしまう。
「【AGIダウン】!
ノアお姉さん、火属性魔法はとってない!?」
「ごめんとってない!!」
「おっけーじゃあいいや!!」
ツバサは少し悔しそうな顔をする。
枝を燃やせればかなり有利になりそうだが、取ってないもんはしょうがないのだ。
たとえばここにフッ化水素がいれば本当に有利になる。彼は全ての属性の魔法に長けているのだ。
ツバサのサポートにより追撃の手が少し弱ったところで、上空でMPポーションを割り壊す。ルミは有翼族ではなく幻翼族であるため、飛行にはMPが必要なのだ。
そして余裕ができたところでベクソンへ向き直り、弓を引く。
「【クイックショット】!」
高いDEXを持つルミによる高速の矢は、枝の間を掻き分け、ベクソンの左目にクリティカルヒットする。
邪族 ベクソンのDEXが低下します
そのアナウンスに一行は歓喜する。
「よし、きたわ!!」
「るみいい!!!最高ううう!!!」
「さっすがルミちゃん!!!!」
「お姉さんありがとう!!!!」
『この…この私が邪神の使徒に目をつぶされるだと…!!??』
左目を抑えてふらつくベクソンは、信じられないというような表情をする。
『認めない、認めないぞ!!!!!』
そして、ベクソンは獣のように吠える。
それに応えるように礼拝堂全体に轟音が鳴り響き、これまでの戦闘で礼拝堂一面を覆っていたユーカリが…
黒く、腐り始め、紫の靄を放ち始めた。
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