フラグ踏んじゃった(猫踏んじゃったのリズムで)
フラグの上でタップダンス
一行は、危なげなくダンジョン最深部へと辿り着いた。
緋色の扉を見上げてツバサが呟く。
「ここがボスの部屋かなぁ」
「ペロペロスがいるところだね!」
「ケルベロスよ」
「ペロwwwペロスwwwいやうけるwwww」
ペロペロスがツボにはまったらしいバタピーが「ひーーwww」と引き笑いをしているのを見て、ツバサは「お兄さんうるさい!」とぺちぺち叩く。そう言うツバサも爆笑しているのだが。
ルミは思わずため息をついた。
ノア本人は気にせず左右に揺れている。
すると、4人の前にウィンドウが現れた。
◢◤◢◤◢◤◢◤WARNING!◢◤◢◤◢◤◢◤
この先、ダンジョンボスとの戦闘になります。
ダンジョンボスとの戦闘が始まると、パーティー外のプレイヤーとの接触は不可能となります。
また、バトルを途中棄権することはできません。
本当にバトルを開始しますか?
はい いいえ
「…どゆこと?」
「つまり、途中で引き返したり、援軍を頼んだりしたらダメだよってことだね」
「わー!ありがとうツバサくん!!」
じゃあ、とバタピーは一行と目配せした後、「はい」に手を翳した。
水晶が光り、扉が開いていく。
そしてその先には…
「っうわぁ、思ったより大きい…」
番犬、ケルベロスがこちらを睨みつけて待ち構えていた。
BOSS 番犬ケルベロス Lv.15
「よっしゃ!俺に任せろ!【ヘイト】!【重量増加】!」
そう言ったバタピーは、走ってケルベロスに近づいた後、盾をどっしりと構えた。
するとケルベロスは急激にバタピーの方へと突進し、バタピーの大盾に頭突きをかます。
しかし、バタピーはびくともせず、「へへっ」とドヤ顔をした。
「よし!!あとは任せたぞ!かわい子ちゃんとクソガキ!!!」
「お兄さんデバフかけようか?」
「ごめんなさい!!!!」
輝く薄羽をぱたつかせ、ふよふよ浮きながら年上の男を軽く脅したツバサは愉快そうに笑った。
「じゃーいいや、許してあげる。【STRダウン】」
魔導書の一ページを指さしながらツバサがスキルを発動させると、黒い魔法陣がスキャンするようにケルベロスを通過する。
「うぉっ!?更に軽くなったぞ!?これならいくらでも耐えられるぜ!!」
ツバサは支援の中でも、デバフが得意なようだった。
【ダウン】は敵の特定のステータスを下げるスキルだ。これも支援魔法に含まれるため、精霊族の固有スキル【支援強化】の対象になる。
故に、ツバサの【ダウン】はより強力なものとなっている。
「すごいねー!私の【ヒール】出番ないかな」
「そうね、じゃあ…」
そう言ってルミが双剣を取り出すと、ツバサがそれを制する。
「待ってルミお姉さん!弓で攻撃お願い!!」
「ごめんなさい、弓の方が良かった?」
「うん。お兄さんにヘイト固定させた方がケルベロスが多分そんなに動かないから、やりやすい!
ルミお姉さんが近づくと、お兄さんがルミお姉さん守る手間が増えるかも!!」
「わかったわ、ごめんなさい…」
言われてみれば確かにそうだ。
自分が下手に手を出せば迷惑がかかるのは、すぐにわかることだったのに。
どうにも気が回らない自分が嫌になりながらも、ルミは弓を取り出す。
すると、何を察したのかノアが満面の笑みで声をかけてくる。
「ルミ!だいじょうぶだよ!」
「……ノア」
えへへ、とノアは笑う。屈託のないその笑顔に少し心が軽くなったルミは、優しく笑い返した。
ツバサはなおも言葉を続ける。
「ケルベロスの上にHPバーが3本ある。多分それぞれの頭に割り振られているのかな?
じゃあノアお姉さんは1番左狙いながら【ヒール】とか【チアアップ】の支援お願い。
ルミお姉さんは真ん中と1番右を同じくらい削ってって!!」
「うおー!頭いいねツバサくん!!りょかいだよ!!」
「わかったわ、頼りになるわ」
「ルミ!【STR加護】!そして私は【チアアップ】【ホーリーレイ】!!」
「OK、ありがとうノア。【花に嵐】」
【ホーリーレイ】は、昨日の訓練の末にゲットした光魔法である。
ノアが左の脳天に杖を向けると、杖の先から太さ30cmほどのレーザービームが凄まじい勢いで飛び出した。
本来であれば、太さは5cmであるが、そこは流石ノアことバケモンステータスエルフ。格が違う。
飛び出したレーザービームはケルベロス(左)の脳天…からはちょっとズレたところを直撃し、しかしHPをごっそりもぎ取っていく。
一方、ルミの【花に嵐】はノアの加護を受けた上で膨大な火力を持ち、放たれた大量の矢はケルベロス(中)と(右)の脳天を正確に撃ち抜いた上で、それぞれの目や鼻などの急所を次々撃ち抜いていく。
クリティカルのバーゲンセール状態だ。
「えぇ…かわい子ちゃんたち怖ァ…」
「心外ね」
目の前でケルベロスが可哀想な程に屠られていく様を見たバタピーはひぇっと声を上げてしまった。
ツバサは「うおお?」と首をひねりながら驚いている。
「うーん計算外、もちろんいい方に。」
ツバサの作戦の上、バタピーの作り出した安全圏から、ノアの殺人レーザービームとルミの正確で凶悪な矢の嵐を受けたケルベロスは、あわれ。その強さを示すことなく散っていったのだ。
YOU WIN!
勝利報酬
ケルベロスの牙×6
ケルベロスの毛皮×2
ケルベロスの心臓 Rare!!
3000マタ
「うげぇ!!心臓なんて何に使うのさぁ怖いぃ」
「たぶん錬金の人とかに売れるんじゃないかなぁ、ボクも錬金やろうか悩んでるんだけど」
「じゃーもーツバサくんにあげるよ私持ちたくない」
「あんたねぇ…まぁいいけど。
ツバサくん、バタピーさん、ありがとう。助かったわ」
「いんや、こちらこそ。火力ねぇから助かったぜ。」
MISSION 1 リュコス遺跡のケルベロスを撃破する
CLEAR!!
クリア報酬
スキル交換チケット 銅
5000マタ
部屋の中央に帰還陣が現れる中、そう思い思いに健闘をたたえ合っていると、ツバサがふと気づいたように呟いた。
「でもさぁ、『番犬』ケルベロスって…何を守ってるんだろう」
「…『番犬』って言ってたわね。そういえば。」
「言ってたっけ」
「うーん言ってたぜ、もうノアちゃんの記憶力には期待しないけども」
屈☆辱!とショックを受けたノアだったが、それよりも、だ。
「気になるね!」
「そうだな!!もしかしたらお宝とかか!?」
「ね!ノアお姉さんもバタピーお兄さん気になるよね!」
「うん気になる気になる!この奥にいるのかなぁ??」
ツバサとバタピーとノアはわくわくわくわくと盛り上がっていく。
…ノアの好奇心のスイッチが押されてしまった。
「…またろくなもの拾うんじゃないわよ」
そう遠い目でごちるルミをよそに、ノアとバタピーは帰還陣を迂回して部屋の壁を調べ始める。
ツバサは動かずに、帰還陣を見ながら何やらブツブツ呟いている。頭の中で考えているようだ。
するとノアは、とある箇所で止まり、「うんー?」と考え始める。
ややあって、ノアはキラキラした表情でふりかえった。
「あ!ツバサくん!なんかここの壁だけ石のタイル?の大きさが違うよ!」
「本当だ!!攻撃してみる?」
「任せてー!!」
「【ライトニング】!!!」
もはや十八番と化したノアの殺人ライトニングにより、予定調和のようにその部分の壁は脆くも崩れ去った。
そしてその先には。
「あった!!」
「あったね!!」
「あったぞぉ!!!」
「あったわね…」
さらに地下へと続く通路があった。
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これまでの道中のリュコス遺跡は石造りでじめっとしていて、扉を除けば原始的な雰囲気すらあった。
しかし、その階段から先はまるで美術館や博物館、あるいは教会のように重厚で豪奢な雰囲気に変わっている。
壁には、これまで無かったような精巧なデザインのランプが光っており、ノアたちが通るとその光はふっと消えていく。そのため、振り返れば闇が広がっており、まるで引き返すことは許さないと言わんばかりだ。
「うええ…引き返せないのかよォ…」
「お兄さん怖いの?」
「こっ、怖くなんかあるかぁ!?この俺様バタピー様だぞ!!??」
「はいはい強い強い」
「…ルミ、大丈夫?」
心配そうに問われたルミは、ノアにしがみつき小動物のようにかたかた震えながら首を横に振りまくる。
「ルミが暗いところと怖いもの苦手なので歌いまーーす!!」
宣言するや否や、ノアはぴょこぴょこ踊りながら最近気に入ってるKPOPアイドルの歌を歌い始めた。
下手でもないが上手くもない。…どちらかというと、まぁ、下手だ。
踊りの方はまぁまぁキレがいい。
そうしてお化け屋敷に入ったかのようにギャーギャー騒ぎながら下ってゆくと、やがて階段は終わり広い所へ出た。
「ここって…」
そこは、薄暗くも荘厳な、礼拝堂であった。
「教会ね、ステンドグラスとかはないけども。地下だから仕方ないかしら」
確認するノアの横で、ノアは「うーん」と首を捻る。
「でも変だよ、マリアベルの教会は、なんかほら、こう、ダイヤのマークが2つ重なったようなマークがシンボルだけど、ほら見て」
ノアが指さした先には、木の枝のようなシンボルが掲げられていた。
枝には丸い葉が茂っており、少し不思議な形のわさわさした花が咲いている。
「あれはユーカリかな」
「そうなのか?お前って頭いいよなー」
すげー、という純粋な言葉にツバサは少しはにかむ。
「シンボルが違う…ってことは宗派が違うのかしら。それともそもそも宗教が違う?」
「うーんわかんない、私はシンボルも女神像とやらもない教会に行ったことあるし」
言わずもがな、バケモン装備の元凶ことルティカのいる教会のことだ。あそこの教会はなんだか異端だった。
「じゃあとりあえずこの辺調べてみよー!」
「おー!」
「おー!!」
まるで子供の探検隊のような音頭をとり、ノア、ツバサ、バタピーの3人が足を踏み出したその瞬間だった。
『ふ、ふ、ふは、ふははははは!!!!』
不敵な男の笑い声が、教会内に響き渡った。
なんと、VRゲーム日間ランキングに乗りましたー!わーい!
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