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Alice Code;Online  作者: 恋歌
白の王国 神聖都市マリアベル
22/40

バトルダンジョン リュコス遺跡

100pt突破しました、ありがとうございます!


白の王国、王都マリアベル。

人の少ない街道を、凛々しい栗毛の馬と黒鹿毛の馬が軽やかな音を立てて疾走していく。

栗毛の馬にはかわいらしい顔をした白い兎獣人の女と分厚いレンズのメガネをかけた若草色のワンピースの女性が、黒鹿毛の馬には緑の髪の商人風の男性と落ち着いた青色のローブのフードを目深に被った男が乗っている。


「今のところバレてないようで何よりだね」

「もうすぐ日が暮れます、急いでいきましょう」

「はぁい♡任せてスクアード!

メリッサちゃん、落ちないようにしてね☆」

「はいっ!」




かくして、二匹の馬は王都の西へ辿り着いた。


のだが…



「っ!!!

あの緑色の馬車は公爵家の馬車です!ラクダの家紋もあります!!あちらにデボラ嬢が乗っているはずです!」

「…了解!!」


目的の公爵家の馬車を見つけた瞬間、フッ化水素とらびびは非常に険しい顔になった。

スクアードは冷や汗を流し馬を加速さそ、メリッサはサッと顔を青白くさせる。



その馬車を、10匹ほどの狼型のモンスターが取り囲んでいたのだ。



公爵家の護衛騎士もいるものの、今回の作戦のために数を減らしていたらしく、かなり分が悪い様子だった。

「…殿下とスクアード様はここで待機してください。らびぃ、デボラ様の方に行って」

「了解、リーダー!」

「んなっ!?」

指示を受けるやいなや、【跳躍】を用いて狼の群れの真ん中へとらびびは躍り出る。


「そんなっ…らびびさん、死んでしまいますよ!?」

「っ私も助太刀に参ります!」

「大丈夫です、らびびはああ見えて使徒の中でもトップレベルで強いので。それに僕達使徒は女神の加護を貰っているから、この世界では死んでも生き返ることが出来るんです。」

それに、と笑って付け足す。

「僕は使徒の中で1番の魔法使いです。この距離からでも十分援護できる。」




一方、馬車のすぐ傍、狼の群れの真ん中に突如飛び込んできた少女に、公爵家の騎士達は思わず驚愕する。

「ちょっと、君…!!」

「話はあと、私は味方よ」

「そうじゃない、ここは危険だ!君のような弱い女性が来ていい所じゃ…」



「【身体強化】【跳躍】【踵落とし】」



上空から落ちてきたらびびの脚を脳天に食らった狼は、低く唸った後、大きくぐらついて、そのまま光の塵と化して消えていった。

らびびはぐるりと振り返り、騎士たちを冷たい目で見る。その眼光の鋭さに思わずビクッとする騎士。

やがて、最も年嵩の騎士が口を開いた。


「…助太刀を、頼む。」


絞り出すようなその声に満足したように、らびびは可愛らしく笑顔を見せるのであった。




そしてそのらびびの背中の向こうでは、数匹の狼たちが火の驟雨によって屠られていた。

「【ファイアレイン】…っと、らびび、あとはお願いね」

「了解、リーダー」



【ファイアレイン】は読んで字のごとく、空から殺人的な温度を持った炎がまるで雫のように落ちてくる範囲指定攻撃魔法だ。初級魔法である【ファイアアロー】を数段階レベルアップさせた、上級魔法である。

ACOでは、魔法は初級、中級、上級、聖級、災級、天級、神級に分けられる。

こうして見ると上級魔法は下の方に見えるが、そもそも忘れがちだが今日はサービス開始初日である。



閑話休題。



フッ化水素から後を任されたらびびは、残っていた狼たちを見つめる。



フォレストウルフ Lv.12



「まぁ最初のマップだから、こんなもんよねぇ…手ごたえないわ」

そう言いながら、らびびは両手に棘のついたナックルを装備し、その感覚を掴もうとするように手を握っては開く。

そして向かってきた狼を上から押さえつけるように殴り伏せる。ナックルの棘が狼の顔面に突き刺さってのめり込んだ。

フォレストウルフは哀れなことに地面にべたーん!と叩きつけられ、そのまま光の塵となった。

仲間がやられたことに怒った他の狼たちが数匹一斉にらびびに襲い掛かる。


はたから見れば、肉食獣たる狼がか弱い兎に卑怯にも無勢に多勢で襲い掛かるという光景のはずだ。

しかし、囲まれた弱者たるはずの兎は、足を振り上げ狼の顎をぶちぬき、他の狼の噛みつきをバックステップで避け、土埃を立てながら【跳躍】をして高く飛び上がる。

そして、らびびの消えた地上では、火炎放射器のようにフッ化水素の杖から炎が噴き出して、狼たちを焼却していた。

そして、らびびはたった一匹残った大柄のフォレストウルフに狙いを定めて上空から勢いをつけて殴る構えをした。



「【ストレートパンチ】!!」



かくして、こちら側の犠牲を一人も出すことなく、狼たちは退けられたのであった。




「デボラ!!会いたかったわ!!」

「ごきげんようメリッサ、あなたも元気そうで何よりだわ」

馬車の中からエメラルドの翼を輝かせながら顔をのぞかせたデボラは、先程公爵邸で見た時の豪奢なドレスではなく、旅装と思しき軽めの(しかしそれでもゴージャスな)ドレスを身にまとっていた。

安心したように顔を緩ませながらデボラに駆け寄ったメリッサを、仕方のない妹を慈しむ姉のような表情で迎え入れる。…公爵邸で自分たちや執事に見せた表情とはまるで違っている。

一方スクアードや騎士たちは、フッ化水素とらびびに深々と礼をしていた。

「ありがとうございます、本当に…!!デボラ様を守っていただいて…!!」

「これで、つつがなく予定が続けられます!!」

「いえ、いえ…僕たちは特に何も」

と謙遜しつつも、割とフッ化水素はどや顔である。嘘がつけない性格と言えば聞こえはいいが、顔に感情が丸出しである。



「ここの近くにリュコス遺跡があるのは存じてらして?」



馬車の中から、デボラが唐突に声をかけてきた。あまりに唐突だったので、一瞬フッ化水素は自分に声をかけられたとはわからなかったらしい。一拍置いてデボラに向き直った。

「は、はい。僕たちは、国王陛下より、リュコス遺跡の攻略…じゃなくて、モンスターの討伐を依頼されております。期限は特に設けられておりませんが…」

「なら、今すぐ討伐を終わらせてきなさい」

扇子をぴしゃりと閉じて、デボラは命じた。デボラの傍にいたメリッサすらたじろいでしまう。

「で、デボラ、そんな、今すぐなんて…」

「リュコス遺跡は狼型のモンスターが中心、今私たちを襲った群れも、その遺跡から漏れ出してきた輩でしょう。王都から少し出たこの辺りですら襲われるなんて、この先の旅路が心配でたまらないわ?不安は先につぶすべきよ」




「わかったら早く遺跡へ向かって王命を果たしてきなさい、使徒フッ化水素、使徒らびび。

…あなたたちなら手早く終わらせられるでしょう」




…どうやら、この高貴で素直じゃないご令嬢には、それなりに気に入られたらしい。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



バトルダンジョン リュコス遺跡




リュコス遺跡は、西門を出てから300mほどの地点にあった。

遺跡は地下にあるらしい。ギリシャ建築のような入口はぼろぼろと朽ちて、その中に入ると蔦が這って角がところどころかけている土の階段が下へ下へと続いている。まるで地下鉄みたいだな、とフッ化水素は感じた。

ここは非常に薄暗く、VRMMOの非現実世界であるのにも関わらず、まるで現実と変わらないじめっとした空気感とひんやりとした温度を感じさせる。

足元が視界不良なので、最小出力の【ライトニング】を旗の先端に灯してランタンの代わりとした。



やがて二人は、階段を下がり切った。相も変わらず、狭く薄暗い一本道が続いている。壁は岩を積み上げたような作りになっていて、岩と岩の隙間には苔が詰まっていた。

…そして通路の先には、グルルと低く唸る狼たちが、火属性水属性風属性土属性と混ざりあいながら、何匹、何十匹とこちらを見据えていた。



「じゃあ僕が一気に片付けるね」

「そうね、雑魚にいちいち時間取られていたら面倒だもの」

まぁ所詮ファーストダンジョンだ。二人にとっては大したことはない。



「【大海原】」



そうして一本道の先に旗の先を向ければ、狼たちに向かって大量の海流が押し寄せる。飲み込まれた狼たちは少しもがいたのちに、光の塵となり、海に溶けていった。

「やっぱこれは狭い通路だと強いね、逆にオープンなフィールドだと水深が浅くなっちゃうから弱くなっちゃう」

「相変わらず範囲攻撃がお得意なこと…何匹か奥の方のフォレストウルフ生き残ってるから潰してくるわね」

「ありがとう、らびぃ」

フッ化水素の魔法の海流は奥の方に行くほど威力が弱くなる。そこで水属性に強い風属性のフォレストウルフが数匹生き残っていた。

らびびは【跳躍】ですかさず奥へと飛び込んで、一匹ずつ確実に仕留めていく。



魔法使い一本のフッ化水素のAGIは大して高くない。

てけてけと軽く駆けてゆき、曲がり角で腕を組んで待つらびびの元へとたどり着いたときには、当然フォレストウルフたちはすべて葬られた後であった。

「じゃあ、進んでいきましょうか」

「そうだね、あんまり悠長にもしていられない」



そうして、再び二人は狼たちの蔓延する通路へと飛び込んでいった。





騎士たちは多分、盛大にらびびの地雷を踏んでいる。


ほんとはこの回でボス戦まで行きたかったのに…そろそろノアルミターンに戻らないと誰が主人公かわからなくなる…


いいなと思ったらブクマ、あと↓にある☆を5つ埋めてくれると嬉しいです、よろしくお願いいたします。

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