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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第三章 契りって何ですか?天狼さん。
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箱からの脱出方法。(その2)

 灯花は、よく目を凝らして箪笥たんすの空間を見渡していた。

「また、こけるでござるよ」

オタ面さんの言葉を聞きながら、私は箪笥の床を歩いていた。

「大丈夫です。だいぶ、慣れてきましたので」

少し金具を踏んでも、あまり痛く感じなくなった。

「そうは言っても、辛いのは変わらないだろう?」

天狼さんが、心配そうに言葉をかけてくれる。

「無理はせずとも、私がお前を抱えよう」

私を抱えようとする手が伸びて来た。

灯花は、すかさずその手から、身を引いた。

「いいです!だいじょうぶです!」

これ以上、甘えるわけにはいかない。

灯花は、再び歩き出して、目的である歪みを探した。

「…………」

天狼は、空ぶった手を引っ込め来ることができず、その場で固まった。

それを見ていた陽炎は、口元を押さえてくすくすと笑った。

「ぷぷっ!振られているでござる」

聞いていた天狼は、じろりと陽炎を睨み付け、そして、にっこりと笑い、陽炎に近寄った。

「えっ?ちょっとどこを触っているでござるか!いやんっ!ぎゃあああ!!」

「ふんっ!」

天狼の手には、黒い毛が握りられていた。

「うっつうぅ……なんてひどい人!」

まるで、夫に暴力を振るわれた妻のようだ。

そんな陽炎を無視して、天狼は灯花の後を追った。

なんだか、後ろがうるさいなぁと思いながら、灯花はきょろきょろと箪笥を見ていた。

見渡すかぎりの箪笥を見ていたが、歪みは見当たらなかった。

ふと、上を見上げると白と紫の旗が天井から降りているのを見た。

どの旗も、花模様の刺繍が施してあった。

灯花は、少し思考を巡らわせた。

そして、ある疑問が浮かび上がった。

歪みを探さなくても、他に出られるはずじゃないのか?

こっちには天狼さんがいる。

人狼たちにとって、神様だと思っているぐらいだ。

それに、管理者がいるみたいだし。

管理者に聞けば、簡単に出られるのではないか?

それとも、ここが単にそういう場所だからだろうか?

なんて、歪みを見つけるのが面倒くさくなったわけではなく、ただ本当に疑問に思った。

オタ面さんが言っていた。

当代の管理者は意地悪だと…

私は、天狼さんに振り返って聞いてみた。

「天狼さん、あの…」

天狼さんは、私の言葉に傾けていた。

「うん、どうした?」

私は、意を決して言葉を出した。

「天狼さん、前にも来たことがあるんですよね。それって、同じように歪みを探して出られたんですか?」

天狼は眉をひそめた。

「どうして、そう思う」

「えっと…天狼さんなら、簡単に出られるんじゃなかなと思って…それに、ここの管理者がいるんですよね?その人に会えば、すぐに出られるんじゃないかなと思うんですけど…あの、変なこと言ってすみません…」

おそろおそろ天狼さんの様子を伺うと、不敵な笑みを浮かべて、天狼は言葉を出した。

「当たりだ」

「えっ?」

「灯花の言う通り、本来なら、すんなりとここから出られるだろうな」

「じゃあ…」

「だが私は、ここから出られる力が無い」

「…………」

天狼さんは、天井を見上げた。

その視線の先は、白猿はくえいだった。

いつの間に、こちらまで来ていたのだろうか?

白猿は、天井に張り付いたまま、こちらをじっと見ているようだった。

「私は、以前ここに来た。だが、同じように閉じ込めれて、出られなかった」

「……今回も同じように?」

「そうだ、それしか出られなかった。そして、管理者に何を言おうとも、今の私は相手にもされなかった」

「そんな!困っているんですよ!」

「ここが、そう言う場所だからな。資格が無い者は、じ込めるのがこの世界の常識。管理者に意を唱えるなら、それなりの資格を持たねば、会うすら難しい」

「天狼さんに資格が無いと言う事ですか?」

「そうだ」

「そんな…」

天狼さんにそこまでさせる管理者っていったい…

天狼さんより、偉い人?

それに…

「本当に危ない場所だとわかっていたら、入らなかったのに…」

閉じ込められるなんて、聞いてはいたけど、こんなにも危険な場所なんて思いもしなかった。

天狼さんはよく入ったよね…

「正直、灯花がいるのは驚いている」

上を向いていた天狼は、今度は灯花を見ていた。

「よくじられなかったな、ここまで来るのは、苦労しただろう?」

「ああぁそうですね…誰かさんが、居てくれたので何とかここまで来れました」

誰かとは、あえて言わない。

「とにかく、前に進むしかなさそうですね。頑張らないと…」

「本当に無理だけは…」

「ほんとうにだいじょうぶです!」

「そうか…」

なんだが、残念そうな声が聞こえたが、そこは流そう。

そう何度も抱えられたら、顔が真っ赤で治らなくなりそうだ。


 ここから出る方法は、わかった。

歪み。

現世と幽世の隙間。

曖昧で、かさぶたのようなもの。

りんさんからの言葉だ。

彼の言葉が今の私がいる。

生かされている。

灯花は、切ない気持ちを押しとどめて前を向いた。

歪みがある所ってどこだろう?

そう簡単には、見つけられないだろう。

「天狼さんは、前来た時、歪みはどこにあったんですか?」

「ああ、そうだな……」

なーんか、嫌な予感。

天狼さんの反応が、私が思ってもいないことを言いだしそうだった。

「どこにあったかと言うと、空間を斬りつけてだな…」

「…………はい?」

それって、強行突破で出たと言っているような、気がする。

「斬っていいんですか?」

「駄目だろうな」

「…そっそ、それじゃあ、前回は、無理やりこじ開けて出られたんですか?」

「ああそうだ」

なんだろう、この不安は…

「なに、少し傷ができるぐらいだ。問題なかろう?」

悪気もなしに、答えて来る天狼さんに、私は待ったをかけた。


 私は、少し遅れているオタ面さんに近寄った。

「あの、オタ面さん。あの見た目はすっごくかっこいいんだけど、物騒なことを言っているんです。本当に大丈夫なんですか?私、生きて帰れますか?」

オタ面さんは、さっきから尻尾をさすっていた。

「無事ではすまないだろうな。ここは、禁忌の箱でござるよ。そんなことして、禁忌が漏れてしまうでござる。まあ、漏れてしまったでござるがな」

「まさか、硯鬼が出て来たのは…天狼さんがつけた傷のせい?」

「ほう…察しが早くていいでござるな。直感がよいことは、兆しがあるぞよ」

「…………そうなのですか?」

「さっきから、冷たい態度をしおってからに…ぷいぷいでござるよ。天狼坊ちゃんに、直で言ったらどうでござるか」

「私が言っていいんですか」

「天狼坊ちゃんは、歪みと言うより己がつけた傷を探しておられる。傷を開くと言う事は、今より傷が悪くなるでござるよ。今言わなくては、いつ言うでござるか?己の直感を信じた方がいい、少なくとも身の危険を知らせるものであるぞよ」

「まさか、そんな、物騒なこと、天狼さんが…」

「まあ、言わなくても後々が大変だということは、わかっているでござる」

「それじゃあ…」

「拙者は、監視者であるぞよ。それ以外は、職務外でござる。ここがどうなろうが、当代の管理者の問題でござる」

「…薄情なんですね。オタ面さんも閉じ込められているんですよ。どうやったら、無事に出られるか考えてくださいよ!えっまさか、自分だけ出られる方法を知って…」

オタ面さんは、ぷいっと顔をそむけた。

「ああー!!知っているんですね!」

なんて人なんだ!

こっちは必死に、出られる方法を考えて、歪みを探していたのに!

私は、オタ面さんの着物を引っ張ったり、叩いたりして、白状させようとしたが、白を切られた。

「もぉお!オタ面さんのばか!いじわる!へんたい!」

「ぐっふふふっご褒美でござる~!ぐっふふっふ……ふ?」

オタ面さんの笑いが止まった。

じろりと刃のような瞳がオタ面さんの影から見えた。

「は…」

オタ面さんの背後には、天狼さんがいた。

「なにやら、二人で話しているようだが…灯花をいじめてはないだろうな…」

「はっ…は、は」

武道に精通していない私でも、天狼さんから殺気を感じた。


 天狼さんがオタ面さんにお仕置きをする前に、私は割って入った。

「天狼さん、ここはきちんと協力しましょう」

天狼は、訝しげな顔をした。

「協力?」

私は、天狼さん、オタ面さんを交互に見て言葉を出した。

「私は、ここがどう言う所なのかは、よくわかりません。ですが、私達は、この場所に閉じ込められているんです。お二人の話がどうも食い違っています。ここは、知っている情報をどうか私に教えてください。お願いします」

天狼は、陽炎を見ては、そして目を閉じた。

「わかった、灯花の頼みだ」

陽炎は、鬼の面の中で小さく笑い、頷いた。

灯花は、了承してくれたことに安堵した。

「ありがとうございます。それでは、脱出の方法を考えましょう」

今度は、きちんと3人で話会おう。

だいぶ遅い投稿ですみません。ペコリ(o_ _)o))

これからもコツコツ投稿を頑張ってきます!

読んでいただいてありがとうございます!

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