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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第一章 助けてください!天狼さん。
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コートの男。

 男は、座り込んでいる私を見下ろして言った。

「君、ほんとに大丈夫?」

様子を伺う声に、私は少し落ち着きを取り戻す。

普通の人ならば、こんな所で座り込んでいる女子高生がいたら心配するし、声ぐらいかけるだろう。

「だ…だっだいじょうぶです…」

恐れで裏声だったが、声を出せたのはよかった。

私は伏せていた顔をゆっくりと上げた。

そこに立っていたのは、背の高い男だった。

一見普通の成人男性に見えるが不安を感じる格好をしていた。

男はスーツの上に茶色いコートを着ていたが、仕事帰りにしてはかなり汚れていた。

山でも入ってきたのだろうかと思うほど、男は土まみれだった。

男の顔は暗くてよく見えなかったが、笑っているような気がした。

優しく言っているのは分かるが、なんだか悪寒がする。

「大丈夫なら早く帰った方がいいよ、君」

「…はっはい…」

言われた通りに重くなった体をあげる。

早く帰ろう。

こんなところ早く離れよう。

男に背を向けた時、声をかけられた。

「気をつけて帰ってね、夜は危ないから…」

そう言われた時には、逃げるように走っていた。

不気味な声音で言ってくるから恐ろしくて私は逃げた。


 そんな女子高生の背中を見ながら、男はつぶやいた。

「そんなに逃げなくても…」

自分はただ心配で声をかけただけなのに…

男はため息をつき踵を返した。

電工灯は男を照らしていたが、男の影はその形はしていなかった。

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