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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第三章 契りって何ですか?天狼さん。
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鬼面の人狼。

 鬼の面をした男は、背にある刀に手にしながら、こちらへと向かっていた。

灯花は、黒い糸で拘束されているため、身動きが取れなかった。

少しでも動くと、鋭い糸が肉を食い込んで、痛みで身体がしびれた。

そんな無抵抗のまま、男と対面することなった。

鬼の面をした男から、背筋が凍るほどの鋭い視線を感じた。

威圧と言うべきだろうか?

肺が圧迫するほどの空気の重さに、意識して息をするのが精一杯だった。

男は、ゆっくりと鈴の音ともに刀から刀身を抜き出した。

いよいよ、死ぬ時が来た。

死神。

きっと、こういう人のことを言うのだろう。

鬼の刃が高く上がった時、私はとっさに目をつぶった。


死にたくない。

愉快な曲メロと共に、死を想った時だった。


耳を疑いたくなる言葉が飛び込んできた。

「はい、もしもしでござる~」

その着メロが、アニメの着メロだったとしても、私はきちんと死を覚悟した。

司氏つかさし、お主も悪よの~」

鬼の面をした男が、秋葉に居そうなオタクだったとしても…

「して、対価の方は…、なに!魔女っ娘マジカルのフィギアが手に入らなかっただと!お主、裁判の用意は出来ているだろうなあ!えっJK?拘束プレイ、ナウござる!」

前言撤回。

こんな所で思いたくなかった!

つか、鬼の人!オタクだったの!

まさかの同類に、私は目を見開いた。

こんな所で死ぬなんざ、馬鹿らしくなってきた。

「……っ!」

あとちょっと首を動かしていたら、首は斬れていた。

鬼の刃は、きちんと首をとらえていた。

オタクのくせに、やることはしっかりとやっていた。

鬼の面をした男は、片手で携帯を持って、誰かと電話をしていた。

司氏つかさし~、天誅てんちゅうでござるぞ!」

一体、誰と電話しているの?

てか、幽世ここって電話繋がるんだ…

「だがしかし!生JKの匂い、甘美でござる。次は、セーラー服と機関銃のコスをご所望いたす!ぐっふふ、想像しただけで、いにしえの生傷がうずいて、拙者、血がたぎるでござる~!」

震える刀に、首に刃が当たりそうだ。

さっきまでの威厳はどうした!

「ふむふむ……ならばわかった。お主の言う通りにしょう」

声音が変わった?

鬼の面をした男は、そう言って電話を切った。

「…………」

私は、そのまま様子を伺っていた。

面をしていて表情はわからないけど、さっきよりだいぶこの人のこと怖くなくなった。

じいっと睨んで、その場を耐えていた。

「JKよ、見逃してやる」

「えっ?」

首に構えていた刃が離れ、手首と足に絡み付いていた黒い糸がするりと解かれた。

「アニメの時間だ。さらば」

鬼の面をした男は、刀身を鞘に納めると鈴の音を鳴らした。

蜘蛛の巣のように張り巡らされていた黒い糸が一瞬で切れた。

男は、踵を返して影の中に潜り、闇へと帰って行った。

私は、呆然としていた。

一体何だったの?

さっきまで強烈な出来事だったために、静けさが戻り肌寒く感じた。

手首と足に黒い糸による切り傷が残っていて、鈍い痛みだけが残った。

「何なのよ…」

ぽつりと言った言葉は、かすれた声だった。

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