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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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ホワイトクリスマス。(その7)

 天狼は、幼い灯花と一緒に少女を探すこととなった。

少女は、花柄のパジャマを着ていた。

ここの入院患者なのだろう…

「さて、どうするか…」

…においがしない、御霊みたまをどう探すか…

このままだと御霊を蟲に喰われてしまう。

それに、灯花をこのままにはできない。

いつまに、幽世かくりよに迷い込んだのだ?

迷い子だから仕方ないが…

天狼は、灯花をじっと見る。

可愛らしいな…

灯花のほほをつんと指で押す。

「むう?」

灯花は、きょとんと天狼を見た。

「わんわん?」

「そろそろ、探しに行くか?」

「うん!」

天狼は、灯花の笑顔に微笑んだ。


 病室から廊下に出ると、パラパラと黒蟲くろむしが降って来た。

「…っ!」

「ふにゃああ!」

幼い灯花は、服に付いた黒蟲をぱたぱたをはたいた。

天狼は、灯花を連れて一旦、病室に戻った。

灯花についている黒蟲を取りつつ、状況を見た。

黒蟲たちが、動き出している。

あまり、時間がないのかもしれない…

灯花を一人で幽世かくりよから、戻すことは難しくなってきた。

ならば灯花は、この天狼が導いてやらねば…

天狼は、灯花を抱き上げた。

「わあ!」

「しばらく、私につかまってくれるか?」

灯花は、にぱあっと笑いながら言った。

「わんわんの耳だあー!」

小さな手が獣耳に触って来た。

「できるだけ、優しく触ってくれ…この耳は生き物だぞ…」

遠慮なく握ってくるので、少しばかり顔をしかめた。

「灯花、痛いんだ…頼む」

私が言うと、灯花は握るのをやめた。

「むうぅ…痛かった?」

「痛かったぞ」

灯花は、ちょっと涙目になって言った。

「むうぅう…ごめんなさい……」

天狼は、顔を近づけて灯花のおでこに、こつんと当てた。

「わかればよい、灯花は素直で良いな」

微笑みながら、灯花に告げた。

「灯花、私に掴まっててくれ。もし、蟲が付いても少しだけがまんしてくれ。あとで、きちんと払うから大丈夫だ」

「うん」

灯花は、私に腕をまわした。

「いい子だ…」

天狼は、灯花をしっかりと抱き寄せて、廊下に出た。


 天狼は、長い廊下を走った。

黒蟲たちが天井から湧いて落ちて来ていた。

雨のようにパラパラと無限に降り続ける。

もはや、慎重どころではないな…

しびれを切らした黒蟲たちが、仕掛けて来ていた。

廊下を走っていると、黒蟲の群れが形をなして、巨大な黒蟲となって襲ってきた。

「でかあ!」

灯花が叫ぶと天狼は、持っていた大太刀を素早く取り出して、巨大な黒蟲を一刀両断する。

斬れた黒蟲から、黒血くろちがとびっ散った。

天狼は、灯花を抱き直した。

「灯花、目をつぶってくれ。目が痛くなるぞ」

「うん?」

天狼は、風を感じた。

この廊下に流れる風の道を感じ取りながら、身に宿るほのうを練る。

巨大した黒蟲が再生始めた。

無数の黒蟲には、大太刀で斬ったところで無駄なことは分かっていた。

だからこそ、こちらにはそれを一掃する力がある。

「世界のことわりにそって、お前たちを消してやろう」

火種と風と燃やすモノがそろえば、何になるかはわかるな?

天狼は、足元に散った黒血を踏む。

すると、青い火がガソリンに引火したように散った黒血に広がった。

青い火は、青いほのうとなって、風を通して廊下中に広がり、黒蟲たちを燃やし尽くした。

焦げたにおいが鼻に着いた。

黒蟲たちの残骸が白の着物を汚す。

灰は、力なく風に踊る。

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