ホワイトクリスマス。(その2)
天狼は、国光と共に病室を出た。
病院の内は、人の気配はなく、静まり返っていた。
廊下に一つ足音を鳴らせば、奥まで響いた。
非常口の明かりが目立つ暗さだった。
非常口を見ていると、視界が少しぼやついた。
無理に起きたから、まだ、麻酔が効いているのかもしれない。
国光が心配して伺ってきた。
「天狼様、ご無理は…」
「私にかまうな。国光、ここは何としてもやらねばなるまい」
病室に眠る灯花のためにも、蟲を滅せねばならない。
大太刀を握り直して、廊下を歩き出した。
幽世は、この病内に存在している。
どんなに隠そうとも、人狼の鼻には誤魔化されない。
この病内に入った時、蟲のにおいが充満していた。
どこかに、膿蟲がいるのだろう…それか、親蟲かな?
だとしたら、道をこじ開けて幽世へ入るのみ。
天狼は、静まり返る廊下を歩くと、ある病室に入った。
蟲のにおいが強い病室へと足を踏み入れた。
病室は、大部屋だった。
複数のベットが並べられていた。
どのベットにも、入院している者はいなかった。
病室の奥へと進むと、一つ不自然なベットがあった。
ベットの上に、画用紙が置いてあった。
それを手に取って見ると、クレヨンで描かれた子供の絵だった。
国光がその絵を覗き見た。
「斬新な絵ですね」
その絵は、小さな人と黒くて大きな塊が描かれていた。
「よく描けているな。昔の国光の絵にそっくりだ」
国光は、眼鏡を上げながら聞いて来た。
「…失礼ですが、いつの話ですか?」
「うん?覚えてはおらんのか。共に描いただろう?道司を」
「覚えていませんね。思い出したくもないです」
国光の眼鏡が曇って見えた。
私は、一人でぼそっと言った。
「そうか…よく描けていたのにな…」
私は、そっと絵を戻した。
「さて、行くとするか…」
幽世への道は、この先。
窓の外に落ちるしかないな…
私は、窓を開けた。
外の冷たい風が肌を撫でた。
まだ、静かに雪が降り続けていた。
「国光、お前はここに残れ」
「天狼様!」
「命令だ。あの子を守ってくれ」
私は、窓に足をかけて外に出た。
国光は、駆け出したが既に遅かった。
天狼は、窓から堕ちた。
そして、地面へとたどり着くと突然、黒い大穴が開いた。
大穴から黒い毛虫の群れが湧きあがり、天狼を飲み込んだ。
プリンにしょうゆをかけるとウニの味!Σ(・ω・ノ)ノ




