表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
51/310

ホワイトクリスマス。(その1)

 天狼が目を覚ますと、傍らに娘が眠っていた。

小さく呼吸の音を吐きながら、私の手を取って握っていた。

起こさぬように、娘の顔に掛かる髪をそっと払った。

また、泣いたのだろうか?

泣いた跡が残っていた。

この子は、私に出会った時からこうなる運命だった。

「お前は、私に出会ってはならなかった…救われてはならなかった」

朝峰灯花あさみねとうかは、私によって迷い子になってしまった。

幽世かくりよへ堕ちやすくなり、現世うつつよでの生活も困難になってきていた。

「すまない…灯花。私が、手を出してしまったために…」

灯花の首元には、包帯が巻かれている。

私は、そっとほどくと、刀傷が残っていた。

今、嘆いても灯花の日常は、返っては来ないというのに…

私は、愚かだな…

灯花の刀傷をなぞるように触れた。


 しばらくして、廊下から靴音が響いて来た。

病室の扉は外れていて、誰が鳴らしているのかすぐにわかった。

眼鏡をかけ直しながら、病室へと入って来た黒服の男は言った。

「天狼様、正直そのまま帰ろうと思いました」

国光の呆れまぎれの言葉に私は答えた。

「そう申すのではない、国光」

「無茶をなさらないでください。山犬の皆が心配しておりました」

「それは…すまない」

「彼女の身はこちらで保護するつもりでした。天狼様が、駆け出して行かれることではありません」

「どうしても、灯花に会いたくてな…」

「それが、この結果ですか」

「…そう怒るな、美鈴みすずにも、責めないでやってくれ」

「いいえ、美鈴にはきつく叱っておきます。弁償代がありますので」

国光は、外れている扉を見てそう言った。

言っていることは、分からんでもないが…

私は、あることを国光に告げた。

「国光、ここの蟲を滅するぞ」

国光は、少しため息交じりに言った。

「…そうだろうと思いました。持って参りましたので、こちらを…」

国光は、カバンと長い包みを私に渡して来た。

カバンの中には、いつもの着物が入っていた。

白い着物に黒の袴だった。

私は、それに着替えると国光に言った。

「仕事が早いな、助かる」

「それが、私の仕事ですので」

国光は、よくやってくれている…

その彼の前で、休むわけにはいかないかった。

「この土地は、よく蟲が湧くな…」

「それは、この土地に大本が存在しているからでしょう…」

「そうだな…」

私は、滅せなければならない。

もう一人の自分を。

長い包みから、大太刀を取り出した。

「また、長い夜になりそうだ…それまで、灯花はここで休んでくれ」

私は、起こさぬように、そっと灯花の額に口付けを落とした。

灯花は、ぐっすり眠っていて、ぴくりとも動かなかった。

そんな灯花に、私は少し笑みがこぼれた。

今日は、お兄ちゃんにプリンを食べられました。

貴様の持っているプリンをよこせえぇー!(゜Д゜)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ