表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
50/310

ブラッククリスマス。(その14)最終。

 私達は、無事病院に到着した。

「よし!着きましたよー!天狼さん!」

天狼さんは、顔色は悪いが意識は、はっきりとしているようだった。

「そうか…」

普段から良くきたえているのだろう。

平然と車の揺れにも耐えていた。

車のドアを開けようとすると、美鈴さんは蹴り上げてドアごと外した。

「美鈴さん!静かに開けてください!」

「灯花、まず壊したところからつっこむべきでは?」

天狼さんは、静かに車から降りた。

タクシーの運転手は、青白い顔をしながら私達を見送った。


 病院内に入って、急いでカウンターいる看護婦さんに詰め寄った。

「急患!急患!急患!」

「早くしろ」

美鈴さんは、指を鳴らしながら看護婦さんに近寄った。

看護婦さんは血の気がサーと引きながら言った。

「い、い、今、先生呼んできますので!」

逃げるように走って行ってしまった。

本当に大丈夫か?

「天狼さん大丈夫ですか?」

「無論、大事ない…」

天狼さんは、心配するなと言うように、優しい顔した。

私は、その顔を見てふつふつと何かがこみ上げて来た。

それは、すぐに限界値を超えていて、気づいたら大声で怒鳴っていた。

「うそつけぇ!」

「…っ!」

「こんな怪我をして、大事ないって!ふざけるなー!」

「……………。」

天狼さんは、私の怒鳴り声に固まってしまった。

「人に無理するなって言いながら!自分はしっかり怪我してきて!天狼さんは、本当にばか!あほ!まぬけ!この駄犬!宇宙人!」

天狼さんは、わからない単語が出て来たと言わんばかりにきょとんとした。

「…うちゅうじん?」

私は、めんどくさくなって言ってしまった。

「辞書で調べて!」

「わかった」

天狼さんは、納得したみたいだった。

 

 私は、一番重要なことに気づいた。

「あれ、人狼って…病院に診せていいんだっけ…」

私は、天狼さんの身体を触りまくった。

いい体つきだ。

そして、いい筋肉だ!

「とっ灯花…」

私は、次に白い尻尾を掴んだ。

「うぐっ!」

「マジもんだ!やべえ!」

ふさふさしていて、気持ちいい。

「こらっ!勝手に触るんじゃない!」

天狼さんは、スッと尻尾を隠した。

少し赤らめていた。

あら、なんだかエロイな…

私、セクハラでもしたか?

「でも、本当に人狼なんですね!尻尾とか本当に本物で……やばいかもしれない」

今度は私が血の気が引いた。

「何がやばいのだ?」

「天狼さん、解剖される!」

未確認生命体である天狼さんは、間違いなく解剖される!

ツチノコ並みの伝説上の生き物なら、大丈夫かもしれないが天狼さんはアウトだ。

「やばい!天狼さん!」

時は、既に遅かった。

天狼さんは、ベットに乗っけられていた。

たくさんの看護婦さんたちに囲われて連れていかれた。

「天狼さあーん!」

すぐに追いかけたが、集中治療室に連れていかれて入れなかった。

「博物館で会うのは嫌だあー!」

きっと、天然記念物扱いだ!

「天狼さあーん!!」

名前を呼んでも声が響くだけで、虚しく終わってしまった。

そんな私に、年配の看護婦さんが目の前に立っていた。

「あんたらあ!院内で大声でしゃべるなああ!」

いや、看護婦さんの声が一番でかい!


 年配の看護婦さんにこってり怒られて、正気を取り戻した。

念のため、美鈴さんに頼んで国光さんと連絡をした。

すぐにこちらまで来てくれると聞いて、ひとまず安心した。

タクシーの件は、全部国光さんに任せよう。

ワタシシラナイ。

美鈴さんと一緒に天狼さんの治療を待った。

解剖の件はひとまず置いといてだ。

しばらくして、年配の看護師さんから声をかけられた。

治療が終わったということだった。

天狼さんは治療が終わって、すぐに病室の個室へと運ばれたらしい。

私達は、すぐに天狼さんの元へ向かった。


 病室に入ると、静かに眠る天狼さんがいた。

麻酔でぐっすり眠っていた。

先生からは、傷は浅かったが出血は多かったと聞いた。

このまま、血を流していたら危なかったことも聞いて、やっぱり天狼さんはバカだと思った。

「天狼さんのばか」

私は、天狼さんの手を取った。

自分の手と合わせたら、私が子供の手になってしまった。

天狼さんの手は、細いのに皮膚が厚く、力強い手だった。

美鈴さんの安堵の吐息が聴こえた時には、さすがの美鈴さんも天狼さんのことを心配していたんだと思った。

「あなたがいて、よかった」

「えっ?」

「私は、頭がにぶい。判断が付かない所があって、力任せにやってしまう時がある。だから、あなたがいて、よかった。ありがとう」

「そっそんな!私こそ、お礼を言うべきです!私も美鈴さんがいてくれて、よかったです!ありがとうございました」

こんな、いいお姉さんめったにいないよ。

「うん」

言葉は短く返されたが、美鈴さんの表情は優しい笑みを浮かべていた。

美鈴さんは、何も言わずに病室を出ようとしたが、扉を勢いよく開けてしまって、扉が外れた。

「美鈴さん、静かにね。静かにね…」

「うん」

美鈴さんは、うれしそうに出て行ったが、扉は外れたままだった。

よく見たら、ドアノブが無くなっていた。


 私は、天狼さんの手をずっと握っていた。

眠っている天狼さんは、静かに呼吸をしていた。

イケメンが眠っているよ…

このイケメンに、友達宣言される私ってどいうこと!

今まで、いい感じだったじゃん!

ハグした仲じゃん!

それを…友達って!

トモダチって!

「この宇宙人…」

やるせない気持ちが少しだけ湧きあがった。

私は、静かに泣いた。

今日は、こんがりプリンを食べた。

明日も、こんがりプリンだ。

明後日は、プッチンプリンだ!(・ω・)ノ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ