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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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ブラッククリスマス。(その13)

 後半、ちょっと主人公あらぶっています。ご注意ください。

 静かに落ちる雪の中、私は走った。

歩道の向こう側に、天狼さんを見つけたからだ。

天狼さんもこちらを見つけては、こちらに向かって来ていた。

だけど、道路を挟んだ向こう側には、なかなかたどり着けなかった。

近くに歩道橋もなく、何十メートル先の横断歩道まで行かなければ、天狼さんがいる向こう側にはいけなかった。

私は足元をふらつきながら、横断歩道へと向かった。

途中、人にぶつかったり、転びそうになったりしたが、何があっても立ち止ることはなかった。

街の中は、クリスマスの飾りで鮮やかだった。

クリスマスを楽しむ人たちが何度も目に入ったが、そんなの全く気にしなかった。

横断歩道にたどり着くと、向こう側に天狼さんがいた。

渡ろうにも、赤信号だった。

なんて空気が読めない信号なの!

歩道ボタンを連打する自分がいた。

その様子を見ていた天狼さんは、ちょっと呆れていた様子だった。

青になった瞬間、私は誰よりも早く前に出た。

そして、おもいっきり天狼さんに抱き着いた。

「待たせたな…」

天狼さんも私を抱き寄せた。

「待ってないよ」

待つどころか、走って来た。

しばらくして、車のクラクションが鳴って慌てた。

私達は急いで、横断歩道を渡った。


 天狼さんとは、ずっと会えてなかったような気がする。

天狼さんのこの匂いも懐かしく思える。

私は、ぎゅっと天狼さんに抱き着いた。

たった一日で、こんなにも遠く感じたのは、きっとまた幽世かくりよに迷い込んだせいだ。

時間の流れは、こちらとあちらでは違っていた。

幽世では、とっくに日が昇っていてもおかしくなかったのに、こちらでは、人が行きかう時間のままだった。

この時間のずれは、酷だと思う。

このまま、天狼さんに会わずにこの日を終わらせてしまっていたら…私はきっとずれた時間のまま、心の中で幽世を過ごしていたのかもしれない。

私は、天狼さんの呼吸を聴きながら、ずれた時計を元に戻した。

しばらくして、天狼さんは私に聞いて来た。

「灯花、怪我はないか?」

天狼さんは、私の身体を見渡した。

「はい、大丈夫でしたよ。友達が何度も私を助けてくれましたから…」

天狼さんは、少し困った顔をした。

「話は、聞いている…また、無茶をしたな…」

そう言いながら、私の目元を指で軽くさすった。

そういえば、酷い顔だったことを思い出した。

「泣いていたな…」

そう聞かれて、戸惑った。

「あっえっと、それは…」

「川村から何かされたのか?」

「なっ何もされていません、よ…」

「本当か?」

「…本当です、だから、その、私が勝手に泣いただけですよ…」

天狼さんに迷惑かけたから、泣いていただけ…

むしろ天狼さんに謝らないといけない。

「私、天狼さんに助けてもらってばかりで、何も返せてなくて…せっかくの羽織だって返せてなくて…それに、迷惑いっぱいかけて…」

「…私が、気にすると思ったのか?」

「…っ!」

天狼さんの怒気を含んだ言葉が出てきて驚いた。

「私がお前を巻き込んだのだ。その私が見返りを求める男にみえるのか?私は、お前にはこの現世うつつよで健やかに過ごしてほしいと常に願っているのに、お前はそう思うのか?」

「天狼さん…」

私バカだ…天狼さんの気持ちを気づかないで、勝手に思い込んで…

「ならば、お前が望む通りにしょう…」

「…っ!」

天狼さんの抱きしめる力が強くなった。

「私が求めるのは、もっと自分自身を大事にすることだけだ」

「天狼さん…ごめんなさい、私…天狼さんを傷つけちゃった…」

涙がぽろりと落ちた。

「分かったのなら…無理だけはしないでくれ…」

「はい…」

「いい子だ」

天狼さんはゆっくり私を放すと頭をそっと撫でた。

優しい手つきにほっとした。

見上げると優しい笑みがそこにあった。


 この時期にこの街に雪が降るのはとても珍しい。

このホワイトクリスマスは、特別な日になりそうだった。

ふと、私は天狼さんに伝えたいことができた。

合コンの時からずっと思っていたことだ。

私は、天狼さんのことが好き。

学校では、決して伝えてはいけないことだから、今だけは伝えられると思った。

「天狼さん…私…」

「うん?」

「あの、その…」

いざ、言おうと思ったら、なかなか言えないことがわかった。

ここを逃すと後々言えないことは目に見えている。

頑張って出すんだ!

「えっと…天狼さん…私のこと、どう思っています?」

なんだか、ずれてしまったけど…いい問い方だ。

ここでいい答えが返ってきたら告白しよう!

「灯花のことか?そうだな…」

天狼さんとは、抱きしめる所まで行けたんだ…この先だって、行けるはず!

私の中で期待が高まってくのを感じた。

天狼さんは、私に笑いかけて言った。

「友達だな!」

…トモダチ?

トモダチ…トモダチ…トモダチ…トモダチ……

ト、モ、ダ、チ。

トモダチってなんだっけ?

「……トモダチってなんですか?」

天狼さんはきょとんとしてすぐに答えた。

「私にとってお前は、大事な友なのだが?」

「……えっ?友達ですか!天狼さん。」

私は、心の中で頭を抱えた。

あぎゃあああー!

天狼さんの中では、お友達だった。

ザ・フレンド

今まで、散々触っといて!

ハグしといて!それで!フレンドってなに!

トモダチってなに!

指と指をくっつける奴か!

この宇宙人め!


 私は、ふと手のひらを見た。

えらく真っ赤だ…

私こんなに、怪我してたっけ?

ああ、そういえば、真夜の治療していた時に付いたんだっけ?

にしても、血がまだ乾いていない…

まだ新しい血だった。

「…………。」

嫌な予感がして、天狼さんを見た。

天狼さんは、腹部を押さえていた。

「天狼さん…それどうしたんですか?やたら血が出ているんですが…」

天狼さんは、笑顔で言った。

「たいしたことではない、気にするな」

「あなた、バカですか?」

素直に言ってしまった。

だがもう、覆せない。

「私は、そんなに愚かではない」

ぷいっと顔を反らした。

私は、タクシーが駐車しているのをたまたま目に入った。

「タクシー!」

私は、タクシーの所に走って行った。

車に飛びついた。

運転手である中年の男性はかなり驚いていた。

なにせ発進しようとしていたからである。

私は、べしべしと窓を叩きタクシーを呼んだ。

「ヘイ!タクシー!」

一向に窓を開けようとしないタクシーに、今まで黙って見守っていた美鈴みすずさんが動いた。

タクシーの窓を拳で割った。

「…っ!」

ひと殴りで割ったから、運転手は啞然あぜんとしていた。

私は、そのすきに言った。

「乗せて!」

運転手は恐れて、タクシーのドアを開けた。

私は、天狼さんを無視やりタクシーに乗せて、私達も乗り込んだ。

私と天狼さんは後部座席に美鈴さんは助手席に座った。

「大怪我しているんです!近くの病院まで行ってください!」

美鈴さんは、タクシーの運転手をなぜか脅していた。

「早くしろ」

コキりと指を鳴らした。

「ひぃい!」

運転手は、怯えながらタクシーを発進した。

途中、横断歩道に差しかかりカップルがゆっくりと歩いていた。

既に信号が赤だと言うのに、とろりとろりと渡っていた。

私は、イライラモードに入っていた。

「あのカップルなめとんのか!こっちとりゃあ急いでるんじゃあ!」

美鈴さんは気を利かせて言ってきた。

「しめに行きましょうか!」

「やめてくれ…美鈴。お前が行くと血祭りだ」

天狼さんは、すごく嫌そうな顔をしながら美鈴さんを止めた。

天狼さんの顔色がますます悪くなっているのがわかった。

腹部には、べったりと出血していた。

私は、制服を脱いだ。

シャツで出血している腹部を押さえた。

「天狼さんってほんとばか!怪我しているなら早く言って!このばか!ばか!ばあかあー!」

「えらく私を罵倒するな…どうした?急に…」

あなたから、友達宣言されたからです。

「ところでまだ進めないの?」

まだ、いちゃつきながら渡っていた。

私は、後部座席から車のクラクションを鳴らした。

それに気づいたカップルはようやく渡り切った。

運転手はさっきからずっと怯えていた。

「ひぃい!」

「ちょっとしっかりして!こっちは怪我人がいるのよ!おじさんがしっかりしないと駄目なの!さっさと出して!」

美鈴さんはまた指を鳴らした。

「美鈴さん脅さないでください!駄目になっちゃうでしょう!」

「お前たちほうが危ないんだが…」

どっからどう見ても、強盗か何かだと思うだろう。

天狼は静かにそう思った。

踊るぷりぷりぷりん!

さあ、ご一緒に!踊るぷりぷりぷりん!

もう一度!踊るぷりぷりぷりん!

これを三回唱えると君は、ぷっちんプリンだ!(・ω・ノ)ノ

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