表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
46/310

ブラッククリスマス。(その10)

 廃ビルの屋上で、夜空を見上げる銀色の人狼が立っていた。

天狼は、白い息を吐きながら呟いた。

「今夜は、降りそうだな…」

傍に控えているオオカミが鼻を押し付けて来た。

「道は、未だに見つからないのか?」

「…はい、先行して、美鈴みすずを筆頭に幽世を進行しております」

「美鈴が?」

「はい」

「こちらに来ているなら、一言ぐらい言えばよいものを」

「なにせ、あのじゃじゃ馬娘ですので…」

「わかった、後で詳しい話を聞くとしょう。私もそろそろ出向く。降りだす前に終わらせたい。」

学校で知らせを聞いてすぐに参ったが、既に幽世かくりよの道は閉ざされてしまった。

灯花たちは、幽世という空間に閉じ込められてしまったのだ。

この廃ビルをどんなに探し回っていても、幽世へと続く道はない。

美鈴のことだ、無茶をする。

美鈴は、無理やり幽世をこじ開けて入ったのだろう。

下手をすると、己自信も幽世に取り込まれるというのに…

全く、あの娘は…

しかし、踏ん切りがついた。

もう待っていられん。

廃ビルの中へ再び入ろうとすると、オオカミたちが騒ぎ出した。

「天狼様!」

「なにがあった?」

「急に人が落ちて来まして…」

「それで、その者は?」

「私どもが、保護いたしました。どうやら、幽世から出て来たようです」

オオカミたちが、その者を囲んでいた。

輪の中に入ると、見知った者がそこにいた。

「お前は…」

「なんだよ!また犬っころが!」

天狼は、その者に近づいた。

「川村、無事でよかった」

川村は、目を見開いて驚いていた。

「お、お前…久遠、先生?」

「ああ、その通りだ。よくわかったな」

「えっコスプレ?」

銀狼の長い髪に獣耳に尻尾を生やす者なんて、そんなに珍しいのだろうか。

「そんなことより、川村。灯花…いや、朝峰はどうした?一緒ではないのか?」

「ああー!そうだ!朝峰に俺、落とされたんだ。俺、死んだのか!ってここどこだよ!ここは、天国?」

川村は、動揺していた。

無理もない。

訳が分からない世界に迷いこんで、どちらが現実か分からなくなることだってある。

「落ち着け。お前は、生きているぞ。そして、ここは現実だ。それで、朝峰はどうした?」

「あっああ…俺は、朝峰に屋上から落とされたんだ。出口だからって…それっきりだ」

「そうか、灯花が…それで、もう一人いなかったか?お前たちと同じ生徒だ」

「生徒?ああ、まや子か。まや子は、あの蟲どもと戦って…えっ朝峰とまや子は?」

「どうやら、まだ、あちらの世界のようだ」

「…なんだよそれ!俺だけ戻って来たのかよ!…三人で脱出するんじゃないのかよ!ちきしょー!」

川村は、悔しそうに叫んでいた。

…川村と共に戻って来れられなかったのは、理由があるのかもしれない。

あちらとこちらでは、流れる時間が違う。

あまり、時間がないな。

「国光に、あの者の怪我の手当てをするように伝えてくれ」

「承知」

傍に控えていたオオカミは姿を消した。

その場を離れようとすると川村が何かを言ってきた。

「おい!天狼って言う奴、知っているか?」

この場にいたオオカミ達が唸り始めた。

「よせ」

オオカミ達をいさめて、改めて聞いた。

「天狼に何か用か?」

「朝峰に言われたんだよ!膿蟲うじは幽世にいないって!だから!天狼ってどこのどんな奴か知っているか?」

川村は、怪我をしているのを関わらず動こうとしていた。

「……川村、お前の言伝確かに受け取った」

「えっ?なんだよ、それ?」

「私は、天狼。このオオカミ達の神祖。天狼である。」

「…えっ?」

「お前たち、行くぞ。太刀を持て」

一斉にオオカミ達は、動き出した。

「我らの敵は、この現世うつつよにある。探せ!」

「「「「承知」」」」

オオカミ達は、散っていった。

川村は、その光景をただぼーぜんとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ