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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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ブラッククリスマス。(その9)

 私は、友達にしてはいけないことをした。

川村君が無事でも、許されることではない。

「ごめんね…」

初めての男友達だったけど…

やっぱり私は、貴方の友達にふさわしくなかった。

霧で何も見えない下を見下ろして、その場を離れた。

 

 この世界には、膿蟲うじはいない。

屋上は白い霧で覆われているし、もしかしたら探せばあるかもしれない。

でも私は、この世界には膿蟲はいないと思った。

前に襲われた時、膿蟲は幽世かくりよの外まで追ってきた。

だったら、今回も幽世の外にいるんじゃないかと思った。

可能性はあると思う。

この考えが正しくなかったら、私のただの妄想だ。

それに巻き込んだ、川村君と天狼さんにはとても悪いことをしたと思っている。

やっぱり、私はバカだな…

自分がやったことに後悔しつつあった。


 私は、霧をかき分けて進んだ。

早く真夜の所に戻って、出口があったと伝えなければならなかった。

そして、一緒にここから脱出しよう。

霧の中を走っていると、青い炎が一瞬だがかすれるように目の前を走った。

首無しライダーと真夜が今でも戦っているのだろう。

首無しライダーのエンジン音が霧の中から響いてくる。

私は、出来る限り大声で真夜を呼んだ。

「真夜!」

返事が返ってこなかった。

私は、真夜を探した。

首無しライダーのエンジン音がだんだんと大きく響いて来ていた。

この霧の中では、位置や場所がわからない。

いつ襲われるかもわからなかった。

「真夜!」

再び名前を呼ぶが返事がない。

嫌な予感が脳裏によぎる。

真夜は既に傷を負っていた。

血の力で立っていられたが、果たしてどこまで持つのだろうか?

りんさんみたいに、大怪我を負っていないといいんだけど…

私は、とにかく真夜を探した。

「真夜!」

すると、霧の中から黒い影が近づいて来ていた。

まずい!かれる!

そう思った時、目の前で青い炎が竜巻のように立ち昇った。

強い熱気と風で首無しライダーは吹き飛んだ。

聞いたことがある声がした。

「貴方の相手はわたくしよ!」

真夜が私の目の前に立っていた。

「真夜!」

「ごめんなさい、駆けつけるのを少し遅れてしましましたわ」

真夜の様子は、首無しライダーに引っかけられた傷があちこちにあった。

息もだいぶ上がっているようだった。

「ううん、真夜。私のことより傷が…」

「お気になさらず…川村君のお姿がみあたらないのですが…」

「川村君はさきに帰したよ、きっと無事でいると思う」

「それでは、出口は見つかったのですね。それは良かったですわ」

真夜から、安堵の吐息が漏れた。

「真夜もここから!」

「そうしたいのですが…どうやら、わたくしたちをここから逃さない気でいらっしゃるご様子ですわ」

首無しライダーは、再びエンジン音を鳴らした。

そんな、真夜はこんなに怪我しているのに…

「わたくしたちがここから無事出ても、あれを放置すると後々面倒なことになりますの。ここで食い止めますわ」

真夜は、そう言って自分の傷口に血がにじむほど掴んだ。

「真夜…」

真夜は、血で濡れた手を掲げて言った。

「わたくしから、しばし離れてくださいまし!」

私は、言われた通りに離れた。

一体、真夜は何をするのだろう。

そこに、再び首無しライダーがこちらに向かって走って来た。

大量の黒毛虫を引き連れて、今度こそ私達をき殺すつもりだ。

真夜の血で濡れた手から青い炎が燃え上がった。

「ヒイラギ!わたくしの血肉で燃えなさい!」

青い炎が形となって、小さな狐の姿になった。

子狐は、青い炎をまき散らした。

火の粉がこちらまで来て、焦った。

私は、出来るだけ下がって真夜を見守った。

今出来ることはそれしかなかった。

先ほどの炎と比べて火力が数段に違い、こちらまで焼き焦げになりそうだった。

私が焼き焦げにならないのは、真夜がそうならないように上手くコントロールしているのかもしれない。

襲いかかってきた首無しライダーが、青い炎で一気に燃え上がった。

炎を消そうと、のたうちまわっていたがその動きはだんだんと鈍くなっていった。

黒毛虫が燃え上がって、大量の灰が屋上に降った。

傍にいた、青い炎の子狐もゆっくりと消えて行った。

青い炎の勢いが衰えた時には、真夜は膝を付いていた。

「真夜!」

真夜は血の気を失せていて、今でも倒れそうだった。

「今のうちに…貴方だけでも…」

私は、真夜を支えた。

「一緒に出よう!」

「…………。」

首無しライダーは、無残な姿になっていた。

肉の塊と化していた。

それでも、波打つように動いていた。

やはり、膿蟲を倒さないとこれは終わらない。

そうこうしているうちに、再び黒毛虫が湧き出した。

霧で視界が悪いのに、黒だけははっきりと見えてくる。

どこまでも、地獄を作る世界だ。


 急がないと、黒毛虫たちに追いつかれる。

私は、真夜を支えて出来るだけ早く歩いていた。

「申し訳ございません…」

「謝るのはあと!今はしっかり歩いて!」

私達は、霧の奥へと進んで行った。

「わたくしは、本当は…山犬ではないんです」

「えっ?」

「わたくしは、偉そうに言っているのですが…本当は神に仕える巫女でございます…」

「巫女だったの?えっストーカーは?」

「…ストーカーは、わたくしの仕事でございますわ」

職業にストーカーってあったか!

「わたくしは、貴方の監視と護衛を任命されておりました…」

「ええー!」

「不快でしたか?」

「不快って何も、ストーカー自体初めてで、よくわからないんだけど!それに、私にどうして?」

「天狼様から、伺っていませんか?」

天狼さん、何やってるんだ!

「聞いたことないけど…それに、私は守るものでもないと思うけど?」

「そんな、ご軽装を…」

「でも、守ってもらって良かったと思う。だって、この状況だよ!私きっと、とっくの昔に蟲に喰われていたよ。だから、その…守ってくれてありがとう」

なんだか、恥ずかしくなってくる。

「灯花ちゃん…ごっほごほっ!」

真夜は、急に咳き込んだ。

ぽたぽたと血が落ちているのがわかった。

「真夜!」

急がないと…

私は歩みを早めた。

後ろからも、蟲のうごめく音が聞こえる。

一分一秒早く、足を動かさないと。

さび付いた柵が見えて来た。

「真夜、もう少しだよ!がんばって!」

ギチギチギチギチギチ

ギチギチギチギチギチギチ

黒毛虫の群れが、私達の真後ろへと迫って来ていた。

もう少しで、出口だというのに…

私は捕まってしまった。

ぶつぶつぶつぶつ

ぶっつぶつぶつぶつぶつぶつ

首無し男の手が私の頭を掴んだ。

私の頭に蟲が這った。

「……っ!」

ここまでなんて!嫌!

すると、目の前のさび付いた柵に誰かいた。

黒スーツの女性が柵の上に座っていた。

「だれ?」

そう思った瞬間に、黒スーツの女性は私の真横を走った。

長い黒髪を一つに束ねた美しい女性だった。

女性は、私の真後ろの首無し男を素手で掴んで投げ倒した。

「…っ!」

首無し男の縛りが一気に解けて、私は真夜もろともその場に崩れた。

黒毛虫の群れに構うことなく、腕を突っ込んで壁を引き裂くように、黒毛虫たちを切り裂いた。

黒毛虫の群れがパラパラと崩れて落ちて行く。

なんなのこの人…

やっかいな、黒毛虫の群れを素手で引き裂くなんて…

私は、この光景をただ見ていることしかできなかった。

そろそろ、読者を銀なんと一緒に蒸そうかな…|д゜)ちら。


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