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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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ブラッククリスマス。(その6)

 耳が垂れた黒オオカミは、物騒な言葉を吐いた。

今、何て言った?

生け贄って言わなかった?

「お二人方のどちらか、どうかわたしめの生け贄になってくださいまし」

川村君は、呆れまぎれに言った。

「何言ってんの、頭湧いているのか?生け贄ってバカにしてんの」

「いいえ、バカにはしておりません。ですが、これは必要なことですの。ご理解してくださいまし」

真夜の真剣な眼差しに、本気だとわかった。

「…生け贄って何するの?」

「おい、マジかよ!お前、のり気かよ!」

川村君は、生け贄と聞いて引いているようだった。

それでも、真夜は答えた。

「血ですわ」

「ち?」

「血液を、わたくしにくださいませ」

「……わかった」

三人でここから出られるなら、なんだってする。

「おい、待てって!なんで血液なんだ?お前こそ、蟲にやられたんじゃないだろうな!」

疑ってくる川村君に、真夜は冷静に答えた。

「わたくしたちは、人ではありません。人狼です。わたくしたちは、半分は人であり、半分は獣でもあります。」

「それと、どう関わってるんだよ」

「血肉に飢えた獣だという事ですわ」

「な!」

川村君は驚いていたが、私は驚かなかった。

なんとなく、そうなんじゃないか思っていた。

アニメとかゲームとかに出て来ていた人狼は、血肉を欲しがっていたし、山犬たちもそうかなーってうすうす思っていた。まさか、的中するとは思わなかったけど…

「だから、血液が必要なんだね?」

「さようでございますわ」

「だから、待てって!血液飲んだって、腹の足しになるかよ!」

「少なくとも、力は戻りますし、傷の具合も良くなりますわ。確かに物足りなさを感じるかもしれませんが、そこはなんとか正気を保っていられますわ」

「正気って、おい…」

「ご心配なく、命まで取りませんわ、わたくしたちはそのために日々訓練を続けて来たのです。」

私は、気になったことを聞いてみた。

「訓練って?」

「わたくしたちは、本来、血に酔いやすい種族ですわ。血のにおいをかいで暴走しないように幼少期から、訓練をするのです」

真夜は、少し俯きながら話を続けた。

「…この行為は、本来ならば禁じ手ございます。一般人にこのようなことは、決してしてはならぬと教えられております。ですが、このような時こそ、禁じ手を解くべきですわ。分かっておりますとも、己が何を言っているのか…」

「ああーーくそ!」

川村君はカリカリと頭をかいた。

余計、川村君の癖っ気が酷くなった。

「わーったよ!ここは、俺に任せろ」

「先ほどまで、嫌だったくせに」

「うっせ!」

「任せろって、川村君がするの?」

「だって、そうだろ」

川村君は、私の首の元を指した。

私は、とっさに首を押さえた、斬られた所がまだ癒えてなかった。

「怪我している奴に、やらせるほど俺はバカじゃない」

「だったら、川村君も黒毛虫にかじられた箇所がたくさんあるよ」

「じゃあ聞くが、この後走り回るのに、転ばない自信はあるか?」

「…………。」

何も言えない、ここに駆け込むときも引っ張ってもらってようやくだ。

「決まりだな…おい、まや犬さっさと終わらそうぜ」

「ええそうね」

「犬だし、どこからでもどうぞ!」

「ええそうね」

ずいっと真夜は川村君に近づいた。

「えっとなんだよ…」

「何ってじっとして下さる?もしかしたら、手元が狂うかもしれませんの…」

「…だ、だいじょうぶ、だよな」

真夜は、さっきと違ってオオカミらしさがにじみ出ていた。

じりじりと追い込まれる川村君。

これは、私空気読んだ方がいいかも…

「えっと、私あっち行ってるね!二人とも、がんばって」

「あっちょお、真夜、早まるな、まっ」

川村君は、真夜に押し倒された。

私は、天狼さんの羽織を持って資料室の奥へと行った。

途中、川村君の叫び声が聞こえたけど、邪魔したら駄目だ。

私は、そそくさと行った。


 しばらくして、真夜の声がした。

「灯花ちゃん、終わりましたわ」

二人の元に戻ると、素っ裸の真夜と首を押さえて真っ赤になっている川村君の姿があった。

「とっとと、服を着ろ!」

「言われなくとも、それに…初めてにしては上出来ですわ。幸夜くん?」

「うるせ!こんなの聞いてねえぞ、くそまや子!」

「褒め言葉として、受け取っておきましょう」

「ほめてねぇー!」

真夜はくすりと笑い、脱げた制服を着直していた。

私はというと、ポカンとしていた。

なんか昼ドラみたい。

真夜は倒れた時より、随分と顔色が良くなり、傷の具合も良さそうだった。

それにしても、真夜はスタイルが良くて、こっちまで赤くなりそうだった。

「あら、眼鏡は落としてしまいましたか」

「もしかして、見えない?」

「いいえ、あれは伊達ですわ」

「えっ?」

「お恥ずかしいことながら、人の姿になるとどうしても瞳を隠せなくて…人の姿になるのを上手い人狼は、日本人ならではの黒い瞳に変えられるのですが、わたくしにはどうも苦手でして…」

真夜の瞳は、青い瞳だった。

お空色で、とてもきれいな瞳だった。

「きれいな瞳だよ」

「…ありがとうございます」

真夜は優しい笑みを浮かべた。

あっ

その笑い方、天狼さんの笑い方と同じだと思った。

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