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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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ブラッククリスマス。(その4)

 私達は、無数の黒い毛虫たちの群れに囲まれながら、首が無い男と対峙していた。

長く編み込んだ髪を翻して、彼女はくすりと笑った。

目の前にいる彼女の事を私は知らない。

でも、彼女がまとっているオーラはどこか安心感があった。

だからこそ私は、ここまで彼女について来た。

「朝峰様、ここはわたしくしに」

「うん、気を付けて!」

「ええ、致しますとも」

彼女は、両手を自分のスカートの中に突っ込んだ。

スカートの中から、十手のような三又の武器を取り出した。

両手に三又の武器を構えて、目の前に襲っていた黒毛虫の群れを薙ぎ払った。

私は、青い炎の中で彼女を見守っていた。

「すっすごい…」

彼女は舞っているかのように、攻撃してくる黒毛虫たちをかわしては薙ぎ払っていた。

その間首無し男は、ずっと突っ立ってるままで何もして来なかった。

もしかしたら、今がチャンス?

首無し男の中に膿蟲うじがいるはず、それを倒せばみんな灰になって終わる。

彼女は、だんだんと首無し男に近づいていた。

「そこね!」

狙いを付けたように、首無し男の胸に三又の武器を刺した。

膿蟲を刺したと思った矢先、首無し男に異変が起きた。

「…っ!」

首無し男の首から突然、大量の黒い煙が噴き出してきた。

「しまっ!ごほっごほっ!」

彼女は強く咳き込んだ。

黒い煙が私の所まで来て、車から出る排気ガスと同じ臭いがした。

あまり吸っていいものではないとすぐにわかった。

彼女もすぐに口を押さえて、これ以上入らないようにしていた。

この空間は、閉じ込められた空間だ。

黒い煙がこの空間を埋め尽くすのはそう時間が掛からなかった。

だんだんと息苦しくなってきた。

これはやばい!

さすがの彼女も息ができなければ、戦うのにも苦戦する。

酸素を欲しさに、黒い煙を吸い込んでしまう。

何度も咳き込んで、めまいを覚えた。

「…くっぐう」

私よりも彼女の方がもろに煙を吸ってしまったようだ。

狼狽えた彼女に、衝撃が走った。

「ぐはっ!」

彼女は投げ飛ばされた。

その時に青い炎の威力も落ちてしまい、黒毛虫の侵入を許してしまう。

私は、彼女に駆け寄った。

血反吐を吐いてぐったりとしていた。

「…しっかりして!お願い!」

声もかすれてうまく喋れなかった。

「おねがい、しっかり、して」

後ろから、黒毛虫の群れが近づいてきていた。

絶体絶命の時に、いきなり白い扉が開いた。

「…っ!」

扉から現れたのは、川村君だった。

「あっ!」

川村君は、私達を見つけるとすぐに駆け寄ってくれた。

「おい!大丈夫か!」

「川村君なんで。」

「説明はいい!ここから出るぞ!」

川村君は、彼女を背負って入って来た扉からこの空間を出て、私もそれに続いた。


 私達は、白い扉から出たあと、目に飛び込んだ光景に戸惑いを隠せなかった。

もう、どこにも崩れた廃ビルの姿は無く、電気が点く整った廊下を通る羽目になった。

社内の廊下とも言える、その長い道を私達は走っていた。

途中、息が苦しくてひざを付きそうになったが、川村君が私の手を引っ張って走ってくれた。

「どこか隠れる場所を探そうぜ!」

「でも、どこに?」

川村君は周りを見渡した。

「こっちだ!」

言われた通りに川村君について行った。

川村君は、ある部屋へと入った。

そこは、資料室のような所だった。

大量のファイルが収まれている棚が並べられていた。

川村君は資料室を見渡したあと外の様子を確認しつつ言った。

「一旦、ここでやり過ごそうぜ…」

あの、首無し男と黒毛虫は追ってきては来てはないみたいだ。

でも、あの蟲たちは突然現れたことがある、警戒を解くことはできない。

川村君は背負っている彼女を降ろそうとした。

「なんだ?こいつは…」

背負っている彼女は、オオカミの姿になっていた。

するすると制服が脱げて、オオカミの姿があらわになった。

耳が垂れている黒いオオカミは、始めて見た。

「俺、さっきまで女を担いでいたんだけど!」

「川村君、その子を降ろしてきっと怪我してる」

「おっおう…」

川村君は、ゆっくりとオオカミを降ろした。

怪我のせいか、彼女はぐったりとしていた。

とにかく、止血しないと!

前足の付け根から出血していた。

私は、羽織と制服の上着を脱ごうとすると、川村君が慌てた。

「おい!何してんだ!」

「なにって、止血しないといけないの。布がないから私のシャツを使おうと思って…」

「わかった、わかったから!やめてくれ!俺のを使ってくれ、頼むから」

「うん、わかった」

川村君は制服のシャツを脱いだ。

どうやら、下は黒シャツを着ていたらしい。

私は、止血のためシャツを破いた。

随分と破れやすかった。

彼もこの蟲たちに襲われたのだろう、破れた所がいくつもあった。

私は、すぐに彼女の止血を始めた。

「ああ、そんなんじゃ血は止まんないぞ。巻き方が緩いぞ」

彼はそう言って、私と代わって彼女の止血をした。

「川村君は、大丈夫なの?」

彼は、あちこちに血が付いている箇所がいくつもあった。

「ああ、大丈夫だ。少しばっかりあの虫にかじられただけだ」

至る所にかじられて出血している所があった。

「でも、やっとかないと…」

私は、彼の手を取り、出血していたところを余った布で巻いた。

「おっおう…わりぃな!ってお前もかじられてんじゃん!」

「あっ!」

「俺、こういうの慣れてんだよ」

今度は、私の手を取って布で巻いてくれた。

「…川村君、本当に無事でよかった」

りんさんみたいになるんじゃないかって思っていた。

元気そうで良かった。

「お、おう…」

少し照れたようだった。

「…しっかし大きい犬だな!」

「川村君、その子オオカミだよ」

「うそだあ!オオカミだったらもっと迫力があってさあーこんな弱っちいじゃないと思うけど!」

「悪かったわね…」

「……今、なんか言った?」

私は、横に振った。

「…朝峰様」

ゆくっりとオオカミは顔を上げた。

「大丈夫?気が付いてよかった!」

「おいおい!その犬喋ってないか!」

「川村君、ちょっと黙って」

「あっはい」

改めて、彼女に聞いた。

「大丈夫?」

「申し訳ありません。不覚を取りましたわ…」

「気にしないで…それよりも気が付いてよかった。」

一時はどうなるかと思った。

「朝峰様、早くここから逃げてくださいませ」

「何を言って…」

「国光お兄様から聞きましたわ。貴方はたった一人であの幽世から出られたと聞いております」

「あれは、運が良かっただけだよ…」

「それでも、自力でられた方は特別です」

「…だったら、一緒に出ようよ」

「…出来ません。わたくしめを置いて行ってくださいまし」

「そんなことしないよ!」

「元はと言うと、わたくしがあの膿蟲うじあなどっていたからですわ」

オオカミの口から血がぽたぽたと落ちた。

「駄目じっとして!」

「ああもう!うざってーよ!お前」

「川村君!」

会話を聞いていた彼がしびれを切らして言ってきた。

「犬のくせして、失敗したからって、だから何だって言うんだよ!」

いきなりの、怒鳴り声で彼女もむっとしたのだろう。

「貴方になにが分かるって言うの?ただの人である貴方に!」

「二人ともやめて!」

一気にシンとなって、私はゆっくり話した。

「二人とも落ち着いて聞いて、えっと、私はあなたを置いて行くのは絶対に無理」

何か言いたそうな彼女だったが、ここは絶対に聞いてあげない。

「だとしたら、三人で出られる方法を考えよう!私が出られたんなら、きっと出られる方法があるはず」

りんさんみたいに置いて行きたくない。

「私はもう、誰一人置いて行きたくない!」

「それ賛成!」

川村君が言って手を上げた。

視線は彼女に向いた。

「…わかりましたわ。わたくしも考えましょう…」

オオカミ姿の彼女は、怪我した前足の片方を上げた。

「決まりだね!三人でここから出よう!」

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