ブラッククリスマス。(その1)
私はプリントの点数を見ながらため息をついていた。
追試までになんとか点数を上げないと、まじでやばい。
このままだと、冬休みがなくなる!
そんな様子を見た、隣の席の川村幸夜は、私のプリントを取った。
「あっ!」
「見せろ、俺が教えてやる!」
補習組のあなたに教えてもらっても…
「なんだ、こんなこともできなのか」
「…なんですか」
「ここ、ケアミス。ここも、ケアミス。ここは、暗記」
…言われてみれば、そうだと思う所があった。
だてに、100点取ってないわ。
「お前、あんな簡単なプリントで詰まっていたら、本番はもっとひどいな!0点だったりして!」
「うるさいです!」
「そう怒んなって!」
「…そんなに出来るなら、どうして補習に?」
「ん?俺?俺はただ単にテストの日、間違えてよ!受けなかったんだよな!」
「……はっ?」
「…テストの日さあ、俺バイトしてた」
「…っ!」
この人バカじゃないの!
まあ、バカじゃないとここに来ないか…
そうこうしているうちに、授業が終わった。
結局、久遠先生とは会話をすることなく終わってしまった。
だけど、視線だけはじりじりと感じていた。
私達は、補習が終わっても学校にそのまま残った。
「お前まじで、このままだとやばいから。」
と哀れみを受けながら、彼に教えてもらっていた。
間違えたところをやり直しながら、一つずつ解いていった。
気づけば、昼過ぎまで勉強をしていた。
さすがにお昼を食べないと、集中力が欠ける。
川村君も私と同じでお腹か空いたぽい。
「どっか食べに行かね!」
「どうぞお一人で。」
「つれねーな!お前も来るんだよ!」
「えっ!」
腕を掴まれた。
あっという間に学校を出てしまった。
「どこで食べる!」
「どこって…」
高校生が食事するところって限られている。
「じゃあ、バーガー屋で!」
「いやあああ!!」
「どっどうしたんだよ!」
「いやったら!いや!」
私は掴まれた腕を振り払った。
「私帰る!じゃあね!」
「ちょちょっと!待ってって!」
ずんずんと歩く私に、川村くんは後からついて来た。
別にバーガーが美味しくないわけはない。
お店が悪いわけではない。ただ、拒否反応が起きた。
過去で起きた因縁がそうさせてしまうんだ。
足が速いのか、あっという間に追いつかれた。
「待ってって!じゃあさ!ハンバーグ食いに行こう」
また、がっつり掴まれて連れていかれた。
「…………」
「そんな睨むなって!ジュースおごるからさ!」
「わかった…」
「そんじゃあ決まり!行こうぜ!」
そう言って、私を引っ張った。
着いた所は普通にランチが食べられるお店だった。
私は目玉焼きが乗っているハンバーグを注文した。
「俺も同じの!」
と川村君も私と同じメニューを頼んだ。
「お前さ!」
「ちっ近い!」
前のめりになって、言い出してきた。
「あっ悪い。……お前さ!」
また、前の目になった。
だから、近いってば!
「俺の!」
おれの?
「俺の!」
えっちょっと!待って!
「俺の!」
私には天狼さんが…
「友達になってくれないか!」
「…………は?」
「友達になってくれ!」
「お待たせしました。煮込みハンバーグ目玉焼きセットのお客様」
「あっはい」
「よっしゃあ!」
ちげーよ!
定員さんに料理を持って来てもらった時に返事をしてしまった。
「……なんで私なの?」
「何でって、俺さこんなんだろ、いつもケンカばっかだったし…今日お前が、シャーペン貸してくれた時にはこれが友達かって!」
「……そう…そうなんだ…」
男友達が出来てしまった。
「あっこれ、返すな!」
貸したシャーペンと消しゴムを渡して来た。
「…どっどうも」
私は戸惑いつつも、受け取った。
近頃の男子高校生は、変わっていると思った。
食事を終えて、ポテトとドリンクを頼んだ。
しばらく、そこで勉強を教えてもらっていた。
私たちがお店を出たのは、日が暮れた頃だった。
外に出ると、白い息を漏らした。
冷たい風が吹いて、肌を冷ます。
そういえば、クリスマスだったと街並みの風景を見て思い出した。
クリスマスの飾りつけが煌びやかだった。
「すっかり、遅くなったな…」
川村君がそう言うと、私は言い返した。
「遅くなったのは、私のせいですよ。勉強見てもらったし…」
ずっと勉強を見てもらっていたんだ。
「その、ありがとう」
ちょっと恥ずかしくなった。
「おう…」
川村君は少し照れたようだった。
さて、帰ろうかと思った時、道の先に人だかりができていた。
なんだろう…
気になって、私たちはその人だかりに近づいた。
人だかりはどうやらビルの上を見ているらしい、上を見上げようとした時。
先に上を見ていた川村君は、突然ビルの中へと走って行ってしまった。
「えっどこに行くの!」
急なことに驚いていたら、ざわざわと周りが騒ぎ出した。
「あれって自殺?」
「自殺じゃない?」
その言葉を聞いて、上を見上げるとビルの屋上で男性の人が立っていた。
今でも落ちそうな雰囲気が漂っていた。
どうやら、川村君はそれを止めようとビルの中に走っていたんだ。
私はどうしたらいいのかわからなかった。
いつ落ちるかもしれない状況でただ何もできなかった。
男性を見ていると、違和感を感じた。
虚ろの男性が見えた。
男性の足元から、黒いもやのようなものが出て来ていた。
黒いもやは、どこかで見覚えがあった。
黒いもやは、溢れてきてビルの真下に零れた。
「……っ!!」
黒いもやのようなものの正体は、黒い毛虫だった。
「うそだよね…こんなところで…」
周りの人たちは、大量の黒い毛虫が落ちてきているのに誰も気にしていなかった。
「…っ!」
川村君があぶない!
私はビルの中へと走って行った。




