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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第ニ章 えっ?友達ですか!天狼さん。
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新たな日常。

 どうも私は、腐れ縁のもう友達とは言えない元友達に、また一晩泊まったらしい。

どういう訳か、山犬の屋敷に泊まると自動的に村上みのりの家に泊まったことになるらしい。

信頼する家に娘を預けたと認識する術を家族に掛けたらしく、親が信頼する人=村上みのりとなっていた。

解せぬ。

そのことを国光くにみつさんに言おうと思ったが、個人的なことでなんとなく言えなかった。

朝の電車で村上みのりを見かけて、バットな気持ちになりながら学校に登校する羽目になった。

学校別でよかったわ!!ぺっ!

心の中で唾を吐き捨てた。

学校に着くと、またあるうわさを聞いた。

うわさと言うか今朝のニュースだろう。

あの連続殺人犯が捕まったニュースが流れた。

犯人は、うちの地域である男の犯行だった。

その犯人は自分の奥さんと子供を殺していた。

そして、二人の女性も殺した。

殺し方はカッターナイフで殺していて、両腕を切断するという猟奇殺人だった。

その犯人が捕まったことで、学校中持ちきりだった。


 今日は、球技大会。

休めばよかったけど、そうはいかなかった。

なぜなら、天狼さんの羽織を返そうと思ったからである。

ずっと家で置いとくにはいかなくて、そろそろ埃がつきそうだった。

返すには名残惜しいけど、天狼さんのものでもあるし、何より高そうだし、刺繍とかしっかりとしてあって、ただの羽織ではなさそうだ。

天狼さん…久遠先生が開いてる時間があったら渡しに行こう。


 本日、サッカー女子勝っています。

私はボール一度も触れずに、試合が終わってしまった。

うちのクラスってなんで、こんなに元気なんだろう?

100%負けると思ったんだけど、運動部の子が多いからか?

これじゃあ、午後がさぼれないじゃないか!

怪我が痛いからさぼろうかな…。

ちなみに親には、首の包帯のことを首がかゆい中二病として誤魔化した。

それで納得いく親も親だけど…。

次の試合まで、しばらくグランドで待つことになった。

そういえば、朝から久遠先生の姿が見えなかった。

どうしたのかな?

りんさんのこともある、まだ色々とあるのかな?

うん?

ちらりと後ろを見た。

誰もいない。

なんだか、見られているような気がした。

色々あって気が立っているのかもしれない。

ピーと笛の音がなった。

試合が終わった音だ。

次の試合でないと…。

そう思って、また後ろを見ると、やっぱり誰もいない。

見られている感じがした。

気のせいだよね…。

結果は、優勝。

私の適当なパスにエースが受け取り、見事にゴールを決めた。

おお、すご!

さすがエース。


 試合が終わって、私は保健室に行った。

首に痛みがあって、触ってみると出血していたからだ。

そういえば、国光さんに余り首を動かすなって言われていたことをすっかり忘れていた。

慌てて保健室に行くと、新任の保健の先生がいた。

女性の先生で年配の先生だった。

前の保健の先生の可愛らしい品物が一つもなかった。

今なら、先生の気持ちがわかる気がした。

どうしようもできないけれど…あの時、なにか言ってあげられたら、一言でもあげられたら、何か変わっていたのかな。誰かを殺す結末じゃなくて、誰かを救う結末だったらよかったのにとそう思った。

新任の保健の先生に包帯を変えてもらって、保健室をあとにした。

サッカーの試合は終わっても、他の試合は終わってないのでその試合を見に行くことにした。

どうせ一人だから、やることもないし、一人でウロウロするより試合を見た方がいくらか暇を潰せる。

そう思い、廊下を歩いていたら久遠先生を見かけた。

あっ!

久遠先生!

しかも、一人で行動していた。

普段は女子生徒が囲って、近寄れないから今がチャンスだ。

おお、私頑張れ!

学校で話すのは緊張する。

「くっ久遠先生、久遠先生!」

最初は小さく言ってしまったが、二回目で呼び止められた。

振り向く、久遠先生に緊張する私がいる。

「えっと…あの、その…」

何を言おうとしたのか忘れてしまった。

「朝峰か、どうした」

おお、天狼さん、先生スタイルで行く。

当たり前だけど…

「いや、その、えっと…」

ふと、久遠先生の手に白い封筒があった。

「…先生こそ、どうしたんですか?」

「ん?ああ、私は今日限りで教師をやめようと思ってだな…」

「えっ!どうしてですか!」

もしかして…私のせい?

「…朝峰、少し話をしよう。ここだと話しづらいかろう、場所を移そう。」

そう言って久遠先生は、廊下を歩いて行った。

私も慌ててついて行った。

着いた所は、屋上だった。

普段屋上はカギがしてあって行けないはずだけど、今日はなぜか開いていた。

「珍しいな、お前から私に話しかけるとはな」

「そっそれは…」

それはそうだ、極力学校で話さないようしている。

私は、この学校では浮いている存在だ。そんな存在に、気安く話しかけると何かしら波紋を呼んでしまうからだ。そのことを久遠先生に言うのは、とても言いづらいことだった。

「えっと……」

私の困っている様子に天狼さんは続けた。

「まあいい、ところで傷の様子はどうだ?まだ痛むか?」

天狼さんは私に向けて手を伸ばしてきて。

私はとっさに、一歩引いた。

無理して運動したから出血した、なんて聞いたら怒られそうだ。

「…………」

「…………」

なんだこの絵ずら。

「すまない」

しまった!謝らせてしまった。

「ちっ違うんです!えっと、あの、とにかくだいじょうぶなんです!だいじょうぶって言ったら!だいじょうぶなんです!」

何言っているんだ!私は!

「そっそうか…ならばよい…」

うわっさっきより、俯いちゃったよ!どうしよう…

「ああの、さっき!教師やめるって聞いたんですけど、どういうことですか!」

「…私は本来、教師をやれる存在ではない。ましては人ではない者の教えは、人の子に違う道を教えていると同じだ。それだけ、私の教えは人の域を超えている」

「そんなことないですよ…」

「ふっ道司にも言われたな」

「だったら…」

「ならば聞くが、私は教師に向いているか?私は人ではないぞ?私のこの手は、人殺しの手ぞ?」

「…っ!」

鋭く言い放つ天狼さんにどきりとした。

まさか、天狼さんが真剣に考えていたなんて思わなかった。

天狼さんは、いつもどっしりと構えていて何事にも強い人だと思っていた。

だけどそうじゃなかったんだね。

「……なにかあったんですか?…私が知らない所で何かあったんじゃないですか?だから、苦しそうな顔しているんじゃないですか?」

今度は、私からそばに寄った。

すると、急に抱きしめられた。

「っ!」

「すまない、しばらくこうしてくれ…」

いきなりの事で驚いたが、これで確信した。

本当に何かがあったんだと。

私が屋敷にいた時、やたらと人の出入りが多かった。

山犬の人たちに一体何があったのだろうか?

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