長い帰り路(その1)
「あの、どこまでついてくるんですか?」
「どこまでって、お前の家まで。ちゃんと送ってやるから、安心しろよ」
夕陽の電車の中で、りんさんは言った。
私達は愁さんと別れてすぐに電車に乗った。
電車の音ともに揺られながら、窓から見える景色を眺めていた。
この時間帯はいつも多くの人が乗っているのに今日だけは少なく感じた。
空いている座席がある関わらず、りんさんも私もなんとなく座る気はしなかった。
電車の中で喋る人はおらず、下手に喋れば誰かに聞かれるじゃないかと思ってしまうほど、静かな電車だった。
電車を降りると辺りは暗くなっていた。
電灯が点く時間帯だ。
迎いの車のライトが眩しく感じた。
「りんさん、送りはもうここでいいですよ」
「ここは家じゃねーよ」
家まで来るのかこの人!
「どうしてそこまでしてくれるんです?」
「じいちゃんに頼まれているから、お前の様子を見てこいって…」
「天狼さんが?」
気にしてくれてたんだ…
だけど…
「りんさんがわざわざついてくる必要ないと思いますが?」
「大体、お前が無視するから悪いんだろ!それに、そのままお前を一人で帰すってなんか、だせーし…」
「だから、必要がないと言っていますが…」
「うるせー!なにがなんでも、家まで帰すからな!」
「はいはい」
「なんだよ!ってか、お前さー怖くねーの?」
「何がです?」
「普通は俺らの事とか、奴ら事とかさー色々あんだろ?」
「十分に怖いですよ。だけど、本当に私を助けてくれる人はいないんです」
「それ、どうことだよ。じいちゃんがお前を助けてくれただろ?」
ため息つきたくなる。
そこら辺の女と一緒にしないでもらいたい。
「私が言いたいのは、好きでもない人にベタベタとされたいですかと言っているんです。確かに天狼さんは助けてくれました。けど、そこまでです。それ以上はただの甘えですよ」
私は天狼さんの彼女でもなくただの生徒だ。
「…お前ってさ、案外真面目なんだな」
「……だから何です」
嬉しくない答えだ。
「普通のJKってさーもっとパーっとしてるだろ、好きなやつが出来たらとことん追いかけるバカと思ってたけど」
「ケンカ売ってます?」
「褒めてんだよ、お前のこと!…お前が怒るってことは、ホントはじいちゃんのこと追いかけたいってことだよな。無理するなよ」
ニヤニヤ笑われた。
ムカっとしたが、事実の為言い返せない。
「でも、お前は運がいいと思うぜ。なにせ俺がついててやってるからな!」
「ちょーしに乗らないでください!」
まったく!
ありがた迷惑だっつの!
「ふーん」
りんさんはおかしそうに笑うがこっちはそれどころではない。
「もう!」
ずんずん足を踏み入れながらと駅から道路に出た。
「おい、そんな怒んなって!…………っ!?」
「何よ!バカにして!あんたみたいなヤツとってあっきゃあっ!」
後ろを向いて、何かとぶつかり、転んだ。
何かと言うと。
小さな女の子だった。
十歳児未満の子供。
その子がマンホールの上で座っていた。
「わああ、ごめんなさい!」
女の子にぶつかるなんて!私ってバカ!
「ごめんね!だいじょうぶ?怪我とかない?」
私が何を言っても、女の子は俯いているだけでなにも言ってこない。
もしかして、当たり所が悪かったとか!
「ねえ!」
女の子に触ろうとして…
「バカ!そいつは!」
りんさんの叫びが聞こえて、視界が真っ黒になった。
元々日が落ちて暗かったが、この暗闇は電灯の明かりや車のライトの明かりを消した。
「あれ?」
なんで突然、真っ暗に?
停電?
いーち!
にーい!
さーん!
子供の声がした。
女の子の声?
しーい!
ごー!
ろーく!
しーち!
はーち!
女の子が数を数えてる?
きゅう!
きゅう!きゅう!きゅう!きゅうきゅうきゅうきゅうきゅう。
この感じ…まさか!
あの時と一緒だ。
身体が動かない!
まるで金縛りなったみたい。
天狼さん!りんさん!助けて!




