放課後のたこ焼き。前半
球技大会の種目は、結局自分で決められなかった。
人数が足らない種目にまわされた。
サッカーか…
走るのか…
放課後になると私は、まっすぐ家へと帰ろうと玄関を出た。
残念ながら、天狼さんと喋る期会はなかった。
これが、現実だ。
天狼さんは久遠先生で、私は高校生で生徒でそんな甘い想いは無いだろう。
むしろ、私に関わったらよくはないだろうな…。
クラスで浮いてる存在だし、いいことなんてない。
だからって、周りの女子みたいになりたいわけではない。
ある程度の節度と距離が必要だ。
それは、久遠先生の為になるだろうし。
私は迷惑かからない所で天狼さんのことを好きでいよう…。
名残惜しい学校を出ようと校門に行くと、大きい犬がいた。
その犬は女子生徒に撫でられながら、大人しくお座りしていた。
見たことがある犬だが、ついてこられるかもしれないので無視した。
後ろから、吠えられたがガン無視をする。
案の定、ついてこられたが駅はすぐ近くだ。
それまで無視を続けよう。
横断歩道の前ですりすりと大きい体で撫でられたがこれも無視しよう。
決して目があっても、反応しないように。
一般の人にうちの犬じゃないのにそんな目で見られた。
「違います」
「君、カバンかじられてるよ」
「しつこい犬なんです。すみませんが保健所に電話してもらえます?」
保健所の檻籠の中で大人しくすればいい。
すると、グルルルとうなっていたが途端にどこかに行ってしまった。
保健所が嫌だったみたい?
ようやく、家に帰れると思ったが考えが甘かった。
駅の前で、構えていた。
「よくも!俺を保健所送りにしょうとしたな!」
今度は、人の姿になってやってきた。
黒スーツと金髪の青年はまさしく、りんさんだった。
素通りしようとしたが、襟首をつかまれた。
「ちょお!何するんですか!」
「無視するなよ!」
「用がないからやっています!」
「こっちは用があんだよ!」
「知りません!ちょっと放してください!」
問答無用に連れて行こうとする。
もう!なんなのよ!
「いいからこっちこい!」
ずるずると襟首掴まれながら、歩いて行くとある所にたどり着いた。
あのバーガー屋さんだった。
「だああああー!!!」
「おい!いきなり叫ぶなよ!」
「いやあああー!」
私の叫びに周りがざわざわしだした。
りんさんは慌てて襟首から放した。
「おい!どうしたんだよ!」
「りんさん!りんさん!りんさん!いやよ!私行きたくない!」
「はっ?ただのバーガー屋だろうが!どこもいかがわくないだろうが!」
「むしろ伺わしい所がいい!!」
「はああ!」
「とにかく嫌なの!話聞くから!大人しくするから!りんさーん!」
「わかった!わかった!わかったから!泣くなよ!」
何事かとざわざわとしていた周りだが、ただのカップルの痴話ケンカだと思われたらしい。
とにかく私たちはここから離れた。
りんさんに連れられながら泣いていた。
私にとってはそこはトラウマだからだ。
「おいおい泣くなよ、悪かったよ。強引に連れて行こうとして悪かった」
「…うん」
よかった、あそこに連れていかれなくて…
りんさんは頭をガシガシとかいては、携帯を取り出した。
誰かと話していたが、すぐに終わった。
「…お前、たこ焼き好きか?」
「…好きか嫌いかというと普通…」
「はいはい、じゃあ食いに行くぞ」
たこ焼き…
そこから、少しばかり歩いたが、ある公園にたどり着いた。
りんさんが言う通り、たこ焼き屋があった。
どうやら車売りみたいだった。
そこに行くと、りんさんは腰を低くした。
「すいません、来てもらって…」
「別にいい、俺もこっちに来る予定だったしな。それにしても、りんがねえ。」
灰色の髪で耳には銀色のピヤスをしている男性だった。
冬間近の季節なのに黒のシャツを着て、額にはバンダナをしていた。
「違いますよ!こいつは天狼様に頼まれて…です」
「ふーん」
じろりっと見られて身体がびくっとなった。
「…………。」
見られて動けなくなっていると。
「そんなに怯えなくても、俺、怖いか?」
「………。」
「ダメっぽいすね!」
「うるせーよ、お前も似たようだろ。泣いた跡がついてるだーろが」
「…だから、愁さんに助けを求めたんっすよ」
「お前がダメなら、俺もダメだろ!あてが外れたな、りん」
「…………。」
私はメニューを見ていた。
香ばしいいい匂いがする…明太子たこ焼き、マヨたこ焼き、ネギたこ焼き。
「お!腹減ってんな!りん!お前が出せよ」
「俺っすか」
「なんだよ、泣かしたくせに男じゃねーな!」
「うっわかりましたよ」
「おい、おごってやるから、もう泣くなよ」
私は頷いた。
「私…普通のたこ焼きがいいです」
「おう、喋れるじゃん!待ってな!すぐに作ってやる」
灰色の髪の人も山犬なのかな?
りんさんの知り合いみたいだし…
この人は?いったい…




