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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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天狼さんと再会。(その2)

 灯花は銀色オオカミに押し倒されていた。

オオカミの大きな口元からぽたぽたと唾液が零れ、私の顔と首元を濡らした。

「グルルル…」

「………っ」

銀色オオカミは、喉を鳴らしては、今の状況を知らしめた。

目の前にいるオオカミは、飢えたオオカミだと言うことを。

私の瞳は刃に貫かれたように、オオカミの紫色の瞳に釘付けにされて。

私の唇は痺れたように震え、オオカミの吐息とキスをする。

私の首は命の息を音を立てて呑み、オオカミにその首を晒す。

灯花は()べられる感覚を知った。

それは、死の恐怖と奇妙な感覚を覚えるものだった。

これは、地獄蟲に()べられる感覚とは違う。

これは、胸の底から湧き上がるものだ。

これは、何と言うものだろうか?

そして今、私はどんな顔で天狼さんを見ているのだろう?

銀色オオカミは答えない。

じっと灯花を見ては、唸るだけだ。

「…………」

「……………………」

しばらくして、銀色オオカミは唸るのをやめた。

静かになったオオカミは、灯花からするりと離れた。

「………?」

銀色オオカミは簾の方へと去り、言葉を言い放った。

「続きが欲しければ、床へ来い。刺激をやるぞ…」

「……っ」

その言葉を聞いた時、なんだが、急に恥ずかしくなった。

「……っぅう」

私の気持ちは恥ずかしさでいっぱいになり、その反動で固まった身体を動かし、部屋から逃げるように出て行った。



 灯花が逃げた先には、道司が廊下の中心で待っていた。

灯花の様子に道司は愉快そうに言葉を出した。

「なるほどね~そう来たか~ふぅふん~♡」

「……っ」

羞恥心が頂点に達した。

私は、涙いっぱいになった顔で道司さんを睨んだ。

「……っ」

「おっと、悪気はないよ。でも、君を泣かしたのは紛れもなく天狼ちゃん、でしょ?見ればわかるよ」

その言葉を聞いて、私は、これ以上何かを晒せないように唇を噛んだ。

「ほんと自分勝手な天狼ちゃんだよね~振り回される身にもなって欲しいねぇ~そう思わない?」

私をここに呼んだのは、道司さんだ。

自分勝手なのは、道司さんも一緒だ。

「…………」

「そう睨まないで。これでも、天狼ちゃんが元気が出ると思って、引き合わせたんだ。ま、案の定だったけど……」

「…………」

「それでだ、灯花ちゃん。僕は、君とじっくりと話がしたい…いいよね?」

にっこりと笑う道司に灯花は少しぞっとした。

これは、ただの見舞いではなかったようだ。

道司さんの本題は、私と話すことだったのだ。

「今すぐじゃないよ、客間を用意するから。落ち着いたら、声をかけてね」

道司さんはそう言い残して、この場から去って行った。

読んでくれてありがとうございます!(o*。_。)oペコッ

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