天狼さんがいない教室。(その6)
公園についた灯花達は、今日は大人しく帰るしかなかった。
「仕方ない、明日また考えようぜ」
川村君の言葉で灯花は頷いた。
「そうだね…」
灯花達は駅に向かった。
駅に着くと、なんだかざわざわと周りが騒いでいた。
どうしたのだろう…?
誰かに聞くまでもなく、それは周りの人たちの声が教えてくれた。
「ええ…うそでしょ…」
「まじかよ」
「飛び込みだって…」
「こんな時に…」
「…………」
灯花は驚きと同時に胸が重く感じた。
自殺者…。
それから、すぐに連想してしまった。
その存在に嫌気がさし、自分にも嫌気がさした。
死者と地獄蟲は繋がりがある。
見ず知らない人の出来事に引きずられそうになる。
「………っ」
灯花の様子に気づいた川村は心配して言葉を出した。
「おい、どうした?大丈夫か…?」
「だい、じょうぶ…」
「大丈夫じゃない顔だぞ」
「…ただ、嫌だな…って思っただけだよ」
白状者とか、ひどいだとか、人としてどうなのとか、そう言われても仕方ない。
自分のことで精一杯なんだ。
誰もが、いつだって、グラグラの吊橋を歩いている。
他者の吊橋のことまで、考えてあげられる時間はそんなにないと思う。
その僅かな時間を割いてくれた人は、とても優しい人で強い人だ。
それは私にとって、その人は天狼さんだった。
だから、私の吊橋は繋がって居られた。
あなたの吊橋は、どんな吊橋だったのだろう。
繋がりを自ら切ったあなたは、地獄を呼び出すの?
私もここで、繋がりを切ろうと思った。
私がこうして踏みとどまれたのは、きっと…運が良かったのかもしれない。
家にイソヒヨドリの巣が出来てしまいました。
朝からピヨピヨです。
前は、蜂の巣(ミツバチの巣)が出来てブンブンだったのに…次は鳥の巣…カオス!(*'ω'*)