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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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天狼さんがいない教室。(その5)

 灯花は川村と一緒に天狼さんを探すことした。

まず、どこから探そう…?

こんなに徹底的に存在を隠されたんだ、そう簡単に見つかるはずはない。

灯花は思考を巡らせた。

「あ、そういえば…」

灯花は制服のポケットを探り始めた。

「どうしたんだよ?」

川村が問うと灯花は急に行動を始めた。

「私、いったん教室に戻るね」

「あっおい!」

川村の言葉を待たずに灯花は教室へと戻って行った。

灯花は教室に戻るとカバンの中を探った。

教室に残っている生徒は私だけで他は誰もいなかった。

「確か…」

…愁さんの電話番号が書いてあるメモがあったはず。

カバンの奥の方でぐしゃぐしゃになっている紙切れを見つけた。

「これだ!」

確かに愁さんから貰ったメモに違いなかった。

「これを使って…って、私携帯なかったんだ…」

失くしたことを親にも叱られたし。

近いうちに買いに行くことになっているが、それまで公衆電話でがまんだ。

灯花がカバンをチャックを閉じようとしたところで、一緒に中に入っている硯鬼と目が合った。

「…………」

「…………」

目線を合わせたまま、お互い固まった。

「……なんかしゃべれよ!」

硯鬼のつっこみで、灯花はようやく言葉を出すことができた。

「あ、しゃべった」

一瞬、カバンのチャックを閉じようかと思ったが、やめた。

灯花は机の上に硯鬼を置いた。

「…なんで黙っていたの?」

「うるせー」

硯鬼はそっぽを向いた。

硯鬼がそんな態度をするのは、私が雑な扱いをしたからだ。

そりゃあね…私だったら、無視をするに決まっている。

「硯鬼、ごめんね」

「…………」

「あなたを禁忌の箱から、連れ出したのは私なのに、無責任なことをした。…これから、きちんとあなたのこと考える」

「…………」

硯鬼はそっぽ向いたまま、振り向かなかった。

まあ、わかっていたけどね。

灯花はカバンを持って、硯鬼を持ち上げた。

硯鬼は見た目こそ、ミイラだがちゃんと感情がある。

これからは、その感情を無視をしないようにしょう。

理解しづらい存在だけど、少しずつ理解して行こう。

…たぶん、当分は黙ったままだけど。

灯花は困った顔をしながら、でも、ちょっぴり笑いながら教室を出た。

そうして灯花と小鬼は、川村君が待っている裏庭へと戻った。


 裏庭に戻ると川村君はベンチに座って待っててくれた。

「ごめん、お待たせ」

「…ああ、って、なんだそれ」

「これは、硯鬼。一応、鬼です」

硯鬼を川村君に見せた。

「ゲテモノ好きな女子はいるって聞いたが、間近にいたか」

「それは、どういう意味?」

「趣味わりー」

「失礼な!」

「それで、何しに行ったんだ?」

灯花は川村君にメモのことと愁さんのことを話した。

「その愁って奴は、お前の知り合いなんだな?」

「うん、困っている時に助けてくれたんだ」

「ふーん、じゃあそいつに連絡取って見るか」

灯花は川村から携帯を貸してもらい、電話をかけてみる。

「…………」

「どうだ…?」

川村君に問われるが、答えられるはずもない。

灯花は顔を横に振った。

「時間を置いて、もう一回試してみる?」

「いいや、実際にそいつに会いに行った方が早いだろう。確か、車売りだろ。もしかしたら、公園にいるかもしれないしな」

「それもそうだね」

繋がらなかったのは、忙しいかったかもしれない。

灯花は携帯を川村君に返した。


 だが、灯花達が公園にたどり着いても、車売りの愁さんの姿はなかった。

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