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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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天狼さんがいない教室。(その1)

 冬休みが明けた。

正月の話題で、クラスは盛り上がりを見せていた。

そんな賑わいの中、ぽつんと席についているぼっちがいた。

灯花は、下を向いた。

どうしょう…わたし、浮いてる。

久々の学校で、張り切って教室に入ったものの、その空気に気圧された。

灯花は小さくため息をついた。

結局、真夜は戻ってこなかった。

冬休みが終わるまでには、戻ってくると思っていた。

やっぱり、忙しいのかな…

灯花はちらりと周りを見ては、友達と楽しく会話をしているクラスメイトを見た。

私もあんな風に、喋りたい。

友達と喋りたい。

この羨ましい気持ちは、本当に久々だ。

そんでもって、その気持ちを気づいて、自分でもちょっと驚いた。

中学以来のことだった。

早く真夜と会って、正月どう過ごしていたか聞いてみたい。

私の初夢を聞かせてあげたい。

そんな喋りたい欲求を抱えながら、灯花はチャイムを待った。


 チャイムが鳴った時、灯花は顔を上げた。

天狼さんに会うのは、追試以来だ。

あの日は、自分のわがままで帰っちゃったけれど、会ってきちんとお話したい。

人の姿に変えて教卓に立つであろう天狼さんを待ちわびた。

だが、教卓に立ったのは、別の先生だった。

女性の先生で、国語の先生だった。

国語の先生は言葉を出した。

「田中先生は、再入院しました。みんな、田中先生がいなくても、この3学期一緒に頑張りましょうね」

田中先生のことはわかった。

だけど、天狼さんのことを誰一人、言葉に出す人はいなかった。

天狼さんは、学校の人気者だ。

話題に出さないはずはない。

「あ、れ…?」

灯花は違和感につい言葉を漏らしてしまった。

自分だけ、世界が違うような感覚だった。

息がつまりそうになった。

まるで、天狼さんは最初から存在していなかった世界のようだった。

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