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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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小さな波紋。(その3)

 正俊が後輩を連れて幽世を回ろうとした時、声をかけられた。

「お前たち、年明け早々サボりか?」

同じく警備に回っていた同胞に見つかってしまった。

亜紺あこんさ~ん!」

後輩はすぐに助け舟を出した。

声をかけて来た同胞は、正俊と勝馬の先輩で兄弟子。

「こら、正俊。後輩をいじめるんじゃない」

「えー」

いじめたつもりはない。

むしろ可愛がっている方だ。

「正俊、お前天狼様の護衛はどうした?」

「抜けて来ましたー」

正俊が軽く答えると頭をがっしりと掴まれた。

「あらん」

「なんだ、遊んでほしいのか?」

掴まれた頭からめきめきと音がなった。

「いい、いい…ち、違います。ちょっと、ちょっと気になることがあ!」

亜紺は掴む力を緩めた。

「気になること?…曲者くせものか?」

正俊は亜紺の様子を伺いながら答えた。

「そんなところ…」

亜紺は掴んでいた正俊の頭を離した。

「なんだ、そいうことなら早く言え。お前のことだから、またサボりだと思ったんだが?つい先日も、お前がサボるもんだから、勝馬がお前の写真(オオカミの姿)を使ってチラシ作っていたぞ。そのうち迷子犬として捕獲されるんじゃないか?」

「あはは、勝馬がそんな…………まじで?」

「ああ大まじだぞ?それで、どうなんだ?」

「まだ、なんとも…」

「なんだ、はっきりしていないのか。まあいい、何かあったらすぐに呼べ」

「ういっす」

亜紺は、後輩にも指示出した。

「お前も、正俊について行って一緒に探れ。…何事もなければいいが、気を付けろ」

「あっはいっす!」

後輩の返事を聞いた亜紺は、正俊の肩を叩いては引き寄せた。

「今年の参拝者の数がやけに多い。もし動くとしたら、単体ではない可能性がある」

「わお」

「万が一だ。予測はしていた方がいい、いざとなったらすぐに動けるだろう?」

「さすがっすね」

「でだ、最近、黒と青の所の動きが、どうも怪しい動きをしているらしい」

「えー疑うの嫌っすよ~~」

「安心しろ、昔からだ」

「うえぇ…」

正俊はうんざりしながら言葉を出した。

「山犬も大変だぁ…」

「まあな、それも万が一だ」

亜紺は正俊にそう伝えて、警備の方へと戻って行った。

正俊は一つため息を出した。

内輪ごとは勘弁してほしい。

後輩がそんな正俊に伺った。

「先輩?」

「いや、何でもないよ。…ただ、仲間同士で争うのは嫌だなーって思っただけだよ」

「そうですね…」

後輩は、正俊がいきなりそう思ったのか知りもしなかった。

正俊はそんな後輩を見ては再び歩き出した。

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