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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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小さな波紋。(その2)

 天狼を祀る社は、幽世によって出来ている。

それは、社と言う幽世を展開させることで、山犬達の住処を隠すことができ、天狼を守護することに繋がるからである。それに、この祝い時に天狼の社を建てることで、他の土地神や地位がある種族に示しがつくからでもある。

彼らもまた、地獄蟲の脅威に恐れている。

棲む場所を奪われ、喰いつくされるからだ。

天狼は地獄蟲から彼らの存在とその土地を守護している。

それは古くから行っていることで、年を越した今でもこうして参拝者が断たないほどだ。

天狼と彼らとの縁は深いものだと伺える。

正俊は参拝者の列を眺めながら、眉をひそめていた。

「う~~ん?」

ただの自分の勘違いならいい。

勝馬に叱られるだけで終わる。

山犬の警備は、隅々まで行っているから、蟲一匹、入れはしない。

だが、微かに参拝者の中に蟲のにおいがした。

「こういうのって、俺だけだもんな~~ま、いいけど」

正俊の鼻は、山犬の中でもより優れていた。

正俊は、行動を始めた。

なんだか胸騒ぎする。

「年明け早々に、ほんとなんかなぁ~」

自分の頭を掻きながら、顔を隠した参拝者の流れに逆らって歩き出した。

提灯の鮮やかな灯が影って見えるのは、何かを示しているのだろうか?

正俊は、歩く速さを早めた。

道中に後輩を見つけては、蹴りを入れる。

「あいたっ!なな、なんでっすか!急に!」

後輩君もまた狩衣姿で、辺りを警備していた。

「お前、ちょっと手伝え」

「ええー!ちょっと!待ってくださいっす!」

後輩の襟を掴んで、強制的に連れて行く。

「先輩!おれの持ち場があ~!」

「大丈夫だよ~~!もっと、いい持ち場があるから~!」

「つまみ食いは嫌っすよ~~!」

後輩は、捧げもの(料理)のつまみ食いに行くと勘違いしているようだ。

「良し、年越しそばを食いに行こう」

「すみません~俺、先に頂いたっす!」

「おいおい、なにちゃっかり食べてんの~!罰として、俺とちょっと年明けデートしない?」

「遠慮しまっす!」

「いいから、いいから~!」

「放してくださいっす~~!」

正俊は後輩を連れて、幽世を見回ることにした。

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