帰宅。
我が家に帰るとそこには、美少女が立っていた。
「お帰りなさい!」
満面の笑みで出迎えてくれる美少女。
「ご飯にする?お風呂にする?それとも、わたくしと…?」
「…………」
灯花は家の扉を閉めた。
「家の中にストーカーがいるぅううう!!」
灯花は激しく動揺していた。
真夜が何故か我が家にいた。
「ど、どどっどゆこと!?」
真夜とは学校で別れたはずだった。
なのに…家で、ましては、新妻ぽく出迎えるなんぞ。
どゆこと!?
「お、おち、おちっ落ち着け!わたし!」
そう、これは…
「夢だ!そうに違いない!まして私にストーカーがつくなんて、あり得ないんだから!」
そうだ!そうに違いない!
灯花はもう一度、扉をゆっくりと開けた。
ほんのちょっとだ。
決してビビりではない!
覗ける程度の隙間を作ると灯花は静かに覗いた。
目があった。
真夜は私を覗いていた。
「ウギャアアアアーー!!」
灯花は、あまりにも恐ろしい出来事に腰を抜かしてしまった。
「うっさいっ!」
ゴツン!
「あたあっ!」
頭に衝撃が走った。
それは紛れもなく姉のげんこつだった。
「あんた、何時だと思ってんの!近所迷惑になるでしょ!このぉ愚妹!」
灯花の目の前には、バイト帰りの姉がいた。
「おお、おねえちゃん!おねえちゃん!うわあぁあん!」
「えっ何よ!なに泣いてんのよっ!」
灯花は這いながら姉に泣きついた。
「うわあぁあん!」
「ちょっと、何なのよっ!」
久々の姉のげんこつと温もりを感じていた。
杏子はいきなり泣き出した妹に困惑していると言葉をかけられた。
「お帰りなさい、お姉さま」
「あ、うん、ただいまぁ」
「おねえちゃん…うぐっひっく…えっ?」
今の聞いたか?
灯花は姉ともう一人の会話に耳を傾けた。
「ごめんねぇ、こんな妹でー」
「いえいえ、とても可愛らしいですわ。もちろん、お姉さまもとてもお美しいですわ」
「そうお?お世辞言っても、何も出て来ないわよ~~」
「……………なんで、仲良くしているの?」
灯花はつい言葉を出してしまった。
「なにって、今日から一緒に住むんでしょ?」
「はあ?お姉ちゃん、お酒でも飲んでるの?」
「うわっあんた、すっごい変顔、うけるんだけど!」
姉は笑いながら、家の中へ入って行った。
「お姉ちゃん!?」
姉にしかとされて、残されてしまった灯花は真夜と向き合うことになった。
「灯花ちゃん、今日からご一緒させていただきますわ。どうか良しなに」
それはそれはご丁寧なお辞儀でした。