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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第一章 助けてください!天狼さん。
11/310

ある女子生徒のお話。

 パラパラと黒い灰が落ちてくる。

黒い毛虫が焦げて灰となって土に還ろうとしていた。

緋色に輝く夕陽のせいで焼けたのか、それとも黒毛虫自体が燃えたのか、今の私にはわからなかった。

だけど、この異形が確かに終わりを迎えてる事はわかった。

焦げたにおいが私を包む。

密かに香る匂いに私は気がついた。

あっこの甘い香り…。

金木犀の香り。

確か保健の先生に貰った匂い袋があったはず、制服のポケットを探ると小さな紅い巾着が出てきた。

あっ破れてる!

紅い巾着は虫にでも食われたように破れていて、中から金木犀の花弁がぽろぽろと出てきた。

「どうして…どうして…どうして」

とても悲しそうな声が聞こえた。

小さく泣きそうな澄んだ声でそれは言った。

「…どうしてぇ、わたしなの?」

私の目の前のいる銀色の人狼は、そこに立ったままじっと聞いていた。

「わたしなにか…悪いことした?」

バラバラになった四肢が、じりじりと焼いていく彼女がいた。

首だけになっても彼女の口元は動いてはおらず、マネキンのように青白く瞳は虚ろなままだった。

だけど、魂というものがあるのならば彼女はそこにいるのかもしれない。

「どうしてなの?みんな!どうして私を無視するの!」

私は察した。

この経験は、誰にでもあるのかもしれないし、ないかもしれない経験だ。

胸の奥がズキっと痛くなった。

「どうして、私になったの?私!みんなの為にお菓子いっぱい作ったのに!可愛いものだっていっぱいあげたのに…どうしてぇ…みんな捨てるの?」

胸の痛みがひどくなって、私は胸を押さえた。

「ねえ、教えてよ!どうして!わたしなの?どうして…どうして…どうして…………」

彼女が、どういうモノだったのか私にはわからない。

でも、目の前の女の子は学校生活に悩む学生だったのかもしれない。

もしかしたら、私と同じくらいの普通の女の子だったのかもしれない。

彼女が燃え尽きる間際まで、私はどうしようもできなかった。

ただただ、その言葉を受け取るぐらいしかできなかった。

ポロポロと落ちる金木犀の花弁が香って来たのだろうか?

最後には、

「…いい匂い」

そう言い残して、その声は遠くなった。

本作のテケテケの正体。

分かりやすく解説します。

ある女子生徒のクラスでは、いじめがありました。

いじめの対象は、最初は彼女ではなかった。

彼女は、お菓子作りや小物づくりが好きでした。

それを、クラスの女子たちに配っていたりして、いじめから遠ざけようとしたのです。

でも、ほんの少しのずれで、いじめの対象となってしまったのです。

そして、彼女は怪物になってしまった。

後の詳しいことは、本作にて。

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