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助けてください!天狼さん。  作者: 落田プリン
第四章 走らなきゃだめですか…天狼さん。
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グラマー巫女。

 駅の切符売り場にて、灯花は絶望した。

お金が無い。

お財布ごと地獄蟲に喰われました。

「あの蟲ども、いつかガ〇ャポンに詰めてやる…」

何か、十円玉でもいいから何かないかとかばんを探る。

瓶詰めの硯鬼と目があった。

硯鬼が何かを喋り出す前にかばんのチャックを閉めた。

いつまでも駅でたむろしては迷惑だと思い、気分も変えたくて駅から離れた。

駅から、ぽつぽつ歩いて行って、公園にたどり着く。

どうやって、家に帰ろうかと途方に暮れて、公園のベンチに座った。

天狼さんに一言言ってから、帰ればよかったと後悔した。

車を降りてから、すぐに教室に向かったから、何も言えておらず、お礼も何も出来てない。

しかも、自分の身勝手な考えで、真夜を置いて先に帰っちゃった。

これじゃあ、すぐ友達がいなくなるのも頷ける。

私って、ほんと嫌な奴だな…

落ち込んでいると、冬のそよ風が吹いた。

同時に甘い匂いが流れて来た。

匂いの元をたどると、車売りがそこにあった。

「たい焼き?」

そう言えば、お昼は取っていなかった。

追試のことばかりで食べる暇はなかった。

お腹空いた…

でも、お金持ってない。

頭がふらふらするし、身体に力が入らない。

灯花はベンチに座ったまま、動けないでいた。

一晩中、禁忌の箱を駆け回ったあとの追試は、さすがにピークに達していた。

ウトウトと瞼を落していく。

今、寝たら、3日ぐらい寝られそう…

ここで寝たら駄目だ、寝たら駄目だ…

ホームレスになっちまう…

…………

……

「あんた、ここで寝たら襲われるよ」

その声で、はっと目を覚ました。

まさか、声をかけられると思っていなかったからだ。

落ちていた顔を上げると、そこには見覚えがある人が立っていた。

「って、あんた…りんと一緒にいた…灯花、ちゃんか?」

目の前にいる男性は、灰色の短髪と銀色のピヤスが特徴的だった。

黒シャツと作業ズボンを着ていて、その上に黒地のエプロン。

頭にタオルを巻いては、汗をぬぐっていた。

まるで、ラーメン屋のお兄さんだ。

こんな人とお知り合いだったけ…?

男の茶色の瞳と目が合った。

あっやっべ……。

目が合っても、思い出せてない。

焦っていると、男は自分の首をもみながら言葉を出した。

「そんな目で見なくても、喰ったりはしない」

びくっ!

「あ、えっと…そ、そんなつもりでは…」

私が怯えていると勘違いしたのだろう。

まあちょっと、怖いけど…

「その…どちら、さまでしたっけ…?」

灯花の言葉に男は一度はきょとんとして、そして、くすっと笑った。

「なんだ、俺の事忘れたか?ま、一回しか会ってないもんな、仕方ないか…俺は、梓川愁あずさがわしゅう、前はたこ焼きやっていたが、今はたい焼き屋をしている」

「あずさがわ…しゅう、愁さん?あ、たこ焼き屋の!」

私は、この公園でりんさんとたこ焼きを食べたことがあった。

その時のたこ焼き屋が愁さんだ。

「思い出したか?」

「あ、はい…すみません、忘れてて…」

「いいさ、別に気にしてない」

私はもう一度、謝ることにした。

「愁さん…すみません…」

それを聞いた愁は、一息吐いて言葉を出した。

「灯花ちゃん、りんの事は謝るな。りんの事はちゃんと聞いているし、理解もしている。これ以上、灯花ちゃんが気に病むことじゃない」

「…愁さん」

「むしろ、りんが灯花ちゃんを守れたことが何よりだ。山犬として誇れることをしたんだ。だからさ、灯花ちゃん、あいつの為にも笑っててくれ…頼むよ」

灯花は息苦しくなった。

そんな優しい言葉をかけられても困るのだ。

「…………」

前よりは泣かなくなった。

だけど、うまく笑えないのだ。

今の私の顔は、とてもひきつった顔だと思った。

「それでいい…」

愁さんの顔は、天狼さんと同じ優しい微笑みだった。


 少し間を置いてから、愁さんから言葉をかけられた。

「ところで、灯花ちゃん。ここで何してたんだ?待ち合わせか?」

そう問われて、少し言いずらいが正直に話すことにした。

「お金が無いんです…だから、その、家に帰れなくて…」

「携帯は?」

「…なくしました」

「そいう事なら、早く言いな。家の電話番号は?携帯貸すよ?」

「…いいんですか!」

「いいよ」

「ありがとうございます!」

天の助けだ~~!

愁さんから、さっそく携帯を貸してもらい電話をかける。

…が、家になかなか電話が繋がらない。

迎えに来てもらおうと思っていたんだけど、繋がらないんじゃあどうしようもできない。

携帯からお留守電話の声が流れ、気持ちが真っ青になった。

「………繋がらないか?」

「あはは…みたいです…」

ガックリと肩を落とした。

いつもなら、ゲームしているお母さまが家にいるんだけど、今日に限っていない。

せっかく、携帯を貸してくれた愁さんに申し訳ない。

「…なんなら、家まで送ろうか?」

愁さんから、そんな言葉を聞いて、戸惑う。

「愁さん…でも、お仕事が…」

彼は車売りでたい焼きを売っている。

仕事の邪魔はしたくはない。

「う~~ん、待ってくれたら送るよ。このまま、ほっとくのも心配だしな」

愁さんの言葉に灯花は頭を下げた。

「すみません、お願いします」

ここはお願いするしかなかった。

見た目はちょっと怖いけど、愁さんは本当に優しい人だと思った。

すると、公園に一つのスクーターが止まった。

そのスクーターが自然と目に入った。

スクーターから降りて、ヘルメットを取った人は恰好が特殊だった。

「…巫女さん?」

それも、胸がでかい巫女さんだった。

わあ…でかい!

その巫女さんは背は高くはなく、スタイルはぽっちゃり系だった。

いわゆる、グラマーってやつだ。

なんか…巫女さん、こっち来てない?

「しゅ~うちゃ~~ん!」

声高めに、こちらに向かって走って来たのである。

近くまで来た時には、胸のデカさがはっきりとわかった。

この人、でかい!

巫女さんは、愁さんの元にたどり着くと言葉を出した。

「愁ちゃん、おまたせー!」

「待ってない」

「愁ちゃん、つめた~い!」

「冷たくない」

愁さんが答えると、巫女さんはこちらを向いた。

ブラウンのショートの髪に、前髪だけイチゴのヘアゴムで止めていた。

ふくよかな顔立ちにもっちりとした肌と柔らかそうな桃色の唇。

長いまつ毛と灰色の瞳を持っていた。

巫女の特徴とする、真っ白い着物に紅の(はかま)に、たぶんD以上はあるんじゃないと思うほどの胸、おっぱい。

そのおっぱいがゆさゆさと揺らしながら、こちらを見ていた。

「もしかして、愁ちゃんの彼女!?」

「…ちがいます」

灯花は冷静かつ低いトーンで答えた。

たぶん、色々と元気がなかったからかもしれない。

「ちげーよ、姉貴。その子は俺の知り合いだ。ほら、前に話しただろ、りんの…」

巫女さんは、思い出したように言葉を出した。

「あ~陸道(りくどう)のご子息ね、聞いているわぁ。とても、残念よねぇ…あなたもまだ高校生なのに運が悪かったねぇ…」

「はぁ…」

巫女さんは、りんさんのことを聞いているみたいだ。

私の事はついでにと聞いているのだろう。

灯花がそう思っていると愁は灯花に言葉をかけた。

「突然悪いな、灯花ちゃん……姉貴、大きいだろ」

「はい…大きいです。ってお姉さんなんですか?」

「ああ…梓川市子あずさがわいちこ通称梓川農園のぽっちゃりイチゴ」

「…えぇへ」

市子さん、愁さんのこと見ていますよ。

「も~愁ちゃん、めっだよ~!市子、愁ちゃんのイチジク潰したくないよ~!」

めっちゃ可愛く言っているけど、何気にサラッと脅しているし…

市子さんは改めて、私に向き直って言った。

「え~とぉ市子で~す!よろしくね!」

「あ、灯花です。朝峰灯花です」

私は市子さんと握手をした。

市子さんの手は、ふっくら柔らかった。

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