番外編 オオカミ達のクリスマス。(その1)
これは、第二章 ホワイトクリスマスと同時刻の物語です。
クリスマスの夜にオオカミ達は一体何をしていたか?
地獄蟲退治の専門の二人の人狼の物語。
性格は正反対の二人、この事件どう解決する。
クリスマスの日に雪が降った。
街は白の街へと変わり始める。
行違う人々は、白い息を吐きながら、歩道を歩く。
雪が降ったせいか、忙しく行違う車の数が一層多く感じられた。
「ホワイトクリスマスか…」
黒塗りの車の中で、そうぼやいたのは運転席に座り、窓に肘をかける人狼。
よれよれのワイシャツに黒のスーツ姿、亜麻色の髪と深い緑の瞳を持つ男は、憂鬱気味な態度を見せながら言葉を続けた。
「なんだって、こんな日に…」
「そう言うな、前々からこうなると知っていただろう?正俊」
相棒の愚痴を聞きながら、助手席に座り、携帯を片手に誰かと連絡を取ろうとしている人狼。
ネクタイをきちんと絞め、黒スーツにはしわ一つない。
黒髪に短髪、額に薄く傷があり灰色の瞳を持つ男は、携帯を何度も見ながら、今起きている情報を整理していた。
「勝馬君、勝馬君、こういう日だから言いたくなるんだよ。生理現象だと思っていい」
「そうか、厠に行くなら、今のうちだぞ?」
「お前は、そんなんだからモテないんだ!」
二人は、人狼で山犬だ。
この日、二人はある事件と関わって行く。
正俊は、歩道を歩く女の子達をじっと見ては、ため息をこぼした。
「いいな~俺も、きゃははうふふして~そんでもって、黒タイツにすりすりして~」
「車から一歩も出るなよ、道路に駐停車しているんだからな。指示出れば、すぐにでも動けるようにしろ」
「ふはあ~い…って!いでてえぇ…」
正俊はあくびをしながら返事をし、勝馬は適当に答える正俊の頬をつまみながら、携帯にかかって来た電話に出る。
すると、後部座席の方の扉を開ける青年。
「おっ待たせましたっす!」
青年は正俊達と比べて若く、まだ幼さを持っていた。
黒スーツに白黒のチェックのネクタイ、茶髪に前髪に幾つものヘアピンを付けていた。
童顔に葡萄色の瞳を持ってた。
車内に冷気と香ばしい匂いを持ち込んだ青年は、言葉を続けた。
「先輩、限定品は品切れでしたっす!」
「ふぁじか!」
「先輩、何かのプレイっすか!」
「断じて違うな、これはお仕置きだ」
勝馬が、電話に出ながら訂正をした。
同じだろ!
正俊は頬を摘ままれがら、内心でつっこんだ。
青年は車内に乗り込み、ビニール袋の中から紙箱を出した。
「はい、クリスマスチキンっす!めっっちゃ混んでいて大変だったっすよ!」
ようやく勝馬から解放された正俊は、チキンをすかさず頬張る。
待っていましたとホクホクの微かな煙を堪能する。
だが、期間限定のクリームパイは品切れだったことに少しがっかりする。
「勝馬さん、はいっす!熱いっすから気を付けてくださいっす」
次に青年は、勝馬にコーヒーが入ったカップを渡した。
勝馬は携帯を片手に受け取り、言葉を出した。
「お前たち、体調はどうだ?」
いきなり聞かれて、正俊は眉を細めた。
「どうした?」
「天狼様が負傷した」
「……ぶっ!!」
「マジですか!」
勝馬の言葉に、正俊は驚いて、チキンを落としそうになった。
青年は、言葉は出せても驚愕していた。
そのはず、天狼が負傷したってことは…
「それで、お前たちどうなんだ?」
正俊はすぐに答えた。
「ない」
青年も慌てて、答えた。
「俺も特にないっす!」
「勝馬、お前は?」
当然、勝馬にも聞いた。
俺たちの中で、血統的に勝馬の方が影響があるかもしれない。
「ない」
勝馬は二つ返事で答えた。
とりあえず、安堵する。
勝馬は続けて言葉を出した。
「とにかく、今後、体調や精神的に何かあったらすぐに報告しろ、いいな」
「ああ」
「了解っす!」
二人の返事に勝馬は電話の先の人物にその報告をする。
「でも、どうしてじっちゃんが…」
青年の言葉は、どこか不安げだ。
「どうせ、恰好つけたかったんでしょ?天狼様のいつものことだろ」
あの人、性格は俺らと何の変わらない人だし。
まあ、性格はだけど…
「そんな言い方…じいちゃん大丈夫かな…」
勝馬は、いつものことだと含みながら、言葉を出した。
「……天狼様はご無事だ。今、病院で治療中だそうだ」
青年は、その言葉を聞いてほっとする。
「よかったっす…」
「こんなことで安堵したら、今後もきついんじゃない?何回もあるよ、あの人、毎回無茶するし」
「誰も止めないすか!じいちゃんに何かあったら、俺ら人狼は!」
「だからなんだ?」
正俊は、青年にぐっと睨みながら言った。
「うっ…」
青年は狼狽えた。
青年はまだまだ若い。
俺らと比べて、経験が浅いのと不安定なのはわかってる。
だが、いつ何が起きても、己を律する精神はつけなくてはいけない。
「これは天狼様のご意志だ。俺らが何を言ようが、止めに入ろうが、天狼様は動くぞ」
「…………」
青年は言葉が出せなかった。
正俊はチキンを口に入れながら、青年に言った。
「まあ、気持ちは、わからなく、もない」
天狼とて、一人の人狼だ。
でもだからって、無茶は駄目だよねぇ…
てか、天狼様、ホント何やっているんだろう…うける(笑)
正俊はニヤニヤ笑いながら、チキンを食う。
勝馬は、そんな正俊は横目にしつつ、電話に集中する。
正俊は肉についていた骨を嚙み砕きながら、運転席に向かい合った。
青年は、言われたことを少しずつ理解しながら、今から起きるだろう出来事に身を構えた。
勝馬はそのまま、電話の内容を聞き、最後に言葉を出した。
「了解」
電話を切ると、勝馬は携帯をカーナビと繋げて、地図を出した。
「仕事の時間だ」
人狼の聖夜はまだまだ続く。
番外編はぼちぼち、投稿して行きます。
よろしくお願いします。(*- -)(*_ _)ペコリ




