第16話―因縁―
どーも、お久しぶりです
今回はいったんプロットから排除したけどやっぱ入れることにしたエピソードをやっていきます。
時は遡り、魔獣襲撃翌日の夜明け前。最強たち7人がカレンシティに到着した。
「いやぁ、まさか奥の手を使わされるとは思いませんでしたね」
人形遊戯のネロがくたびれた様子で体を動かしている。
「本当ですね、戦闘直後で私たちも2日ほど休養を取らなければ」
「インの爺さんの言うとおりだナァ。このまま全員で行ったら良いとこ相打ちダァ」
自分たちの弱点を突くために作られた魔獣だったとはいえ、最強たちが苦戦したのは事実だ。彼らは万全中の万全を以てして戦う腹積もりだ。
「「全員死んだらパワーバランスが崩れる、だっけ? めんどくさいルール!」」
「それより皆さん、本題を勧めましょう。ガイさんはおそらく診療所です。バレル家のご令嬢がご就労されていらっしゃいますので、いつも以上に気を付けてください」
疲れているとはいえ、診療所まで辿り着くのにそれほど時間はかからなかった。
診療所の内部は静かだった。正確には魔術で声に出さずに情報共有をしている。
その雰囲気を崩さない声量で、ウォーレンが語りかける。
「おっ、居ましたね。ガイさーん」
ガイは隈ができていた。窶れていた。どうしようもなく疲れていることが見て取れた。
「ウォーレンか……インさんやネロさんが居るし、最強たちが集まっていることは分かるんだが、ウォーレンはどうして?」
彼の両親は最強だった。会うのは子供の時以来ではあるが、古参の2人とは顔見知りだ。
状況が状況であるため、旧交を温めるような時間も無い。インがガイの前に出てきた。
「お久しぶりです。お茶でも飲みながら説明してあげたいところですが、あなたに急用があります。あなたのご両親の遺体を私たちに貸していただけませんか?」
今回の目的を率直に伝えた。
「はぁ? こんな大変な時に、父さんたちの体を弄るのか? どういう目的?」
「我々最強はカディック夫妻が捕獲したサンプルの情報を元に対策を取っていました。少しでも情報が欲しいのです」
最強になるにあたって、死体に関する権利は基本的に遺族ではなく政府や他の最強たちに移譲される契約となっている。
当然ガイも知っている。だからこそ、義理人情で自分に許可を貰いに来たのだと理解している。だがこんな状況では、「後にしてくれ」としか言いようがなかった。
ガイはリーンの病室に戻った。
扉が閉まる音。カストルは独り言のように呟く。
「まぁそりゃそうなるわナァ」
インは黙っているしかできなかった。
それから10分ほど経ち、リーンの病室からセイア・バレルが出てきた。
「ごめんね、ガイ」
自分が分身できたら、どれだけ良かったか。そう思いながらセイア・バレルは重症患者の待つ部屋へと向かうところだった。自分の特性と向かい合って何年経ったか。こんな時でも慎重に歩く癖は抜けていない。この場所にも何年も働いている。
だから、自分が人とぶつかった、ということに気づくのに時間がかかった。
「……あっ!! ごめんなさい!! 大丈夫ですか?」
「セイア様、ウォーレンです。その病室は……」
ウォーレンか、と呟くと顔が少し緩んだ。弟の友人が生きているだけで、少し気力が湧いた。
「リーンちゃんのだよ。しばらく一人にしてやってくれないか? あとアーロンのことだが……」
言葉を紡ぐ必要などない、と言外に示すようにウォーレンが言葉を遮った。
「この国随一の医者であるセイア様なら、心配無用かと存じます」
「分かってるじゃないか……マクレーン家の皆も手伝ってくれてるからって、邪魔しないようにね」
その言葉を最後に、セイアは他の重症患者のもとへ向かった。
彼女を見送り、リーンの病室を見つめているウォーレン。次にどうすべきか考えているうちに、扉が開いてガイが顔を出してきた。
「……ウォーレン、少し話がある」
扉の前に立ったガイは追い詰められた表情だ。
「さっきの話、承諾する代わりに俺に稽古をつけてくれないか?」
ガイにとっては両親の死体と引き換えだ。とても釣り合っていない。だが、それでも短期間で強くなりたかった。
そんな思いとは裏腹に、ウォーレンは頭を下げて、「ほんっとうに申し訳ないです……」と言った。ガイは一瞬で玉砕した。
「僕が教えられるようなことは全部教えました。それに僕は基礎を極めているだけなので、これ以上の劇的な強化はできません」
ウォーレンの説明だと、まるでガイはその基礎ができていなかったのかと思わせられた。実際は最大魔力量を増やしつつ多様な実践経験を短期間で積むことが目的だったのだが……その意図にガイは気づく様子もなく意気消沈していた。
「……そうか。急に言ってすまない」
ガイは、アーロンほど魔獣との戦いで必要な魔術を使えるわけではないが、潜在能力は計り知れない。加えて、魔術を用いた戦闘では心の強さが要となる。これほどの思いを、インは無視できなかった。
「ガイ、改めて挨拶させてもらいます」
再びインが前に出て語り掛ける。
「お久しぶりです。あなたの知っての通り、私はイン・クイジア。あなたの祖父母の古い友人です。2人はかつて酒の席でこんなことを言っていました」
声をできる限り窄めて、耳元で囁く。
「『時が来たら、魔術の封印を解くつもりだ』とね」
信じられない話に愕然とする。ガイはインが祖父母の友人であることは知っている。しかし、魔術の封印なんて心当たりが無い。そういった資料も知らない。だが、これしか今すぐ強くなる方法は無いだろう。
「ありがとう……!! あとは自由にしてくれ!!」
ガイは診療所を飛び出した……。
本当はもっと前に復活しようと思ってたんですが、自分自身のメンタルの戦いが終わっていませんでした
あと、旧ツイッター(現X)でも発表はしたんですが、僕の体力的な問題でこの章が完結したら一旦完結という扱いにします
まぁまだ先の話ではありますけど、この章の最終回を投稿したらすぐにプロット設定を投稿できるサイトで今後の展開を全部公開しますので、先が気になる方は読んでいただけると嬉しいです
なろうでは書きたいシーンやバトルだけ書いて投稿するかもしれません
実のところ、今年中に完結するか怪しいけど、まぁ少しばかりの書き貯めもあるので月一投稿はできそうです




