第14話「ルームオーナー、ウォーレン・マクレーン。ホットラインを起動」
貯め回です。ここまで投稿できなかったのならガッシュに合わせたほうが良かったのではと思いましたけど、一応やりたかったので。
(ここは……どこだ?)
俺は病床の上で目を覚ました。備え付けの時計を見てあの日の翌日、いやもう日付が変わって2日後の深夜だ。
(伝えなくては……俺が掴んだことを……戦術が大きく変わるぞ……!)
通信デバイスはどこだ! ウォーレンに伝えればそのまま国王とのホットラインで世界に広がるはず!
どこだ!? ベッドの近くにはないのか? くそっ、かったるいな! 寝てられるか! フレイム・ショットガン!
「バレットサーチャー!」
それっぽいの無いな。マジでどこな、んだ……。
冷たい壁がぶつかってきた。いやこれは、床か。俺は倒れたらしい。
動けない。なんか体が濡れてきた。傷口が開いたのか。そんなことあるんだな、いやそれだけ複雑な傷だったわけか。
扉の開く音が聞こえた。風が気持ちいいな。
「アーロン!」
セイア姉さんの声か、懐かしい気分になるな。倒れた体を支えて、ベッドに座らせてくれた。
「あんたは今絶対安静だ。魔術も使うのをやめな!」
「ありがとう姉さん……でも伝えなきゃいけないんだ。ウォーレンに、伝えなきゃ。救える人が居るかもしれないんだ……!」
「どうしようもないね……ウォーレン、もう入ってきても大丈夫だよ」
姉さんの呆れた声かけと共に扉が開く。ウォーレンがそこに居た。
「ウォーレン、魔獣の姫に関する情報を国王に伝えたい。ホットラインを繋げてくれ」
「わかりました。セイアさん、僕の責任で連れていきます。戻ってきたらどんな治療でも受けさせるので許可をいただけますか?」
「アンタは今最強だろ? 止められるわけない、どうせなら勝手に行って私の責任を減らしてほしいね」
「わかりました」
窓が開き、凄まじい風が俺を飛ばす。建物が破壊されて非常に殺風景だ。こんな時間でも墓参りをしている人が居る。死者が居たのだろうか。今となっては墓石が数えるほどしか残っていない。
カレンシティ、俺の好きな街。でも今は、俺が復興させなきゃいけない街だ。
俺はウォーレンの部屋まで吹き飛ばされた。勿論着地は安全に行われた。
「ルームオーナー、ウォーレン・マクレーン。ホットラインを起動」
『承認されました』
機械音声が部屋に響くと、壁面に国王陛下の顔面が映し出された。
「こんな時間に何の用だ。月面襲撃の件で手いっぱいなのだ。手短に頼む」
陛下と話すことは初めてだ。緊張するが、やるしかない。人類のためだ。
「国王陛下、バレル家の嫡男のアーロン・バレルです」
「おお、噂はかねがね聞いているぞ。で、何用だ?」
「私は魔獣の長と思われる個体と戦闘しました。その時の情報をお伝えしたく、このホットラインを使用させていただきました」
「なるほど、聞こう」
第一関門は突破だ、ここからはどれだけ分かりやすく話せるかだ。
「私はあらゆる魔術を3分の1にする魔術を持っています。これは魔獣のような魔力を使わない魔術だと打ち消すことも可能です。魔獣の長にこの魔術を使用したところ、打ち消せませんでした」
「つまり?」
「魔獣の長は従来の魔獣の定義から離れた存在だということです」
「何らかの代償として魔力を消費する可能性はないのか?」
「その可能性は否定できませんが、少なくとも私との戦闘で使用していた魔術は全て魔力を消費したものでした。全て大量破壊兵器に匹敵する技です」
「ふむ、無尽蔵に蹂躙は不可能なようだな」
よし、理解をしていただけたな。ここから俺の作戦を進言だ。
「そこで陛下、折り入ってお願いがございます」
「なんだ?」
「オールヘクスに国家名義で制作依頼をで出していただきたい物がございます」
「良いだろう。ふざけた内容なら却下するが、そういうわけでもあるまい」
「はい。制作いただきたいものは魔術拡散機です」
「正気か? 条約で禁止されているものだぞ」
そうだ、テロ対策でそういったものは条約で禁止されている。魔術拡散機は使用者の魔術を文字通り拡散する。触れたものに効果を及ぼすものは効果範囲が広がり、手のひらサイズの火の玉でさえ大型車両を覆うほどになる。だけど……
「しかし、私の魔術を最大限活用するためには必要です」
陛下は沈痛な面持ちで考え込んだ。魔術拡散機の規制強化は陛下が主導した。今までの政策を、自身で否定するようなものだ。しかし確実に魔獣との戦いで有利になる……!! どうにか……
「……許可する。非常事態だ、多少の禁忌は破っていいだろう」
通った!!
「誠に感謝いたします。お伝えしたいことは以上です。私共は陛下の要請にいつでもお応えいたします。失礼いたします」
これで通せた。あとは魔術拡散機の設計依頼の責任者としてオールヘクスに行って、円號魔割を拡散して魔獣の魔術を止めて、復興のための計画も同時並行で立てないと……
「待て」
「……はい」
「ウォーレンにはもう伝えたが、本日午前10時から世界各国との会議がある。アーロン・バレル、貴様も同席し、先程の要求を各国に説明せよ」
「……承知いたしました」
「うむ。定刻になった際はウォーレンの指示に従い、会場に向かうように」
画面が途絶え、通話が切れたことを示すアイコンが表示された。
「嘘だろ~~!!」
尋常じゃない仕事が増えたじゃねえかよ……。
「あぁ~、ウォーレン。姉さんへの言い訳は頼んだ~」
俺はまた床に倒れるぞ~。
ウォーレンの叫び声が聞こえると同時に、意識が途絶えた……。
一瞬ウォーレンに「お体に障りますよ……」と言わせそうになったけどやめました。
今回は主人公2人のやることを明確にしたかったので早めに投稿したかったのですけど、なかなか難しいです。




