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正義のあり方 俺たちの覚悟  作者: 松尾ヒロシ
自分の幸せを代価に周りの平穏を守れ
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第2話―女性

20191225 ヒロインのひんぬー描写追加


20191227 何でこの家の食卓にフードバトラー顔負けの量の料理が並んでいるの?ってなったので消去


20221014 物価高騰がエグすぎると感じたので描写修正

 本日、ガイは祖父母が経営している牧場を手伝っていた。食糧配給の無い日はいつも手伝っている。いつもより体力の使う糞尿の掃除をガイが担当し、比べると楽な餌や水の用意を祖父母が担当している。この日も変わらず糞尿の掃除をしていたガイだったが、いつもの日常とは打って変わった1日が展開されることになる。

 その転換点のレバーが今、切り替わった。

 現在は午後1時。ガイは牧場の仕事を一旦止めて、食事をとるため家に戻っていた。


「祖母ちゃんご飯用意できてる~?」


 裏口から入ったガイは台所で皿洗いをしている祖母に尋ねた。


「できてるわよ~」

「今日の昼飯も旨そうじゃのう」


 ガイの後から入ってきた祖父がそう伝えると、祖母の耳が赤くなった。とても老いているとは思えないほど初々しい夫婦だ。仲が良く、幼馴染同士で結婚したらしい。


「ありがとうお祖父ちゃん」


 そう言うと祖母はいすに座り、食事を始めた。


「そう言えば今日はホームステイの子が来るんだっけ?」


 この家では牧場の手伝いをするということを条件に格安で3食と最上の寝床を提供するというものを行っている。今のご時勢では年で2回あるかどうかレベルだが、最盛期は年に50人も貸したことがあるらしい。


「ええ、今回の子は確かリーン・ターナーって子だったはずよ」

「リーンって……女の子なんじゃないのか?大丈夫かのう……」


 祖父がガイの方を見つめた。


「何だよ祖父ちゃん! 俺がなんかするとでも思うのか?」

「思う。前科は無いがなんかやりそう」

「このクソジジイ! 孫くらい信じろよ!」

「クソジジイとはなんじゃ! 外に出ろ!」


 瞬間、祖母の手刀が祖父の頭部に刺さった。それも風などで勢いを増したものだ。そんなものが頭部に衝撃を与えれば、老人関係なく失神する。もちろん祖父も例外ではなく、机に頭を寝かせるのだった。

 突然玄関の扉が開いた。金髪のショートでスレンダーな体型な女性だった。おそらく本日部屋を貸す予定のリーン・ターナーだろう。ちなみに玄関から現在食事をしているリビングは目と鼻の先である。そして初めてここに来る人がこの光景を見て驚かないはずもなかった。彼女はバックパックから手のひらに収まるほどの携帯を取り出して警察に電話をかける。


「すいません警察ですか!? 小高い山の上の家でお祖父さんが倒れてます! え? そこだったら大丈夫? どう見ても大丈夫じゃありませんよ!」

「祖母ちゃんの手刀キツいわぁ~、それはそれとして勝手に疑ってスマンかったガイ」

「えっ!?」


 リーンは祖父の方を見て呆然としていた。


「気にする必要はない。慣れてるからのう」


 ガイの祖父の言葉を彼女は理解できず、呆気にとられた表情で彼女のホームステイは始まった。



 5分後。彼女に全ての説明をし終えた祖母は彼女に貸す部屋まで案内した。男2人は頭を冷やすため、街へ繰り出した。

 ここの街は食糧配給こそされているが、スーパーなどの食品を扱っている小売店が無いわけではない。ただ2年前の事件で物価が高まったため、この街に住んでいる多くの人々は食糧配給でご飯をもらいに行くのだ。


「今日何円持ってきたの祖父ちゃん?」

「今日は1000飛んで3円」

「それじゃあスーパーでケーキも買えないじゃん」

「食パンの袋1つなら買えるじゃろ、それを使って祖母ちゃんの好物の『揚げ耳』でも作ろう」

「そだねー」


 そして数分後、パンの耳を買った2人は家に帰った。


「「ただいまー!」」

「おかえり~」


 祖母が2階から降りてきた。


「リーンちゃん今は牧場の方で仕事してるわよ。あっそう言えばガイの話を聞いて『男らしい人ですね』って言ってたわよ」


 そう聞いてガイの表情は変わらなかったが、鼻歌を歌ったりして明らかに機嫌が良くなっている。


「それはそうと祖母ちゃん、揚げ耳作るぞ」

「あらありがと。じゃあ頼んだわよ~」

「おう」


 祖母は祖父と会話を交わし、2階にまた上がっていった。





「牧場の仕事もなかなか良いものですね」


 ガイたちが買い物から帰ってくる5分前。リーンは牧場の仕事をしていた。最低限の知識はガイの祖母から伝えられているため、順調に作業は進んだ。

 それから時間が経ち、晩御飯の時間である午後6時になったため、仕事を切り上げて家に戻っていった。



「やっぱり揚げ耳美味しいわ」


 裏口の扉を開けたとたんガイの祖母の声が耳に入った。どうやら揚げ耳なるものを食べているらしい。リーンは揚げ耳の詳細を想像して吐き気を催した。揚げ耳とは単純にパンの耳に砂糖をまぶして揚げたものである。だが彼女は人間や家畜の耳を揚げているものと勘違いしたのだ。


(この家って、本当はヤバいのかも……)


 そんな勘違いを秘めたまま、リーンの1日が過ぎるのであった。なお、この誤解はガイとリーンが付き合い始めてからやっと解消される。

一応言っときますけど、分かりやすく価値を表現するために円を使ってますからね

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