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正義のあり方 俺たちの覚悟  作者: 松尾ヒロシ
自分の心を代償に復讐を果たせ
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第9話―化物

どうもこんばんは、作者です。

ガッシュ2、あっさりでしたけどこれはこれで良かったですねぇ〜。

「リーン!」


 ガイは叫ぶ。予想できなかった自分を恨みながら。このままでは祖父母のための時間稼ぎどころの話ではない。


「ガイ! あと45秒じゃ!」


 ガイはとてもじゃないが耐えられる気がしなかった。実際に手合わせをしたことはないかった。しかし威力は明らかにリーンの方が上手、戦術で言えば未知数だ。


「やるしかないのか……!」


 力強く颯竜刀を握る。威力、戦力、どちらも決定的に足りていない。ならば手数を増やすだけ。


「颯竜刀・影打」


 颯竜刀が8つに増え、ガイの周囲を回転する。


「粗悪なコピー品か!」


 リーンを乗っ取った何者かが叫び、急速に近づいてアクア・ランスで連続突きをしてくる。実際颯竜刀は粗悪なコピー品だ。しかしガイの目的は時間稼ぎ、敵が実質2人に増えたこの状況では油断できないが1人で時間稼ぎをするならこれがベストだろう。


(どうにかしてリーンを止めないと……)


 リーンの動きは単調だが無視できるほどの兵力でない。このままでは10秒持たせられるかどうかだ。

 目を閉じ、深呼吸。そして目を見開き、全力で魔獣の女王を潰すことにした。

 神降ろしを使い、速攻で切りつけにかかる。無理やり両腕を断ち切ったが、容易くでき過ぎた。魔獣の女王の人間のような腹部に光が収束する。


路・氣・渡(ジ・ケ・ド)


「やっぱりな……そういうの持ってるよな……!!」


 全力で耐える態勢を取る。神降ろしの逆、周囲の空気を力強く押し固めて光も通さない黒い盾とした。


黒渦(シュヴァルツ・)の盾(ヴィルベル)


 1条の光が黒い盾に降り注ぐ。


「吹っ飛べよ……!!」


 魔獣の女王が言葉をこぼす。


「はっ、喋れるのか。だけど……!!」


 光が黒き盾に直撃し、その反動でガイは後方へと吹っ飛ばされた。その方向は祖父母とはかなり外れた方向だ。しかし反対の方向ではない。

 風の噴射で調整して、真の目標へと吹っ飛んだ。それはリーンだった。直撃するスピードは亜音速にまで上昇し、リーンは直前に小さなロ・ミュールを作り出したが、その程度では止められる代物ではなかった。

 ガイの決死の体当たりが直撃し、リーンはあらぬ方向に跳んだ。


「これでタイマンだな、女王!!」


 女王はこの隙の穴埋めをするかのように今まで放ってきた技を全て使ってきた。


「邪魔だ!」


「ノーモーションで大技を撃つんじゃねぇよ!」


 残った全魔力を用い、準備段階にあるタリス夫妻の魔術を何とかコピーする。

 背中から異様な音を立てて巨大な翼が生える。コウモリのような形の骨だが太く強靭、分厚い筋肉、トカゲのような皮膚だ。その翼で射線を覆い攻撃を受ける。路・氣・渡が貫通し翼から夥しい量の出血をする。一瞬意識が消えそうになるが、何とか黒渦の盾を放り投げて軌道を変える。

 これで最大限魔力は使い切った。翼は消え、残った魔術を維持しつつ戦うしかない。しかし、コピーした魔術からガイは察していた。


(適当な嘘こきやがって! コピーした感じからして短縮版じゃねえか! あとはリーンを正気に戻せば時間も余裕で時間稼ぎはできる!)


 ガイは辺りを見回してリーンを探す。残っている颯竜刀・影打で何とか気絶させれば正気に戻らなくても数的不利は無くなる。そう思っているのだが中々見つからない。魔獣の女王の攻撃もある、必要以上の捜索は命取りだ。


 しかし何もなく1秒経過した。魔獣の女王は常に警戒している。ガイは明らかに満身創痍の状態だ、この隙を狙わない理由はない。


(狙ってこない……? 明らかにおかしいな)


 しかし気づくのが遅かった。リーンが突然ガイの眼前に現れた。魔獣の技術である透明化の魔術を使っていたのだ。

 彼女はガイに抱き着く。


「ガイさん、大好きです」


 愛した女の声で、自らへの愛を囁かれたら。たとえそれが偽りのものであっても、愛を返したくなってしまうのだろうか。

 その答えは分からない。だがガイは一瞬硬直してしまった。

 一瞬生じた油断が、タリス夫妻に突き刺さる。魔獣の女王が動き出し、神・腕・応・牙が放たれた。時間は30秒稼げたかどうか。2人が居た場所から赤い血が弾ける。夥しい量だ。呆気なくて、涙よりも早く虚無と絶望が来た。


「待ってくれよ……まだ終わってねえぞ。俺はまだ親孝行してねえんだぞ!」


 赤い血が地面へと降り注がれる。肉体全てがミンチになればこの程度の量になるだろう。敗北を実感させられた。

 無意識のうちに涙が流れだした。ガイは今の祖父母の姿をはっきりと目にした。人間だとは言えないような姿だった。岩石を彷彿とさせる肌、刺々しい四肢、竜のような頭部。どうしても化け物でしかない。

 だがガイはこの姿を見て笑顔になった。


「「龍魔王・半魔の(あつらえ)」」


 それは祖父母だったもの。2人が融合して生まれた化物、龍魔王。それは魔獣の女王の腕を打撃で潰していた。圧倒的なパワーだ。


「心配させるなよ!! リーンは俺が何とかする、だから存分に戦ってくれ!!」


ガイはリーンに抱き着いてジェット噴射の要領でその場を離れた。それを見届けた龍魔王は魔獣の女王を睨みつける。


「「フッ、随分とやってくれたもんだ。だが、これでもう誰も殺せやしない」」


「戯言を……」


「「()の素性は知っているだろう? ()()()()()は、守りも得意なんだよ!」」


龍魔王が襲いかかる。それを迎え撃つ女王。ここで死ぬのはどちらになるか。

今回は面白かったでしょうか。面白かったなら幸いです。

つまらなかったなら、どこがつまらなかったか教えてくれるとありがたいですね。

さて次回ですが、実は直前で予定変更をしたせいでまだ書き終えていません。それから先の2話は書き終えてますし、それ以降もプロットがそこそこできているので、もしかしたら来年中にこの章が完結するかもしれないですね。

ちなみにガッシュ2の更新日に合わせますよ、今回みたく僕が最新話を読み終わった後に投稿します。

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