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正義のあり方 俺たちの覚悟  作者: 松尾ヒロシ
自分の心を代償に復讐を果たせ
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第8話―洗脳

どうもガッシュ2最新話は読みましたか? 僕は発売前にこれを書いてるので内容は分かりませんが、面白いのは確定したようなもんです。Twitter(X)に肯定的な感想ばかりであることを祈るばかりです。

  舞台は地球に戻る。


「あれはなんなんだよ……!」


「あれは……魔獣の女王様です!」


 カームが叫んだ。その言葉に誰もが驚く。魔獣に首魁がいた事、そしてその首魁がなぜかここに来たこと。そして、あのような化け物に性別があることにだ。

 筋骨隆々の人型生物、しかしその身体的特徴は人間だとはとても思えない。脚の関節はウサギや猫のようになっている。巨大な翼も生やしていたソレは、脈絡も無く襲ってきた。


(シン)(ワン)(オウ)()


 ソレは腕を鞭のように振るい、遠く離れていたはずのガイたちに叩きつけようとしている。その鞭は際限なく伸び、届かないところは無いように思われた。避けなければまずい。そう思わされた。


「リーンちゃん!」


 ガイの祖母が叫ぶ。思考する間もなくリーンはロ・ミュールを発動した。ただし、敵の反対側にちょっとした穴を開けているものだ。これで直撃する瞬間に逃げることはできる。

 目前に敵の腕が迫ると、それがただの腕ではないと理解した。明らかに骨が無い。骨なしということは芯がないということ。柔軟性が生まれるが、構造によっては振動が腕の根本まで来て腕が吹っ飛ぶ。そうならないようにするためには振動を外に受け流すか、耐え得る強靭な肉体を手に入れるしかない。つまり打撃を打てるということは、同威力の打撃に耐え得るということと同義と言っていい。


(これ程の打撃、本当に耐え得るのか……!? 耐え得るなら、斬撃系武器か、直接肉体に干渉する魔術しか効かないんじゃないか……?)


 そんな思考がガイの脳裏に過る。

 そんな思考をしていても、逃げなければならない。彼らはタイミングを見計らい、ロ・ミュールの外側へ逃げた。ロ・ミュールには罅が入り、1秒後には破壊されていた。リーンは精神的ダメージを与えられ、動きが鈍る。ガイを彼女を抱えた。全力で攻撃を避けている。


「リーン! 大丈夫か!?」


 ガイの問いかけにリーンは直ぐ様答える。


「はい……あの攻撃、レーシングカーが最速で突っ込んできたぐらいの衝撃です!!」


 その答えを聞き、ガイの祖父母は何かの準備を始めた。地面に降り立ち、何かを抑えつけるような構えを取っている。


「なるほど、なら……」


「うむ、止められそうじゃな」


 2人が光り始めた。足元には魔術陣が現れている。大技の前触れだ。


「リーン! 1分で良い! あいつを止めるぞ!」


「何をするのか分かりませんけど……出し惜しみは無しで行きます!」


 敵の攻撃は腕を使った攻撃しか使ってこない。攻撃が透明化などで隠されていることは無いだろう。文字通り、見えている術の対処だけで何とかなる。ならば、対処できない道理は無い。

 ガイが前線に立ち、リーンが後方で防御を行う。ガイ達の目的は時間稼ぎだが、バケモノは違うらしい。隙を突くという考えが無いかのように直ぐ様殴りかかってきた。


颯竜刀(そうりゅうとう)!」


 竜の装飾が鞘に施された刀を生成し、バケモノの腕を切る。そして運動の方向を下に向けるように蹴りを入れた。草の緑が混じった砂埃が飛ぶ。


「よし、これなら時間稼ぎができる!」


 祖父母の魔術陣が現れてから概ね5秒。これを12回やれば理論上は時間稼ぎが完了する。だが、それだけで終わるはずもない。

 敵は強靭な脚で跳躍。祖父母の方に落ちてくる。ボディプレスによる単なる質量攻撃、いや違う。落下の軌道が僅かに螺旋を描いている。


斬・蹴・牙(ザン・ケッ・ガ)


 空気を切る音。かまいたちのような斬撃の塊がバケモノの脚の周辺に渦巻いている。あれがどのような効果を持つのか、ということは論ずるまでもない。あれが放たれたということはつまりロ・ミュールを破ることができると想定しているということだ。どうにかして止めるしかない。ドリッテル・ファルシュにより何もかもが3倍になった盾なら耐えられるだろう。ここでドリッテル・ファルシュを使えば止められる。その確信はある。


(こいつはなんでここに来たんだろう? なぜ俺たちを狙って攻撃してきているんだ?)


 疑問が浮かんだ。


(俺たちと戦うこと、もしくは殺すことで目的が達成されるのか? 目的達成のために必要なことなのか? 確かに、()()()()()()()()()潰す価値がある。でも、もしそうなら……)


 そう、もしそうなら、対処法を考えているはずだ。勝算があるはずだ。


(もしそうなら……勝算があるはず。ならこいつの勝算ってなんだ?)


「ドリッテル・ファルシュ!」


 ロ・ミュールの何もかもを3倍化した。搦め手を使わない限り、単なる力なら誰だろうと破ることは困難な代物だ。


(もし、圧倒的なパワー以外にあるなら、このタイミングで使うはず……)


 ガイは視線を感じた。振り返ると、リーンがこちらを見つめていた。


(リーン? なんでこっちを?)


 疑問の答えは直ぐに提示された。


「アクア・ランス」


 リーンがよく使っている最上級魔術の槍だ。この状況で生成するのは何もおかしいことじゃない。オリジナルの名前を呟いていないこと以外は。

 突如としてロ・ミュールが縮み始めた。ドリッテル・ファルシュは参照時点でのコピーであるため、同時に縮んだりしてはいない。しかしこのままでは収縮する力で割られてしまう。


「リーン!? 何をやって……!!」


 アクア・ランスがガイに向かって投擲された。


「まさか、洗脳か……!」

次の更新もガッシュ2の更新日に合わせますね~

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