第2話―その2「部屋の場所忘れちゃった。」
1ヶ月開きましたけどエタりませんのでご安心を。単純に学校の課題を終わらせてたらこんなに経ってただけです。
あれから特に変な事は起きず、晩飯を食ってすぐに寝た。そして翌朝、何だか肌寒くていつもより早く起きてしまった。早く起きたからと言って何かする事が変わるわけでもない。俺は寝間着を整えて部屋の外に出た。俺の部屋はマンションの一室のようにトイレも洗面所も風呂も室内にあるが、俺は軽い運動も兼ねて別の洗面所に向かっている。
(成長してもこの家はでかく感じるな。いったい何坪なんだっけ。300は超えてた気がするけど)
洗面所はちょうど今歩いている廊下の突き当たりにある。そしてこのの廊下を通るたび、俺はこの廊下の長さを思い出すんだ。ちょうど300メートル。しかもこの屋敷には倍以上長い廊下もあり、家の廊下を全て歩くだけでも十分な運動になる。それを毎日歩いている使用人たちには感謝だな。平均月収は高めだが、今度全員にボーナスを配ろうかな。
そんな事を考えていると、もう洗面所の前だった。俺は扉を開き、中の電気をつけると、床にカームが気持ちよさそうに寝ていた。
(なんでこいつがここに!? 俺の部屋で寝てたんじゃないのか?)
俺のこの驚きを察知したのか、奴は眠たそうに起き上がった。よくこんな所で寝られるなぁと思いつつ、俺は蹲踞をした。
「……ん? アーロンか。おはよう」
「なんでお前がここにいんだよ。説明しろ」
「えっ、一応お前ここの主だよね?」
何でそんな当たり前な事をそんな驚いた顔で聞くんだよ。そうだが何か?
「えー……もしかしてお前に伝えないであんな事をしたのか。そう言えばあいつら始末書書かなきゃとか言ってたな」
「だから説明しろっつーの」
「ああ、ごめん。直ぐに説明する」
そう言うと奴はぴょっこっと立ち上がり、壁に向かって猛ダッシュをした。俺は驚いで早朝にも拘わらず大声を出して「おい莫迦! ぶつかるぞ!」と叫んでしまった。まぁ奴が壁にぶつかるなんて事は無く、部屋の外の廊下に出たわけだが。もちろんもしかしたらとは思ってたさ。壁に犬用の扉が設置されてるとかならマクレーン家なら一晩で全部屋に作り上げるし。
「……なるほどな、犬用の扉を偽装系魔術で見えなくしているのか。納得がいった」
俺は色々と申し訳ないため、ここ最近は奴らに屋敷の管理を全て任している。だがそれでも話だけは通すべきだろう。
俺は顔を洗い、とりあえず廊下に出た。扉の隣にはカームがじっと待っていた。
「なんでそこにいるんだ?」
「部屋の場所忘れちゃった」
「まぁいいが、俺はこれから執事長を叱るから。その後で連れてってやるよ」
3時間後、俺は厨房の隣の部屋にいた。内装はいたってシンプルで、白いテーブルクロスのかかったテーブルに、ガラス張りの扉。その先には広々とした中庭が広がり、今にも小鳥たちが鳴いている。ちなみにこの屋敷ではトイレを除くどの部屋よりも狭い。もちろん8畳ほどはある。親父の意向でここは朝昼晩の食事に使っている。どうやらこういう部屋で食事をとるのが夢だったらしい。
俺が朝食を待ってぼけっとしていると、庭の方から聞き慣れない鳴き声が聞こえた。見るとカームが5羽の小鳥たちにいじめられていた。あいつ小鳥よりも弱いのかよ。仕方ない、助けてやるとするか。
扉を開けた次の瞬間、なぜか鳥たちは攻撃を速めた。
「ほらどけーこわっぱどもー」
俺は出来る限り足音をさせて鳥たちに近づいた。近づくにつれて小鳥たちは1羽、2羽と離れていき、最後に残った1羽は強情でどれだけ近づいても離れなかった。俺は絶えず足音を鳴らし続ける。
「……なかなか強情だなこの鳥」
「いやお前もお前でうるさいよ! なんでずっと足を鳴らしてるんだよ! それとそこの小鳥もいつまで突いてるんだよ!」
カームの叫び声で最後の小鳥はどこかへ飛んで行った。なぜあそこまで強情だったのだろう。
「あとお前、なんであそこまで近づいてたのに手で払わなかったんだよ」
「どうせ足音鳴らして近づいたら全部飛び去ると思ったから。あとこれから朝飯だからできる限り手を汚したくなかった」
「もうそんな時間か、約束通り僕の分も用意して貰ってるだろうな?」
「作らせる代わりに始末書を無しにしたんだ、無かったら減給にしてやるさ。さぁ行くぞ」
俺はカームの首の皮を掴んで抱きかかえる。そして歩きながら今日の献立について話しながらさっきの部屋に戻って行った。




