第1話―魔獣その3
次の三話はまだ書けてないので頑張ります
ガイは一連の流れを気にも留めなかった。リーンなら実際にすると分かっていたから「ああ、あいつ魔力吸ったのか。」としか思わなかった。それよりアーロンの瞳が猫の様に開かれていたのは驚きだった。何だかデメンなんとかの最初のボスキャラみたいだ。一連の流れが終わった後、彼は直ぐに話を切り出した。
「……まぁとりあえずカームを飼うのは前提として、どうするんだ? こいつ頭2つだぞ。流石に祖父ちゃん達が黙ってないだろ」
「カームってこいつの名前か?」
「ん? ああそっか、あの時ここに居なかったな。そうだ、そいつの名前さ。話を戻すが、実際どうする?」
頭が2つの生き物は魔術が知れ渡っている現代でも存在していない。ガイの祖父母は良識的な人間であるがやはりカームに何をされるか分かった物でない。3人は頭を抱えた。三者三様に体を捻らせた。するのアーロンが何かを思い付いたように口を動かし出した。
「カームの魔術を使えば良いんじゃないか? こいつは魔力を使わないし。片方は俺が飼うよ、急に2匹増えても困るだろう?」
「そうだな、そうしよう」
「ではカーム、お願いします」
リーンの言葉に従い、カームは2匹に分裂した。
(トホホ、こんなに雑に扱われるなら魔力なんて吸うんじゃなかった。)
そんなカームの思いは露知らず、アーロンとリーンはそれぞれ一匹を抱く。抱いた感触も抱かれた感触も中々心地よい物だった。どちらかと言えばアーロンの方が抱かれたい体つきをしていたのは秘密だ。
「じゃあ次は何を食べるか試そうぜ」
そう言ってガイは家を飛び出し、数秒後に色々な食べ物を持ってきた。人間が食べても問題ない雑草と羊の毛、そして自生しているモザイクだ。アーロンの手には人参の袋も握られているからそれも食べさせるつもりだろう。
「いやもうちょっと何か無かったのかよ! 僕は人間が食べる物なら何でも食べるからやめてくれ!」
2匹のカームの声が重なりあう。双子のように息の合った発音だ。
「ガイさん、流石にそのセレクトは引きます」
青天の霹靂。まさに現状はそれが適した言葉だ。近頃、ガイはリーンなら何でも許してくれると思っていた。自分ならどんなことをしても真剣に嫌われる事は無いのだと気持ちの悪い発想をしていた。だが目の前の彼女は、それこそ真剣に嫌そうな顔をしていた。それを見た瞬間、ガイの脳内に稲妻が走った。これは冗談抜きでまずい。それを悟った彼は土下座をした。
「調子に乗ってすみませんでした」
ちなみに、土下座とは日本独自の文化であるが、現代ではその文化は広く知られている。
「いや、そんなに嫌がることはないだろ。もしかしてモザイクがそんなにヤバい代物だったのか?」
アーロンに抱かれていた方のカームは小声でアーロンに尋ねる。すると彼は真顔で「俺にも分からん」と答えた。それを聞いたカームは呆れ気味の表情を彼らに向ける。
「さて、よく分からん人種は放っておいて。俺たちは帰るぞ」
「え? アーロンだったっけ。お前あいつらと遊びに来たんじゃないのか?」
「いや、その予定だったけど。でもあんな状況じゃ無理だろ」
「確かに」
アーロンは踵を返して帰路に着こうとすると、カームたちは「弟よー!」と叫び出した。それも無視して扉を開けて彼は飛び出したが、内心こうとも思っていた。いや、どっちが弟だよと。




