第二のエピローグ―裏側
いやぁまさか年末にこんなに投稿するとは思わなかった。来年はどうなるかな。
2年ほど前、俺だったアーロン・バレルはある魂と戦った。現実では1秒足らずの出来事だったが、主観だと5分ほどの出来事だった。白い靄のような見た目だが強い魂で、ウォーレンでやっと倒せるだろうと思った。その予測は正しくて、簡単に敗北して体を乗っ取られた。数分もったのには自分を褒めてやりたいぐらいだったが現実ではそれほど経っていなかったらしい。俺は後悔しながらなぜ負けたのか、どうすれば勝てたのかと考えた。
そんな事をしている内にこいつはカレンシティに着いて食糧販売を邪魔しやがった。俺もどうにかして止めようとしたが、結局何もできなかった。しかもこの街で最強格の奴らを全員倒しやがった。同時にこいつは集団戦が得意で個人戦はそれほどだという事も分かった。だってその最強格の中でも最弱であるガイに押されてたからな。
それからしばらくすると、寝起きの頃は肉体が操れるようになった。どうやら体を操る事には集中力が必要不可欠らしい。その時間を活用しようと思ったが体が重くてまともに動けなかった。そう言えば元々俺は朝が苦手だった。今度からは克服しよう。
その数日後、だいたい奴がカレンに到着してから半年経った日だ。その日、偶然だが俺は元の体に戻れた。ただ段差でこけただけで戻ったのは腑に落ちなかったが、それでも「やっと戻れたぞ」と叫ばずにはいられなかった。これを機にと俺はウォーレンと今後の対策について語り合った。だが例の壺が置いてある部屋に近づくとまた乗っ取られた。それでもウォーレンに俺を倒してくれるように頼めたのは僥倖だ。何てったってウォーレンは俺の知っている誰よりも強い。タイマンならあの最強夫婦にだって勝てるほどの……
翌日不幸な事があった。いやなに、簡単に説明すればウォーレンが負けただけだ。負けた理由はおそらく、俺の記憶の中にあるウォーレンの弱点だろう。あいつは24時間ほどで効果が切れる精神安定剤を使っている。それで女性がいる場所で働いているが、どうしても嫌悪感だけは拭えない。そうして生まれた弱点があまり大量の女性がいると嫌悪感で気絶する事だ。それも視界が全て女だったらの話だが、奴はそれを炎で実現しやがった。それからウォーレンは俺を倒そうとはしなかった。仕方のない事だ。おそらく二度目を食らったらあいつは自殺するに違いない。正直何もしなくても俺は気にしなかったが、あいつは色々な所に根回しをして俺を倒す努力をしていた。あいつが俺に催眠弾を打った時もあった。でもやはりそれは簡単に対処され、一時は真正面から俺を倒そうと身内で対処したがそれでも俺は倒せない。当たり前だ、集団戦が得意な人間に集団で襲いかかったら返り討ちになるのは決まっている。
全ての手札を切った頃合いになると、あいつはいつも俺と戦っているガイに目をつけた。確かにあいつはこの数ヶ月でウォーレンに次ぐ実力をつけていた。更に俺を操っている魂も奴の命が狙いらしい。つまり奴の実力が上がればこの魂の邪魔が出来る。何でこの可能性に気づかなかったのかと少しだけ責めたくなったが俺も気づいていなかったのでおあいこだ。
それから約1年半経った。ちょうどカレンに戻ってきて2年だ。ガイとの戦いも50回を越えてそろそろ魂の方もうんざりしてきたらしい。そうして奴はついに俺の切り札の1つである炎の散弾銃を使った。それを見て、ウォーレンは遂に動き出した。あの魔術は他の切り札の起点とも呼べる魔術だ。ここからガイを訓練すればおそらく他の派生技とも言える切り札を初見で対処できるだろう。
それから約2週間、今までの1年半で貯めていたMUの機体や、ちょうど1年半前に作られた修練場を使って訓練したらしい。早朝に武通を撃破したと聞いた時は驚いたが、あれから2年を修練に使っていれば俺でも倒せただろう。
そして、俺は元に戻った。色々ガイには感謝したいが、まぁ今日聞く予定の願いにもよるだろう……
「はぁ……」
アーロン・バレルは、街の掃除をしていた。ガイからの願いが「街の掃除をする」だったためだ。もちろん操られていた彼は受ける筋合いは無いのかもしれない。勝手に操って勝手に約束されただけでもある。だがそんな事を言っても何か変わるわけが無いとも理解をしていたし、何より彼は街の人々に何かしたかった。とても償える物でもないが、申し訳ないと思っていた。
「やっと街の半分が終了か……いくら『僕』だった俺が約束したからってこれは多いなぁ」
そんな事を呟きながら彼は掃除を続ける。数分後、彼を倒した男がやって来た。
「……何の用だ、ガイ」
そう言って一心に彼は掃除を続ける。
「本当に操られてたんだな、正直今でも信じられないよ」
「その事に関しては本当に申し訳なかった。俺が不甲斐なかったから、街の皆に迷惑をかけた」
ガイは突然思い出したように腰掛けバッグをあさって縫いぐるみを取り出した。
「これは……『漢のバイブル』の主人公、神田亮太郎か!?どうしてこれを?」
漢のバイブルとは、ガイが大きな影響を受けたあの漫画だ。
「お前もあの漫画が好きだって聞いてさ、小さい頃に作ったやつだけど良かったら貰ってくれよ」
「良いのか?」
ガイは満面の笑みで「あたぼうよ!」と叫んだ。これを聞いて、アーロンはこの人間と仲良くなりたいと思った。自分の周囲には同じ趣味の人間はおらず、この地位では気楽に接してくれる友人も少なかった。
「……お前からも言われたが、俺からも改めて頼む。俺と、友達になって欲しい」
アーロンは右手を差し出し、彼に握手を求める。ここでガイはそんな彼が意外で、でも直ぐに自分の残った腕を差し出した。
「ああ! もちろんだ!」
多分これが年内最後の投稿ですね、今度こそ良いお年を!




