最初のエピローグ―謝罪
年内ギリギリまで執筆する予定だったので書いてたら最初のエピローグまで書けましたので投稿しました〜、もしかしたら年内に第二のエピローグも書いて投稿するかもです。そっちはアーロン主体の奴です。
空へ飛び立った白い何かを見届けて、ガイはアーロンの肉体に回復魔術を使う。いくら手加減できない状況でも手首を切るのは流石にやり過ぎたと思い、彼はごめんと呟いた。
そうしてガイは彼の肉体を背負ってレイナ先生のいる診療所へと向かった。扉を開くと、そこにはレイナ先生とウォーレンがいた。
「ガイさん、アーロン様をこちらに」
「ああ」
ウォーレンの誘導に従い、病室のベッドに彼を寝かせた。受付のある広間に戻り、ガイはため息をついた。
(かなりの大怪我を負わせたから治療は確実だろう。すまん、アーロン。あの時、俺は手段は選べなかった)
受付の奥の部屋から出てきたレイナ先生は彼を見つけて真面目そうな顔で近寄ってくる。そして彼の腕に改めて回復魔術をかけながら、彼女は話し始めた。
「ガイ、お金の方は私が支払っておくから大丈夫」
「先生が? いや、俺のせいであんな風になったんだから払うよ。それに先生にはいつも世話になってるからね」
「いや私がもう払った」
ガイは理解できずにきょとんとした表情で先生を見つめる。
「……実は言ってなかったんだけど。あいつは私の弟なんだ」
「弟!?」
「そう、弟。家族が迷惑をかけたら家族が責任をとるのは当たり前でしょ? 腕も失くしたのに、こんなことで償えたとも思わないけど。あと、感謝もある。多分これで私の知ってるあの子に戻るから」
色々と納得がいった彼はそれ以上何も聞かずに感謝の言葉を伝えた。
その後、家に帰るとリーンが彼の事を出迎えた。
「ただいま」
「おかえりなさい。ステーキができてますよ」
「ステーキかぁ、俺の好物だ」
そうして玄関を進んでリビングに向かうと、テーブルの上にはフォークなどの食器と熱々の鉄板に乗ったステーキがあった。片腕が無い彼は魔術で食器を動かしている。
「いただきます」
食器をとった彼をリーンは不思議そうに見つめる。
「あの、いただきますって何ですか?」
「ん?ああそっか、こっちでは無い文化か。俺の曽祖母は日本の人でさ、これはそこの文化だよ。ここの2人はあの人が嫌いだから、基本使わないけどさ」
「へぇ」
納得がいってスッキリした表情の彼女を尻目に彼はステーキを一口大に切って口に運ぶ。偶然焼き加減も最高だった。疲れている事を忘れさせるほど旨かった。
「やっぱ旨いなぁ……ありがとうリーン」
「いえいえ、美味しそうに食べてくれるだけで私は十分ですよ」
「いや、それだけじゃない。あの時、助けに来てくれてありがとう。感謝しきれないよ。お金でも払った方が良いかな?」
それに対し、彼女はとても不快そうな顔をしてガイを見つめる。いったい何が気に入らなかったのだろうと彼は青ざめた。
「いいですか、これは私がしたくてやった事です。何か見返りを求めてるわけじゃないんです。だからお金は要りません」
彼女は微笑んで「それに依頼料金も多すぎたので、まだまだ何かしたい気分です。」と付け加えた。そんな事を言われてもやはり何かで恩返ししたい気分だった。だが他に方法が思いつかなかった彼はただごめんとこぼすだけだった。それを聞いて彼女は慌て、何か声をかけようとする。
「あっ! えっと……謝らなくても良いです! これは私の長年の夢だったんです! 私もあなたに命を助けられたから、これはそのお返し!そういう事にしといてください!」
その慌てように彼は笑いだした。今まで張っていた気が緩んだ気がする。
「あー! 何笑ってるんですか! もー!」
「ごめんって、そんな怒らないでよ」
彼は色々と疲れていた。両親の遺志を継ぐこと、理想の子供を演じること。本当にたくさんの事に気を使って真に心から気を休める日は無かった。だが先ほどの彼女の様子に気が抜けた。とても心が軽くなった。だから彼は改めて彼女に伝える。
「改めて、ありがとう」
だいぶ最後の辺りとかやっつけ仕事ですみません
とりあえず早めに投稿したかったんで
まだまだ続きますからね




