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正義のあり方 俺たちの覚悟  作者: 松尾ヒロシ
自分の幸せを代価に周りの平穏を守れ
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第8話―独立その2

 アーロンの言葉と同時に、ガイは彼に高速で近づき、颯竜刀で切り上げる。彼は手持ちの炎の散弾銃でなんとか刀身を抑え、更に銃弾を発射した。銃声と共にガイは距離を取って銃弾を人の居ない所に弾く。それを見てアーロンは上空へと上昇、銃口を上に向けた。


「ジェントケイン!」


 彼が特に意味もない文字列を叫ぶと彼の散弾銃はただの炎に逆戻りして、掲げていた彼の右手にまとわりつく。そうして手に炎の球体が作られ、爆発した。次の瞬間、彼の右手の甲には手甲のような物が形成されていた。


炎の雨(フレイム・レイン)!」


 彼は右手を銃の形にして「バァン」と呟いた。すると人差し指から散弾が発射され、その内の1つがガイのもとへ降ってくる。他の弾は落ちてこないが、きっと追撃のためだ。

ただの炎の散弾銃でも同じ事は可能だが、オリジナルの名前を使った魔術では威力も桁違いだ。


(これなら避けられるが、きっとこれは街に被害を出すことも目的なんだろう。塔の頂上でもあるここからだったらどれくらいの被害が出るのか。分からないが、俺が囮になるしかない)


 それだけ考えて、彼は魔術で生成する盾を足場にして戦うことにした。螺旋階段のように盾を生成して、それをかけ上がって行く。足場にした地点には炎の雨が降り、幾つかはガイの髪の毛を掠めて引火した。ただ硬くはないらしく、盾に当たると直ぐに消える。ガイは猛スピードで彼に近づいていくが、それを見てアーロンも急上昇した。もちろんこの程度は予想の内だ。

 ガイは髪の毛の炎を水の球体を生成してそれに頭を突っ込んで消火し、盾を用いて煙突のようなものを生成していく。そして彼は神降ろしを発動して煙突の穴を一直線に上昇した。アーロンは再び「バァン」と叫び、盾の煙突の先に残っている散弾の半分を落としていく。ただの炎なら神降しで消火可能だが、魔力の篭った炎ではそうはいかない。突然行く手の先から炎の雨がやって来たガイは横の盾に足を滑らせて減速、前方にも盾を1つ生成して穴を防ぎ、横の盾を1つ蹴破ってその煙突から脱出した。

 雄叫びをあげながらそのまま一直線に突進し、神降ろしで勢いを衰えさせずに上昇した。刀が届く範囲に入った時に彼は刀を切り上げるが、アーロンはそれをひらりと躱し、ガイの脇腹に散弾を発射した。そこでガイも負けじと股関を蹴り上げて直撃を避け、アーロンと距離をとる。

 股間を抑えながら、アーロンは思案していた。


(手札は全て切った、でも奴を殺せない……使いたくなかったが、この肉体の記憶を使うか)


 そうして彼はジェントケインを解除し、改めて炎の散弾銃を作り出す。それを足の方に向けてから火炎放射で体を横に回転、その勢いでガイの方に突進し始めた。それを見てガイは刀を構える。


超脚嵐火(ちょうきゃくらんか)!」


 アーロンは足が届くと確信すると回転の方向に縦を加えてかかと落としをした。もし刀身で受け止められても問題ないように足には炎の散弾銃が添えられている。ガイは刀で受けたが、高い威力と属性相性の前に負けて颯竜刀は破壊された。そして彼は超脚嵐火を腹に受けてバレル邸の正面玄関前に落下した。何とか地面に直撃しないように風の魔術で勢いを弱めたものの、立とうとすると足が崩れる。地面に膝をついた姿勢でいると彼は急に咳き込んで血反吐を吐いた。


(クソ……!内臓が傷ついたか……生きていけるか? いや、リーンがいるんだ、俺はまだ生きなきゃいけないんだ! この程度の痛みなんて今の幸せに比べれば!)


 彼は腹部に回復魔術をかけて立ち上がる。


「おやァ? まだ生きてたのか。知っていたけどやっぱりしぶといなァ」


 上空からアーロンはゆっくり降りてきた。余裕そうな発現だが、髪の毛は汗ですっかり濡れている。


「まぁあれだ。疲れたでしょ、一思いに殺してあげるよ」


 そして彼はガイの元に歩いてきて頭に銃口を押し付けた。この位置ではどれだけ足掻いても死ぬだろう。だがガイは颯竜刀の切っ先を彼に向ける。


「おい、この程度で慢心しても良いのか? 俺はまだやれるぞ」

「この状況でまだ言うか……ん?」


 突然、ガイの額から血が流れだした。額には攻撃が当たっていなかったと記憶しているアーロンは不思議に思い、銃口の向きを変えず振り返る。するとそこには今にも切りかかろうとする風の刀が存在していた。咄嗟に左手で炎の刃を生成して受け止め、同時に銃の引き金を引いた。ガイのうめき声と共に風の刀は消滅した。彼の足に生暖かい液体が触れる。足元を見てみると、やはりそれは血だった。彼は笑わずにはいられなかった。全ての抵抗が無駄に終わり、最期もただうめき声を出しただけ。油断せずにはいられなかった。

 全ての魔術を解除して右腕に埋め込んでいたマイクとカメラを無理やり取り出し、アーロンはカレンの上空に映像を映し出した。


「いやぁ大変だった。寝ている者もいるのだろうな。だが報告したい事があってね。実はさっき、あのガイ・カディック君を殺したんだ! 見てくれ!」


 子供のようにはしゃぎ、カメラを血だまりの方へと向ける。だがそこにはガイの姿は無かった。


「あれ? さっきまでそこに……」


 アーロンはいったんカメラを置いて血だまりに近寄る。既にガイを殺したと思っていた彼は満身創痍だ。明らかに異様なこの状況でも魔術を出すそぶりも見せなかった。それが彼の運の尽きだった。次の瞬間には彼の背中は切られて血だまりに倒れた。もちろんガイの颯竜刀でだ。


「な、なんでお前が生きている……!?」

「なんでって、そりゃ避けたからよ。腹に何発か食らったが内出血してた分の血が流れただけで済んだ。その血だまりはそれよ」


 アーロンは悔しさに涙を流した。自分が油断していなければ、などと考えた。だが何を考えようと後の祭りである事も分かっていた。だから彼は右腕の炎の散弾銃を構えて再びジェントケインと叫ぶ。

 ガイは彼がなぜそんな事をしているのか直ぐには分からなかった。だが彼の人差し指の向く先を見て全てを理解した。それはガイの祖父母の牧場だった。ガイはアーロンを止めようとするが、もう既に遅い。彼の指からは特大の弾丸が発射された後だった。

久しぶりにまともな戦闘が書けたぞよ、これは武通戦ぐらい自信がある。

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