第7話—否定その1
プロットの大きな変更があったため、タイトルを「女傑」から「否定」に変更しました。本当にすみません。
現在の時刻は6月11日の午後11時51分。真夜中でありながら、カレンシティはざわついていた。なぜなら先日、アーロンが今回の戦いの開始時刻を設定しなかったため、起きている者が多々いるのだ。たとえ全員が息を潜めていても僅かな呼吸の音が重なってざわつきとなっているという事だろう。そんな中でアーロンは誰かと連絡を取っていた。現在においても、携帯電話と言うものはある程度普及している。2019年でのスマートフォンのような薄型で多機能であることより、連絡機能に技術を注いで作られた物。見た目はブルートゥースイヤホンを両耳につけていると例えると分かりやすいだろう。
「明日……もう直ぐ今日になるわけだが、その日は送っておいたコントローラーで、MUの集団を統率してガイを足止めしてくれ。これが終わったら契約は終了だ。終了後現金で渡そう。安心しろ、1000万耳を揃えて渡すから、じゃ」
彼は右耳の方のスイッチを押して通話を終了し、屋敷の外の茂みへと目を向けた。
「今はだいたい53分か、時間指定してないし外に何人かいるなぁ。割と真面目な服装で行くか」
そうして彼はクローゼットの扉を開いた……
分針がちょうど59分を指したのを見て、ガイは家の外へ出た。緑のシャツにベージュのズボン、黒い腰掛けカバンには携帯食料をいくつか入れてある。
「さて、もう直ぐ時間だからか誰も彼も起きてるな。そういえばリーンどっか行ってたけどどこ行ったんだろ?」
そんな独り言を呟いていると、ちょうど日付が変わったらしい。あたりから様々な属性の光が街の端の山頂にあるバレル邸へ向かっていた。それを見て、ガイは負けじと風の刀を発生させ力を溜める。
すると、辺りに地響きが轟いた。
「まさか、『緊急用避難施設・禍津日』を動かしたのか!?」
緊急用避難施設・禍津日、それはこの街に大河が流れていることに大きく関わる。この土地は数年に一度大雨が降り、その度に氾濫し大洪水が起きる。いくら魔術があるからと言って、家が水の中では生活は送りにくい。そのため、バレル邸の地下から伸びる塔として避難施設が建造されたのだ。
「あれは街にとっての災害の象徴だぞ! それをこんな事に使うだなんて! 許せない!」
ガイは怒りのままに今まで溜めていた魔力を全て放出し、禍津日へと向かおうとする。
「街の人々のために怒りますか。とてもカッコいいですけど、あなたの本性を知っていると興がそがれますね」
彼は声のする方向へと振り返る。視線の先にいたのはとげとげしい機械の仮面を被った人間がいた。声は仮面に内蔵されている変声期を通していて、男なのか女なのか分からない。
「誰だお前は?」
「私は……そうですね、あの塔にならってディザスターとでも名乗りましょうか」
そう言うと彼は右頬のスイッチを押して、信号を発した。すると禍津日の頂上、つまりバレル邸から無数のMUがここへと向かって飛んできたのだ。
「さぁ、戦ってもらいますよ。ガイさん」




