第6話―奇怪その3
無機物でありながらも魔術を使うMUがガイのもとに向かって歩いてくる。胸部の水晶を光らせながら近づいてくるその光景は威圧感さえも感じさせた。この状況でただ上空に逃げてもMUの大群に押しつぶされるだけ。だからと言って真正面から向かっていけば蹂躙されるのに変わりはない。ならば、とガイは最前列のMUの足元に盾を発生させた。カメラの外で発生した盾に半数以上が足を引っかけて転んだが、残りはこれを機にとガイに飛びかかってきた。このことでさっきまで完璧だった陣形が1秒分ほどずれ、ガイが対応できる隙が生まれたのだ。
ガイは更に風の刀を6つ生み出し、まず7機を撃破した。
「これで残り493!」
『目標の技量の測定ミスを確認……修正中……』
すると極端に速度が遅くなった。戦闘に慣れていなくとも簡単に攻撃を避けられるほどだ。
「MUの動きが遅くなった!」
「MUには魔術戦闘中は極端に処理速度と動作速度が落ちるという弱点があります。それを知っていたガイさんは利用したんですね」
ガラスの向こうでウォーレンは冷静に分析した。
(処理が終わるまでだいたい20秒…全てそれまでに!)
全力を出す時が来たと確信したガイは今までとは比べ物にならないほどの速度でMUを撃破する。
(1……10……100!)
ちょうど101機目に到達しようとしたところで時間がやってきた。
101機目のMUは自身に迫っていた風の刀を炎で焼き払う。
「クッ、時間切れか。」
こうなってしまうと、もう数の暴力だ。ガイは逃げるしかなかった。MUはそれを追うもの、床から狙うものに別れて攻撃を仕掛けてくる。下からの攻撃も追手からの攻撃も対処できないわけではない、だが対処できるだけで、逆転の一手はまだ打てずにいた。このままでは魔力切れを起こし終わってしまう、両親に恥をかかせてしまう、そう思ったとき、ガイの脳裏にある案が浮かんだ。それは以前両親に禁じられた技だった。
(それをやると魔力は16分の11を切る上に父さんたちとの約束を破ることになる……でも! 父さんたちに恥をかかせるくらいなら!)
決心はまだ付いていなかった。ただやらなければならない義務だったからこそ、彼は立ち上がった。そして彼の周囲から空気が消失したのだ。




