人間
人間は悪か善かこんなことをよく中学生の頃考えていた。まあ、俗にいうところの厨二病だったのだ。しかし、最近になって''あの''事があって以降また、同じような事を考え始めた自分がいる。高校2年になった今でもそんなことを考えてしまう自分に嫌気がさしてきていることを自分が一番よく分かっている。
爽やかとは到底いえない朝がやってきた今日は月曜日なので僕は学校に行くために顔を洗い、学校へ行く準備をする。先週の水曜日にあった''あの''出来事のことを思い出しながら、心此処にあらずといった具合に。
学校へついた、僕にはとても仲の良い特別な友達はいないもののクラスの皆と仲が悪い訳では無いのでクラスの人と会うと適当な会話をして席に座る。それがいつもの僕だ。でも
この日は誰とも話さずに席に座り、机に顔を突っ伏す。普段と違う僕の様子に誰も話しかけてこない。当然だ、なぜなら今日はいつもよりも30分も早く学校に来ているんだから。
そもそも、話しかけてくる''人''がいないんだから。
しばらく学校の自分の机に突っ伏すことで僕の気持ちが幾分か落ち着いてきたころ、学校にクラスメイトがやってきだした。僕になんだ今日ははやいなどうしたんだ?などと声をかけられた。僕はそれこそ本当に適当にちょっと目が覚めるのが早くてと、そうかえしていた。
そんなやりとりがいくらかあったあと、ある男子生徒と女子生徒の2人組が登校してきた。それまで、落ち着いていたはずの僕の心が一瞬にして落ち着かなくなった。だって、僕が先週あの2人組があんなことをしているのを目撃してしまったのを知られているかもと思ったからだ。
僕の席は教室の真ん中付近であの2人の席はベランダの近く、つまり座る時に僕の席の近くを通る。僕は、自分の心に落ち着けと思いながら、朝の読書の本をさりげなく取り出し2人を見ないようにする。
あの2人は、僕に見向きもし無いで通りすぎて行った。楽しそうに談笑しながら、、、、
僕の心は歓喜に震えた。そう、あの2人の大きすぎる失態を目撃したことにきづかれていなかったのだから、、、
しばらくして、僕はまだ気づかれていなかったという根拠が無いことに気づき、気持ちを落ち着かせて冷静にあの2人の観察を始める。普通に考えればクラスの人にじっと見られていれば、不審に思うだろう。しかし、あの2人に限ってはじっと見ていても不審に思われない。なせなら、男子のほうはクラスで1番のモテ男、女子のほうはクラスでも人気が高く、信頼されている学級委員長。しかも、あの2人は最近付き合い始めたのだ。だから、不躾な視線を2人に送っていても、それを送っているのが僕だけで無いので、もし僕があの現場を目撃してしまったと知り得なければ気にされることもありえないと僕は確信している。
どうやら、本当に知らないらしい。僕に対する態度もこれまで通りだ。そうなってくるといよいよ僕は自分が握ってしまったこの事実という名の情報をどうしようかと考える。ここで、冒頭の気持ちに戻る。そう、ぼくは、いや、私(これまで心が落ち着かなかったからあえて自分の一人称を変えていた)はここで自分はこれからどうするべきか、それに悩んでいるのだ。もし、世間一般での正しい、つまり正義を貫くのならば、この情報を私は心の中から出し、このことを知るべき人に伝えるべきなのだろう。しかし、私の心はそれをあまりよしとしていない。なぜか、、はじめは自分にやってくるだろう面倒事を回避することが、出来るからだと私は自分でそう思っていた。思い込んでいた。いや、正確にいうならば、思いたかったのだ。自分にはこれをいうと質問が数多飛んでくるだろう。それがいやで言えないのだ。そう、思いたかった。しかし、現実は違った、私はあの現場を目撃したことで、あの2人の弱味を握れた。それに''優越感''を感じてしまっていたのだ。
私は、考えた。ええ、それは深く長く考えたしかし、自分は私は結局何をしたいのかわからなかった。そんな時、こんな会話を隣の席の人がしているのを聞いた。「俺は思うわけよ、人生ってのはな自分の選択で決まるもんだってな、だから俺はゲームをするっていう選択をしたんだ」、彼はふざけていったのだろう。しかし、私はこれを聞いて決断した、つまり''あの2人組が私達の住む町のもっとも大きな寺を燃やし、中にいた住職を殺した犯人だという''情報を少しずつ少しずつ自然に流していき、あの2人が落ちぶれて破滅を迎えるのをみる''ゲーム''をしようと、、、
今日未明、男子高校生、女子高校生2名が電車のホームに飛び降りて、、、、、
その夜、幾つかの家で恐ろしいほど愉しそうな笑い声が聞こえた。