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勉強する意義、異世界にあり!!  作者: 白嶺 神春
第1章 かけ算だけで学園のトップに立とう
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数学だけで学園のトップに立つ準備⑨

 俺はかなり長く感じられた異世界生活一日目を終えて、ひとつの目標ができた。

 それは、元居た世界で体験できずにおわった高校生活を満喫するということ。

 加えて、その入試試験でアリシアよりも高い順位で合格することだ。

 だが、そのために今は大きく分けて二つの弊害がある。

 

一つ目は、情報量が圧倒的に足りないこと。

二つ目は、どうやって俺がかけ算を理解しているかを隠すか、ということだ。

 

とにかく時間が少ない。

 

そう思い立って行動し始めてのが今朝の話だ。

 

ちなみにだが、幸いなことに高校入学までの一週間はアリシアの家に置いておいてもらえることになった。

まず、アリシアに高校の情報を提供してもらうことにした。

 

「アリシア、俺らが受けようとしてる高校ってどんなところなんだ?」


ライバルなわけであるのでアリシアも言おうか言わないでおこうか、迷っているようすだったがしぶしぶ答えてくれた。


「国立クリード・フィール魔法化学園、この国唯一の魔法化学園よ、世界で名高い魔術師を何人も出してるすごいところ」


ちょっと情報量が心もとないが、実際行ってみてからのお楽しみということにしておく。


次にアリシアの家付近の商店街の散策に出かけた。

やはり字は前の世界のものとは違うため読むことができないが、何が売っているかは見ただけであらかたわかった。


しかし金がない。


今の持ち物といえば死ぬ前まで着ていたジャージくらいでそれを今でも来ているため、変に悪目立ちしてしまいそうで怖いため早くなにか着る物を買いたいのだが……。


あ、そうだ。かけ算で何とかできるんじゃね?


しかしそれにも情報が足りないので仕方なく家に戻って、特訓中だったアリシアに聞いてみる。


「アリシア、かけ算についてできるだけ詳しく教えてくれないか?」

「シンヤはかけ算を理解しているはずでしょ?私から教えられることなんて……」

 

勝負の相手がかけ算の理解者(俺)であるということを受けて、今回の勝負の雲行きの悪さをアリシアは感じていることだろうと今の発言で推測できた。

しかし俺は今後の人生の雲行きが怪しいわけだ。何とか情報をもらいたい。


「まあ、そうなんだが、効果とか詳しく知りたくてだな」


そこで今ちょうどアリシアが振り回していた剣(最初にあった時突きつけられたやつ)について聞いてみることにした。


「その剣って何なんだ?」

「これが私のスペシャルナンバーの三の段第二節で作り出した剣よ。」


そういって中世風の騎士が持っていそうな剣を見せてきた。


「じゃあ、三の段って剣魔法的なやつなのか?」

「三の段は具象化魔法よ。思ったものを大体形にできるの」

「他の段の効果もできれば教えてくれない?」


アリシアはまたもや渋ったものの教えてくれた。

要約すると

 

一の段 通常攻撃魔法

二の段 属性攻撃魔法

三の段 具象化魔法

四の段 変形魔法

五の段 召喚魔法

六の段 力魔法

七の段 時魔法

八の段 回復魔法

九の段 破壊魔法


だそうだ。


「ありがと、アリシア。訓練中悪かったな」

「お安い御用よ」

 

 そういって俺はもう一度商店街へ繰り出ていった。

 そして俺はいい案を思いつく。


「具象化魔法を使ってなんか作って売るか。」


確かにこの場で服を作ってもよかったのだが、デザインセンスのない俺の作る服なんて、さらに悪目立ちしてしまうだろうと思って、この結論に至った。


魔法を使っているところを誰かに見られてはまずいのでいったん茂みに隠れる。

どうせならかっこいい方がいい(デザインセンスがないのでどうなるかはわからないが)という理由と、練習がてらなので色々な武器を作ってみた。


真っ黒の剣、真っ黒の槍、真っ黒の斧、真っ黒の日本刀的なやつ。


「なんか……違う……」


やはり芸術センスのない俺には無理な仕事だった。


これではどうにも歯切れが悪いので、せっかく作った四つの武器にはプラスで回復魔法もかけ、一切刃こぼれしない武器に、さらにそれぞれ特殊効果までつけてやった。これで高い値が付くと良いんだど……


「さて、売れるかわからないが鍛冶屋に言ってみよう。」

 

 チャリン。鈴か何かの音が響く


「らっしゃい」


低く深みのある声で店の奥から現れたのは背の高くガタイのいい男の鍛冶屋だった。


「どうされました?」

「武器を売りに来たんですが」

「お古ですかい?」

「いいえ、自分が作ったものです」

 

するとその鍛冶屋は、


「はっはっはっは!」


と、大声で笑った。

続けて言う。

 

「悪いがお客さん。こちとら鍛冶に人生かけてだ。お客さんみたいな方の作った武器なんて、買い取れやせんですよ。せめて自分の作った武器を売り出したいってんなら、あと十数年修行するんですね」


また見た目で判断されてしまったが、そういって再び笑いながら去っていく鍛冶屋を俺は何とかひきとめた。


「そういうことはものを見てから行ってくださいよ」

「ほう、なかなかに自信があるようじゃないですかい。ではこうしましょう。そこのショーケースの中に私が三年かけて磨き上げた剣があります。お客さんと同じおなじように自信作というやつです。どうですためしてみませんか?」


そう挑戦的に笑いかけてくる。

きっとこの鍛冶屋は自分の磨き上げてきた自信作で俺の作った剣をへし折りでもして帰らせる気だろう。

しかしこの剣は八の段の絶対防御保証付きだ。

刃こぼれを一瞬でもしようものなら自己再生するように魔法をかけた。


つまり、残念だがこの鍛冶屋のおっちゃんに勝ち目はない。


多少悪く感じつつも俺は金のことを考えて返り討ちに合わせることにした。


「ちなみにその三年の月日がどうたらっていう剣の値段はいくらなんです?」


金がほしい俺は一応聞いておく。


「これはうりもんじゃねえですぜ。しかしあえて値段をつけるとしたら……金貨二十枚っていったところですかな」

「つまり、もし僕の剣があなたのその剣を折ったら少なくとも金貨二十枚で俺から買ってくれるということですよね?」

「おもしれぇ坊主だ……。ひさしぶりにたのしませてくれそうだぜ……」


鍛冶屋のおっちゃんを半ギレにさせつつも俺は真っ黒な剣を持ってきた大風呂敷の中から引っ張り出す。


「で、なにをすればいいので?」

「なあに。かんたんさ。ただ単純に俺の剣めがけてお客さんは持ってきた剣をぶつけてくれればいい」


そういって三年(以下略)をショーケースから取りす。


「じゃあ、いきますよ」

「どっからでもきてくださいや、お客さん。まあなくはめになるんでしょうg」

 

カッキーン!!


そういってはじけ飛んだのは三(以下略)だった。


おれが思いっきり剣をふった次の瞬間、鍛冶屋のおっちゃん自慢の剣はあっけなく中央を境に半分に割れた。

正直ここまでとは思っていなかったがやはりかけ算を理解している俺が三の段の第九の節なんかで作った剣はマジでヤバかった。


「あ、、、あ、、あ」


声にならない声を出す鍛冶屋のお(以下略)


「というわけで、金貨にじゅm」

「買う!言い値で買う!!だから頼む、いったいどれだけの時間があればそんなものが……」

「三分くらいでしたかねー」

「う、嘘に決まっている!」

「ほんとうです」

「しょ、証拠は!」

「これでいかがでしょう?」


そういって風呂敷の中から残り三つの武器を全部引き出す。


「性能はさっきあなたの剣をきった俺の剣に負けずとも劣らないものです。これだけの良品を四つも用意できるんですから、ひとつの際作にかかった時間は、確かに三分は盛りましたが(実際はかけ算を言うだけなので数十秒)、まぁお察しください」

「うそ……だろ……」


どうやら完全に追い打ちをかけてしまったらしい。


その瞬間鍛冶屋の(以下略)がおもむろに店の奥の走りだした。


かと思えば茶色い袋を抱えて戻ってきた。


「お願いします!お客様!!これどうか、あなた様の作った武器を!!買わせてください!!!」


そういって抱えていた茶色い袋をグイグイめのまえに持ってくる。


「い、いいですよ」


あまりの迫力にそう答えてしまった。


「ありがとーごぜーやす!!!」


その鍛冶屋は店を出て行った後も見えなくなるまで俺に頭を下げていた。

 

もらったお金といえば金色のメダルみたいなやつが五十枚くらい。

いったいこの金額がどのくらいの価値があるのか、かえってアリシアに聞いてみよう。


長めに書きました。(誰得だよ)

最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!

まだまだ素人ですがアクセス数がちょっと増えました。かなりうれしいです!

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