数学だけで学園のトップに立てるかもしれませんよ。③
まばゆい光に包まれた俺は、背中を羽毛のようなもので撫でられた感覚に陥った。
なぜ二度目の死を体験していたはずの俺が撫でられるなどという感覚があるのだろう?
恐る恐る目を開いてみるとそこには顔はおびえているものの無事な少女の姿があった。
身を挺して誰かを救うことができたことに少し自分を自分でほめてあげたくなった。
「うそ、だろ……」
その声の主は後ろにいた。
恐怖ですっかり忘れていたが、その恐怖を作り出した山賊の二人組がいたことに改めて気が付く。
しかし様子がおかしい。
なぜか知らないが目の前にいる少女よりもおびえているのであった。
「あの、どうかしたんですか?」
命を奪われかけた相手なのになぜか俺はそう声をかけてしまう。
それほどに山賊のおびえぶりは異常だった。
「ほんとうにすみませんでした!!」
「お命だけは勘弁してください!!」
土下座である。
いま俺は大の大人に土下座されているのである。
「あの……なんかやってきたのはそちらですし……おれなにもやっていませんし……あの、ですから女の子がなんか俺を変な目で見て来るのでその姿勢やめていただけませんか?」
「すみません!もうしません!すみませんもうしませんすみ……」
依然として二人の態度と姿勢は変わらず、なんかこっちが悪いことをしたように思えてくる。
しょうがないか、なんか勘違いしてくれてるみたいだし、ちょっと声をかけてこのままこの子から距離を置こう。
「山賊さん、今すぐここから立ち去るのであればお望み通り命は保証しますよ。」
「ありがとうございます、ありがとうございますありが……」
早くいけと言っているのにやはり態度と姿勢は変わらない。
っていうかさっきからしゃべってないほうの人、地面に頭すりつけたまま痙攣してるけど失神してね!?
「あー、もうわかりましたよ」
そういって俺は少女の手をつかんだ。ダメそうだからこっちから離れていこう。
「じゃあ、いこっか」
そう少女に言うと、
「うん!お兄ちゃんありがと!」
と俺と出会って初めて笑顔を見せてくれた。
そういえばなんで山賊はあそこまでおびえていたんだろう?
魔法的なものを発動するとき言った《かけ算》も気になるし……。
まあとりあえず無事だし。
なんだかんだで俺は少女を連れてもう目の前まで村のようなところに来ていた。
しかしなぜだろう、様子がおかしい……。
明らかに村の様子が陰鬱なのだ。
恐る恐る村の入り口のようなところに一歩足を踏み入れたと同時、今の今まで右手を握っていた少女は跡形もなく消え去り、目の前には黒いローブのようなもので身を包んだこの村の住人らしき人が、騎士の持つような剣の矛先をこちらに向けて立っていた。
驚きを隠せない。そしてその驚きとともにやってきたのが……
殺気。
それは今までの人生の中で体験したことがない異様なものだった。
そのローブの村人が声をかけてくる。
「私の問いに答えなかったら、今ここであなたの首をはねます。」
うわぁー、まじっすか、、、。
声からして女性だがやはりその声にはたとえようのない殺気を感じる。
「問1、あなたがさっき一緒に歩いていた女の子、あの子をさらったのはあなたかもしくは仲間か、答えなさい。」
ここは素直に答えなかったら本当にやばい。
「いいや、違う。」
やばい、声震えてますやん。
「問2、ではなぜあの子と行動を共にしていたのです、答えなさい。」
「山賊に襲われていたんだ。」
「あなたが助けたとでも言う気で?」
「実際そうだけど……。」
「あなたみたいなのが、ここらへんにいる山賊と女の子をかばいながら戦って勝ったということですか?その細々しい体で?笑いものですね……」
全然笑ってねー!
「もういいです……とりあえずあなたには聞きたいことがまだ山ほどあります。一緒に来てもらいます。」
信じてもらえなかったー、ほんとにこれはまずい!
「抵抗しなければ痛い思いはしな……」
そうローブが言いかけた時だった。
「おねーちゃん!まって!!」
俺の隣から瞬時にいなくなっていたはずのあの少女がこちらに向かってあらん限りの声を投げかけてくれていた。
まだまだゆっくり続きますよ。
(ここから先は数か月後の筆者です)
第一に私が自分の書いた話を見て思ったのが、読みにく!というものです。
あれからほんの少しだけ小説の勉強をして少しでも読みやすくなれたらと思い、前回に引き続き大きく手直しを加えました。
今後もやっていく予定ですがいちいち書いていくのも面倒(面倒くさがらずやれ!)なのでこの場を借りて書かせていただきました。
ちょっとは読みやすくなったかなぁ