表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/125

第三話

気がつくとどこかの草原にいた。


日本では九州の草千里とか、北海道の富良野とかにでも行かないと見れない風景だと思う。


むしろモンゴル?


なんとなく車の通ったような、轍のようなものが見える道らしきものが目の前十メートル位の近さにある。


あとは前方二百七十度の草原と後方九十度の林、上には青空と・・・大自然だ。


青空には少し雲が浮いているが、晴れていて、風はさわやかに乾燥している。


明るさや気温なんかから、晴れた秋の昼前って感じがする。


着ていた服装はそのままらしく、Tシャツ、皮ジャン、ジーパン、ワークブーツ。


これなら暑さ寒さもある程度大丈夫だろう。



いきなり異世界人との対応には自信がなかったので、見つからないように林に隠れることにしよう。


英語だって苦手だったのに、異世界語だぞ?


いちおうオタク女神には意思疎通の要望は出したが。


一安心すると別な心配が出てきた。


俺この世界で生きぬけるんだろうか。


いつか日本に帰れたりするんだろうか。


オタク女神は「弱冠チート」って言っていたがどんなモンなんだろう。


つかなんか体の調子が変だ。


変といっても「悪い」のでは無く、逆に良い。


膝の痛みも無いしなんとなく体が軽い。


オタク女神が言っていたとおり若返っているのだろうか。十三歳に。


向こうでは三十五歳、百七十五センチ、七十五キロだった。


たしか俺が中学校に上がるときに百六十五センチ五十キロだった。


今のイメージ的にはそんな的な感じだ。


目線はほとんど変わっていない気がするが、手を見た感じや、顔を触ってみた感じでは痩せてる。


というか「こけてる」って感じだ。


身長の伸びに体重がついてきてなかった小学校の時の感じ。


坊主頭だし。


確かに小学校卒業時に百六十五センチあった俺は、学校で一番デカかったがガリガリだった。


LLサイズの革ジャンもブカブカだ。


どうやら本当に異世界に転生させられてしまったようだ。



しばらく呆然とあたりを見回していたが、ふと我に返った。


このままぼうっとしていても無駄どころか有害だ。


あのオタク女神は「異世界生活オンライン」に準拠って言ってた。


あのゲームはいわゆるファンタジーで、モンスターも居ればプレーヤー同士の殺し合いも、戦争もある世界観だ。


いつ後ろの森からモンスターが出てきてもおかしくないし、目の前に悪魔が現れてもおかしくない。


女神とやらに言われたとおり念じてみると、あのゲームのキャラクター設定メニューが現れた。


ステータスはすでに決まっていて、あとは諸設定を決めるための画面が目の前に、何と言ったらいいのか画面としかいいようがない感じで現れたのだ。


1/3

[名前]未設定

[性別]未設定

[年齢]十三歳

[外見]身長百六十五センチ(成長期)、体重五十キロ(成長期)、髪:黒(成長期)、瞳:黒

[種族]陸人族   [筋力]三十    [精神力]四十五

[器用度]三十八  [敏捷度]三十   [耐久力]三十

[抵抗値]五十五  [幸運度]十    [魅力値]五十

[LP(生命力)]三十五   [MP(魔力)]三十五   [HP(信仰力)]-


今までのキャリアが反映されているのか?


名前や性別も決めれんのかよ。


でも一から出直すにはいいかもな。


なら種族も未定にして欲しかったぞ。


身長や体重の成長期はわかるが、髪の成長期ってナンだよ。


衰退期とか来るのか。退行期とか。


絶対に遊んでんだろあのオタク女神。


信仰値が「-」って何だよ。


「0」ってことか?


おれがあいつら(あの女神ども)を信じてないからか?


でも、たしかあのゲームでは、スタート当初のステータスは、平均値が十五位だったはずだから、まあまあどころかチートに半分以上足を突っ込んでいる位だろう。


つか幸運度もっと高くしてくれよ。


陸人族って事は海人族もいるのか?


ゲームにはなかったぞ?


人魚だと海人族になるのだろうか?


性別はもちろん男だ。


やってもやられたくはない。ノンケだ。


ん? 男と女以外にも選択肢があるみたいだけど、見ないほうが幸せな気がするのであえて無視だ。


むしむし。


両性具有?


見てないってば。



名前を決めなきゃいけないのか。


今までどおりでいいか?


それともやり直し人生と思って代えるべきか?


たしかあのゲームのノンプレイヤーキャラクターの名前はほとんどが西洋風だった。


本名はあっちの残念女神に目をつけられた名前だから代えた方が良いかもしれないが、呼ばれて反応できない可能性もあるしな。


どうするか。


愛称とか呼ばれなれてる系に代えるか。


遊んじゃうか。


よし遊んじゃおう。


好きなものの名前を適当にくっつけてミドルネームとかいれて。


好きなものか。


酒、バイク、女、旅、ラノベ、歴史物の小説、映画、海、ペット位か。


ペットと女は名前につけたら詰みだな。ポチとかマツコとか。


今の名前も無いと誰だか分からんな。


ハンドルネームには大分慣れてはいるが。


酒はジンかブレンディッドウィスキー。


まぁ第三のビールがイチバンだけど。


旅は、バイクでもフェリーでも電車でも楽しい。


バイクはクルーザータイプが好きだし、でもスズキカタナは好きだし、金持ちになってクルーザーで美女をはべらしたい。


映画やラノベはファンタジーやハリウッドものが好きだったな。


よし、これから俺は「ジン・サカキ・クルーズ・ブレイド」だ。


弱冠どころかかなり厨ニ病的な感じがするが、気にしない。


気にしないったら気にしない。


どうせ自分じゃ呼ばないんだし、略されるんだろうし。


[決めた]と思うと見えていた画面が2/3に変わった。


2/3

スキル  ポイント 84P

「魔法」光魔法3、ユニーク(コピー1)

「戦闘」投擲2、弓1、槌2、格闘1

「非戦闘」テイマー1、騎乗1、気配察知1、算術4


アノ女神の言葉が本当ならば、今までの俺の経験がこの中に反映されているはずだが・・・


たしかあのゲームなら光魔法は回復系。


僧侶神官系の魔法だ。


やつらが神ならまあそんなモンはつけてくれるだろう。


ってことは信仰値の「-」はなんだったんだ?


コピー?


モノマネが特技だったせいか?


でも他人の能力をコピーできるこの能力はありがたい。


チートさまさまだ。


強奪もあればよかったのに。


強盗経験とか必要だったら無理だよな。


後についている数字は多分レベルなんだろうなぁ。


投擲2? 「投げる」か。


ピッチャーだからか?


ダーツや投げナイフとかあのゲームでは使わなかったな。


ゴテゴテの前衛職だった。


レベルが2なのはエースピッチャーだったからだろうか?


もしかしたらメジャーリーグのピッチャーだったらレベル5とかか?


弓1? あぁ弓道やってたからな。


でもレベル1ってことは・・・ピッチャーほどのレベルではなかったってことか。


競技人口によっていろいろ違うのかな。


槌2? 


カナヅチのツチだよな? 


メイスとか棍棒とかだろ? 


あぁ野球のバッティングか? 


バットも棍棒みたいなもんだし。


たしかに四番打ってたからな。


格闘1? 


中学校や高校の授業であった柔道のせいか?


バイトの警備員の護身術・逮捕術のせいか?


非戦闘系も良く分からん。


テイマー1? 


動物や魔物を飼いならすやつだよな。


思いつくのは小学校の飼育係だけだ。


六年間やっていたがそれでなんかなんのか?


騎乗1?


馬なんか乗ったこと無いが、バイクは鉄馬扱いなのか。


気配察知1?


ぼっちには必須なスキルではあるが。


うん、結構ぼっちだったからなぁ。


それより隠密スキルなんじゃないのかとも思うけどな。


算術4?


日本の数学教育はレベル4か。


普段使わないものまで習うからそんなもんかも。


なら国語算数理科社会体育や図工、美術、英語に簿記、そろばん、計算機、ワープロ、パソコンとか習ったのはどこに反映されるんだろう。


やった時間の差なのか程度の問題なのか。そろばんとかのせいかな。


ポイントが84Pあるので振り分けようと思うといきなり画面が広がる。


あのゲームのような、それ以外のもあるスキル一覧画面が現れる。


「???」とか今はゲットできないものもあるようだ。


スキル

  [魔法] 光、闇、時空、召喚、付与、ユニーク、火、水、風、土、補助、???・・・

  [戦闘]剣術、短剣術、長柄術、斧術、槌術、弓術、対術、盾術、暗器術・・・・

  [非戦闘]料理、大工、交渉、大工、猟師、漁師、執事、メイド、鑑定、魔眼、???・・・・


同じレベルをとるにもモノによって必要ポイントが違うのはアノゲームと一緒だ。


既に持っているものもあるから新しく取るか、レベルを上げるかも迷うところだ。


魔法はあのゲームと同じなのだろうか?


見たことの無いものもあるが。


ポイントは有限だ。


効果がカブルものには使わないほうがお得だ。


いろいろ考えたすえ、


[魔法]は、光と闇、ユニークが必要ポイントが多くてレベル1からレベル5まで順に5,10,15,20,25P。


時空と召喚、付与が2、4、6、8、10P。


火、水、土、風が3、6、9、12、15P。


補助は、個別の魔法を取得するようだ。


レベル1のものは2P、レベル2は4、6、8、10と増えていく。


便利や貴重なものほど必要Pが多いんだろう。


闇魔法レベル3までで30P、時空魔法レベル2までで6P、風魔法レベル1で3P、ユニーク魔法のスキル強奪レベル1で5P、補助のライトで2P、リフレッシュで2P、種火で2P、暖房で4P、冷房で4Pでどうかな。


後で[コピー]で手に入れることを考えれば、みんなが持っているやつというか一般的なやつなら後からでコピーで取る機会も多いのだろう。


それ以外を自力で取ったほうが効率的だ。


闇魔法は、透明化がレベル3で使えることから欲しかった。


まぁ他にも理由があるが。


時空魔法は、レベル1で倉庫、レベル2でダンジョン移動、フィールド移動が使える。


某ドラゴンキングを倒す有名ゲームで言えば「リレ○ト」と「ル○ラ」だな。


風魔法は、レベル1で風矢という対個体の攻撃ができる。


火や水や土は室内戦闘では使いづらいかと思っての風だ。


特に火なんて森や草原、室内で使ったらこっちまでダメージを受けそうだ。


ユニーク魔法の[強奪]レベル1は、[コピー]の発動条件が十日に一度で成功率が十%と厳しかったから必要だ。


[コピー]なら相手に気づかれないだろうけど、[強奪]では相手のスキルが無くなってしまうから、気づかれて使いづらいかもしれないな。


多少気がとがめるし。


でも敵から奪うって考えればこっちはプラス、向こうはマイナスで二倍の効果が期待できる。


それに[コピー]のレベルを上げても一回は一回。強奪があれば一回ずつの二回になる。


補助魔法は快適に暮らすためには多少無理してても最初からほしい。


あのゲームでは、生活のことなんか考えたことも無かったけど、こっちで生きていくことを考えると、現代日本の便利な生活に慣れ親しんだ俺は苦労するだろう。


必要だ。


風呂が一般的でない設定もラノベではよくあったし。


戦闘系のスキルは、とりあえず近距離と長距離の両方あるのでとらない。


剣がかっこいいとかあるけど、とりあえず今持っているやつで賄えるなら後で良いだろう。


鎚と投擲がレベル2、弓と格闘がレベル1なら福引で貰ったバットで弱い敵なら何とかなりそうだし。


弓を買えば長距離近距離両方いける。


非戦闘系はレベル1が1P、それから2、4、6、8Pと必要ポイントが増えていくようだ。


詠唱省略で3P、鑑定系をレベル3の魔眼までで6Pか。


長々と魔法を詠唱なんてしてらんない。レベル1の詠唱短縮で1Pだけでも良いか?とも思ったが、噛んだり度忘れしたりしたらどうなるのか恐ろしい。


売買で有利になるのは貧乏性の俺にとってはとても魅力的だけれど相場がわからないのでお得感がそれほどでもないのか。


異世界出の俺はこっちのこと、モノ、人をほとんど知らないから鑑定技能は必須だろう。


レベル3の魔眼まで取れば人の名前やスキル、レベル、物ならどんな名前でどんな使い方をするのかなんかが分かる。


あとは、索敵系か。


索敵は個人戦、団体戦、戦争どれでも重要だ。先制攻撃や奇襲ができれば圧倒的有利だ。


気配察知をあげるか。


うーん。レベル3まで上げて6P。


情報収集のために、というか無視されるとへこむから、魅了を最低限1取っておくか。


それで2P。


あとは回復系が欲しいな。


LPとMPだな。


レベル2まででそれぞれ3Pで合計6P。


だってHPは「-」だし、最初から無いものは回復促進なんてできないだろう。


全部で82P使ったが、あとのポイントは後々のためにとっておくことにしようと思って取り忘れがないかスキル一覧を眺めているとあるスキルだけが輝いて見えた。


「性技」「絶倫」


気がつくと「性技」をレベル1を取っていた。


デビュー戦の失敗は一生ついて回るしね。


「絶倫」はまだ十三歳であれば必要もないだろう。


残り1P。


うん、これでいい。


と思うとまた画面が変わった。


3/3

最大身長 -   最大体重 -

髪色 黒   眼色 黒


日本にいたときに理想だった高身長にできるのかっ。


よし百八十五センチ位欲しいな。体重は八十五キロ位か。


軽すぎるとパワーで押し負けてしまうだろうし。


髪や眼は日本人だもの「漆黒」だよね。


肌は浅黒いほうが引き締まって見えるかな。


よし、これで終了だ。



◆◆◆



[名前]ジン・サカキ・クルーズ・ブレイド 

[性別]男 

[年齢]十三歳

[外見]身長百六十五センチ(成長期)、体重五十キロ(成長期)、髪:黒(成長期)、瞳:黒

[種族]陸人族

[筋力]三十  

[精神力]四十五  

[器用度]三十八 

[敏捷度]三十

[耐久力]三十 

[抵抗値]五十五  

[幸運度]十   

[魅力値]五十

[LP(生命力)]三十五  

[MP(魔力)]三十五  

[HP(信仰力)]-

魔法:光魔法3、闇魔法3、時空魔法2、光魔法1、ユニーク魔法(スキルコピー1、スキル強奪1)、

   補助魔法(ライト、リフレッシュ、種火、暖房、冷房)

戦闘:投擲2、弓1、槌2、格闘1

非戦闘:テイマー1、騎乗1、気配察知3、算術4、魅了1、LP回復2、MP回復2

    詠唱短縮→詠唱省略、鑑定→邪眼→魔眼、性技1

[ポイント]1P




「ええか?」


目の前になぜか関西弁の質問と[YES or NO]の文字が点滅している。


「ええで」


伝染ってしまったエセ関西弁を口にすると、目の前が一瞬まばゆく光って消えた。


ハレーションが収まると視界の左上に「LP」「MP」「HP」の表示と横長のバーが見える。


みんな緑色だがLPやMPが一列なのにHPだけ五列もある。


HPはバーの長さも倍以上ある。


「-」はもしかしたら数値では表せないくらい多いってことだったのか?


先に言ってくれればもっと光魔法のレベル上げてたのに。


回復促進だって。


それは、多けりゃ促進しなくても平気か。今後の課題だな。


それに光魔法3が使えそうで良かった。


宝の持ち腐れかと随分恨んだもんだ。


あっ光魔法はMP(魔力)じゃなくてHP(信仰力)使うんだよね。


魔力となんてものと一緒にしてくれるなってことか。


数値で表して欲しいところではあるがしかたないか。


あと一撃で俺は死ぬとわかるのも助かるっちゃあ助かるが、普通の人はそんなんわからんのだろうし。


後は矢印みたいなんが見える。これは磁石っぽい。


渡り鳥にはこんなのが付いているんだろう。


某有名格闘種族アニメにでてきたド○ゴンレーダーみたいな円形のレーダーみたいなのも見える。


これが気配察知なんだろう。


今のところ円の中に反応は無い。


機能の詳細が知りたいな。思うと、ヘルプ画面が現れる。


気配察知3。


地上にいる場合、有効範囲は自分を中心に半径500メートルでの半球。地下は察知不可。

地下にいる場合、見渡せる範囲プラス30メートル。地面より下は察知不可。

空中にいる場合、自分を中心に半径500メートル。地下は察知不可。

表示される点の大きさで個体の存在の大きさ、強さを表す。

表示される点の色で個体の所属等をあらわす。

青:パーティメンバー。

黄:諸々の人族、中立。

紫:諸々の人族、敵対。

赤:魔物。

白:動物。

緑:未設定。


しかし500メートルか。


この世界の遠距離攻撃の射程距離はどのくらいなんだろう。


攻撃されるとしても弓は大丈夫そうだ。


弓道の経験で、普通の弓はそんなに飛ばないってことは知ってる。


バリスタとかでもあれば話は違うが。


火縄銃でも200メートルが有効射程だった気がする。


うろ覚えだが。


気づかずに攻撃を受けることはないだろう。


投石器も届く前に気づけそうだ。


大砲や銃器は別だがこのスキル制で火器は無いだろう。


あとは魔法だが、食らうより前にこっちが発動する形で実験したいな。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ